ダイソンは、優れたマーケティング企業でもあるという仮説
本日は、ダイソンの #マーケティングトレース をします。
ダイソンはマーケティングをしていない
と時々言われています。
いや、めちゃしているし、見習うべきでしょ。
組織文化として、エンジニアが先→マーケティングが後。
というだけで。
というのが今日のテーマです。
革新的なデザインと技術力で有名なダイソン。
この掃除機やドライヤーに憧れる人は多いのではないでしょうか?
少し古い記事ですが、日本経済新聞の下記記事にて、ダイソンの特徴が5つあげられています
(1)競合他社は見ない
(2)潜在的な不満に着眼する
(3)マーケティング調査はしない
(4)商戦は無視する
(5)安売りはしない
ダイソンはエンジニアリングカンパニー
社長のダイソンさんは、肩書が社長ではなく、「チーフエンジニア」と今でも商品開発の最前線にいるらしいです。
「わたしはビジネスマンじゃない」と、彼は言い張る。「わたしはデザイナーであり、エンジニアなんだ」。
by ジェームズ・ダイソン卿
ダイソンの研究開発投資=25億ポンド(約3650億円)
研究開発では25億ポンド(約3650億円)に及ぶ長期的な投資プログラムを継続中。英国、シンガポール、中国にある研究拠点でモーターや電力システム、ロボット工学、AI、機械学習など幅広い技術開発に取り組んでいる。
ダイソンはコア技術として、この3領域は研究開発に投資をして、コアコンピタンスを形成している。
①デジタルモーター
②流体力学
③モーター
エンジニアリングにブランドコンセプトを寄せて、その技術力に注目が集まるダイソン。
ここまで読むと、やっぱりエンジニアリングが強くて、マーケティングはやっていない会社なんだろうな・・・と捉えがちですが・・
マーケティング力も優れているダイソン
エンジニアを企業哲学の中心におき、イノベーションを起こしている会社であることは間違いないですが、ダイソンってマーケティング戦略もめちゃくちゃ優れていると思うのです。
4P分析から、マーケティング構造を読み解いていきます。
4P分析をすると、ダイソンが、消費者にベネフィットを伝えるための工夫を怠っていないことがわかります。
4P分析(ダイソンの掃除機に特化して分析)
Product=商品
技術にこだわりがあるブランドを確立
※吸引力という核となる特徴
自社工場ももっており、モーターを自社生産→こだわりの技術には内部リソースをつぎ込んで付加価値を出している。
Price=価格
掃除機は、2万円〜10万円ほどの価格幅。(価格コムを参照)
高級と思われがちですが、2万円から手に入るラインナップになっています。
Place=小売・流通
量販店のチャネルを確保→販売員も送り込み、技術特徴を各チャネルで伝える工夫を怠らない。
ダイソンは、量販店には専任のスタッフをおいていることが有名です。
最近は、直営店を広げる戦略で、全世界に戦艦店を増やしている。
Promotion:広告
技術特徴を伝えるプロモーションをマス×WEBをミックスして展開(デモ動画もYouTubeや比較サイトで出回っている)
吸引力をアピールしたテレビCMは有名。
こちらは2006年のCM
顧客接点で自社の技術価値を伝えることが上手なのがダイソンの特徴です。
ダイソンがユーザーの心を奪ったポイント
①ユーザーの課題を解決する
②競合と比較して優れた価値を伝える
上記の訴求の上手さは、YouTubeチャンネルを見るとよくわかります!
ので、時間ある時に眺めてみることオススメです!
直営店プログラムに注目
最近は、直営店を増やしているダイソンですが、直営店での顧客接点のつくり方に独自性が出ています。
ポイント
=
ブランドの世界観=エンジニアリング+機能サポート訴求バランスです。
表参道店は、世界で初めての戦艦店と位置付けられ、ブランドの世界観を伝える場となっています。
例えば、下記のようなプログラムが特徴的です。
①エンジニアを招いて開発ストーリーを共有
英国マルムズベリーにあるテクノロジーキャンパスからエンジニアを招いて、製品開発のストーリーや搭載されている最先端テクノロジーについてご紹介
②子供向けエンジニアリングイベント
掃除機のなぜ? を子供たちが解決。
夏の「Dyson Kids Lab」体験型イベント
上記がブランドの世界観を伝えるためのイベント。
同時に、商品のベネフィットを感じてもらったり、商品のサポート体制も強化しているようです。
ユーザーサポート制度:Dyson Care
Dyson Demo 表参道では、不具合のあるコードレスクリーナー*を
店頭にお持ち込みいただきましたら、お客様に代わって問題の原因を探し、
修理、パーツ交換、その他オプションをご提案いたします。
製品の保証登録やオンラインサポートも制度を整えているようです。
直営店で。ブランドの世界観を機能的なサポートを両立させているのは、Apple Storeにも共通している特徴ですね。
ダイソンがユーザーの心を掴んだポイント
★ブランドの世界観訴求+機能訴求を両立
その他:ジェームズダイソン財団による、発明の普及
ダイソン氏は教育にも力を入れており、財団で未来のエンジニア育成にも取り組んでいます。
こちらもブランドの世界観をユーザーに浸透させることに機能しているプログラムですね。
ダイソンからの学びまとめ
ダイソンは、自社のこだわり=エンジニアリングと、消費者のベネフィットのバランスを保ってブランドを築いている。
つくる⇆売るは表裏一体で考えることが大切で、どちらかに偏ってもマーケティングは成功しない。
マーケティング
=良い商品をつくって、適切に価値を伝えること。
ダイソンは、エンジニアリングをとことん追求した企業でありますが、顧客のベネフィットを伝える努力を怠っていない点が大きな学びです。
技術の自慢ではなく、ユーザーの問題解決を着実に行っている。
一見、マーケティングやってないよ・・と主張している会社でも、成長している&ファンがいるブランドには、必ずマーケティングが存在します。
Apple、スティーブ・ジョブズもマーケティングリサーチなんてしてない・・と言われていましたが、ジョブズも、徹底的に消費者を理解し、どうやって伝えるかに競合の何百倍もこだわっていたと思うのです。
マーケターの役割
=ブランドの世界観を保ちながら、消費者のベネフィットも追求すること。
本日のマーケティングトレースは以上です!
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