見出し画像

夫婦で幸せなFIRE生活を送るために必要なこと

1.FIREの実現には、パートナーの協力が不可欠

独身の方がFIREをするなら、何の制限もなく自分の自由に行動できます。しかし家族がいるとそうもいきません。そこで今回は、夫婦でのお金の向き合い方についてお話をしていきます。

下の日経の記事のように、お金を貯める段階では夫婦の共働きは必須です。ところが、そこから会社を辞めてFIREするという話になると、一気にコトを運ぶのが難しくなります。

FIREに向けて一番高い壁は、パートナーとの合意だといいます。

家庭を持っている方とお話すると、「FIREしたいけど、妻が許してくれないんですよね」というような声をよく聞きます。しかしこれだけで「FIRE実現の障壁はパートナーの反対だ」と決めつけるのは早計です。

問題はパートナーの反対ではなく、「夫婦でFIREや貯蓄にまつわる目標やビジョンの共有が出来ていない」ということなのです。

家庭を持ちつつFIREをしたい人が押さえるべきポイントは次の2つです。

1.夫婦の合意のもと計画する
2.夫婦でお金を管理する

家庭を持つ人の場合、家族全員でFIREすることになるわけですから、どちらかが許すというのではなく、全員でお金を管理し、全員で力を合わせて目指すものなのです。


2.夫婦の合意のもとで計画する

これまで述べてきた考え方に基づいて資産1億円を達成したとしても、FIREを実現するには綿密な計画と相当の決心が必要です。しかも、パートナーがいる場合、家庭の資産が1億円に到達したからといって、自分だけが勝手にFIREするわけにはいきません。

奥様が夫の計画内容をまったく理解しておらず、夫と同じレベルでの決心がない状態で、いきなり「1億円貯まったから会社辞めるわ」と言われたら、それは「え?ちょっと待って。何考えてるの?」と反対したくもなるでしょう。

きっと、パートナーに黙ってこういう計画を進めてしまう側も、「相手が反対するだろう」というのは感じているのでしょう。ですが、反対されるだろうといってパートナーに何の相談もせずに計画を進めても、逆にその計画は実現しなくなる可能性が高くなってしまいます。

ですから、きちんと「いつまでにいくら貯めよう、一緒にFIREを目指そう」ということを家族会議で提言してみてください。

・人生、若いうちから家族一緒に楽しんだ方がよっぽどいい
・定年まで会社で働き、老後からようやく自分の人生を楽しむという
 固定観念に縛られなくてもいい

この案にはきっとパートナーも同意してくれるはずです。そしてそれを実現するために、夫婦バラバラではなく、二人三脚で家計に向き合い、お金を貯めていく必要があるのです。


3.夫婦で一緒にお金を管理する

夫婦で将来の経済的不安を解消する一番の方法は、今後数年~数十年にわたる収入と支出を見える化し、今FIREしたとしても、支出をいくらまでにすれば心配することなく生きていけるのか、といったことをきちんと夫婦そろって理解することです。

ところがお金に関しては、多くの夫婦がきちんと話をできていません。それどころか、夫婦独立採算制でお互いが生活費を共同口座に振り込むものの、お互いいくら貯金があるかなどまったく把握できていない夫婦すらいるのです。

資産を着実に積み上げていくためにも、本来あるべき夫婦の家計管理の仕方を考えていきましょう。

(1)お金は夫婦一緒に管理しなくてはいけない

結婚した夫婦が最初に向き合わないといけないお金の問題、それは「どちらがお金を管理するか」ということです。

「うちは奥さんが小遣い増やしてくれないんだよなー」
「うちの旦那は数字得意だから、お金の管理は全部任せてるの」

こんなセリフ、よく聞きますよね。

あなたの周りの人に実際に聞いてみてください。奥さんが財布の紐をガッチリと握っている家庭もあれば、旦那さんが家計をチェックしている家庭もあるでしょう。

では旦那さんと奥さん、どちらが家計を管理するべきだと思いますか?

僕は、「どちらも」そして「一緒に」管理すべきだと考えています。

そもそもお金はその家庭のものなのに、「どちらかが管理している」という状況は何かおかしいと思いませんか。人間というのは、自分の役割ではなくなった瞬間、そのことに全く興味が無くなってしまうもの。そうすると、家計の管理はどちらか一方に偏ってしまいます。

そうなると、しだいに家庭内でお金に関する隠し事が出てきて夫婦関係がおかしくなってくるのです。

(2)お金についての隠し事が出てくると、夫婦関係がおかしくなる

家計管理が夫婦のどちらか一方に偏ると夫婦関係がおかしくなると言いましたが、それは一体なぜでしょうか。

家計を任された側は、責任感を持って家計を管理しようとします。その結果、奥さんが旦那さんのお小遣いを減らしたり、旦那さんの同僚との飲み会に目くじらを立てたりするのです。

一方家計を任せている側は、お金が貯まらない場合に「お前のやりくりが下手だからだ」と、普段どんなやりくりをしているかなんか全く知らないクセに、上から目線で攻めたてたりするのです。

そんなことが家庭内で続いたら、どうなるでしょうか?

