メルケル首相が欧州委員長を狙う理由

改めてメルケル首相がECB総裁ではなく欧州委員長をドイツ人ポストとして狙いに行っているという件について整理させて頂きました。文中にも書いた通り、そもそも勝率が高いならどう考えても欧州委員長を狙うでしょう。権能から言っても欧州委員長はECB総裁より明らかに「格上」です。ECB総裁人事ついてはバイトマンが不人気であるため勝率が低そうなことを思えば、依然、有力な候補者が見当たらない欧州委員長を掴まえに行くというのは政治的嗅覚に優れたメルケルならば如何にもやりそうな話です。

とはいえ、現状、ドイツ人の候補として挙がっている人物は決して有名ではなく、これまで各国の首脳級が務めてきた欧州委員長ポストにあてがう人材として相応しいのかという議論はありましょう。なお、ECB総裁はフランス中銀のガロ総裁や、それともバイトマン総裁に次ぐ2番人気と言われていたレーン・アイルランド中銀総裁が囁かれています。フランスはそうなると史上4名しか存在しないECB総裁のうちトリシェに次ぐ2人目を輩出することになります。それが悪いという話ではありませんが、ドイツを始めに他国にとってはあまり面白い話ではないでしょう。

いずれにせよ欧州委員長候補者選びは今秋には決まります。思いのほか早く、バイトマン次期ECB総裁シナリオが消えてしまうかもしれません。

https://toyokeizai.net/articles/-/235609

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?