おそらく旦那さんは同僚との飲み会に行くことを隠し、奥さんはお金があまり貯まっていない事実を隠すでしょう。

そうしていつの間にか、お互いが家庭のお金のことについて隠し事をするようになるのです。

このスパイラルに入ってしまうと、抜け出したくてもなかなか抜け出すことが出来ませんし、そんな状態では絶対にお金は貯まりません。もしあなたの夫婦がこの状態であるなら、いち早く抜け出すべきなのです。

ではそこから抜け出すためにはどうすればいいのでしょうか。

繰り返しになりますが、その解決策としてここで僕が言いたかったことが、「どちらか一方」ではなく、「夫婦がどちらも家計に関心を持ち、話し合おう」ということなのです。

旦那さんがお金を稼いできて、そのお金を「あとはお前に任せた」と奥さんに渡すのではなく、夫婦二人で自分たちのお金の使い方を話し合い、計画するのです。

もちろん夫婦で「頑張ってお金貯めようね!」と言うだけでお金が貯まるわけではありません。寺澤家でも結婚してからの20年間、家のこと、車のこと、保険のこと、そして教育費や生活費のことなど、2人で意識してお金に関して色んなことを議論し、実践してきた結果が今につながっています。

夫婦でお互いが家庭のお金に関心を持つこと。これこそが家族で資産を貯め、FIREするための第一歩なのです。


4.夫婦の最適解を探そう

ここまで、夫婦でお金に向き合うことの大切さについて述べてきました。特に節約の初期段階では、夫婦で意見を合わせて家賃などの大きな支出をいかに削減するかというのが非常に重要なのですが、どう感じられたでしょうか。

ある夫婦は「そうか、なるほど!」とすぐに行動に移せるかもしれませんが、別の夫婦は「お金を貯めるためとはいえ、狭い家に住むのはイヤだ!」と感じられるかもしれません。「お金はかかるかもしれないけど、最低年1回は家族で旅行にいきたい!」というご家族もあるでしょう。

このように、ただ節制してお金を貯めるだけではなく、家族みんなで人生の幸せを追求しながらお金を貯めていく必要があるというのが家庭を持っている人のFIREへの道のりです。

ですから支出の減らし方に画一的な答えは無く、それぞれの家庭の状況や嗜好によって適切な解は大きく変わってきます。

とはいえ限られた収入の中で、やりたいこと全てを行うわけにもいきません。ですから、「幸せな人生を送るために家族で何をしたいか」の優先順位を決めないといけないのです。

(1)夫婦で何が幸せかを見極めよう

僕は、色々な人とお金についてお話する機会があります。そこで感じるのは、「夢も何もなく、ただ節約してお金を貯めましょう」というのは無理があるということです。

どのような家庭でも、はじめはまず100万円の貯蓄を目標にし、それが実現できたなら、段階的にその先の500万円、1000万円の貯蓄を目標にしていくことになります。その際、何も嗜好品を買わず、毎日水と納豆ご飯だけで暮らすような極端な節約生活をすれば、当然お金が貯まるスピードは上がることでしょう。

しかし、「それで幸せですか。何のためにお金を貯めているのですか」と聞くと、誰もが顔を曇らせます。

我々は、人生を有意義なものにするためにお金を貯めているはずです。何も購入することなく、我慢に我慢を重ねて生活を切り詰めることでお金を貯め、FIREしたら今度はそのお金をできるだけ減らさないようにまた節約生活をする。こんなにつまらない話はありません。

とはいえ、好きなようにお金を使っていては貯まりませんし、子どもの進学など、必要なときにお金を出せるような状況を構築しておくことも大切なことです。

この「生活を豊かにしたい、でもお金を貯めたい」という2つをある程度同時に満たすために必要なのが、「何のためにお金を貯めるのか」という家族の夢や目標であり、それを実現するためのマネープラン・ライププランなのです。

(2)何をしたいのか、それにはどれくらいのお金が必要なのか

まず夫婦で将来何がしたいのか、何が欲しいのか、などをしっかりと話し合ってみましょう。

そして、やりたいことや欲しいものがある程度明確になったら、
・そのためにはいくらぐらいお金が必要なのか
・何年でいくら貯める必要があるのか
・収入と支出のバランス
といったことを考えていきましょう。

また、「何年でいくら貯める必要があるのか」を考える際には、「1年にいくら貯める、すなわち1ヶ月にいくら貯める」というように、より細かくブレイクダウンしていく手法が非常に有効です。

こうして家計をブレイクダウンしてみていくと、おそらくやりたいことを全てやろうとするときっとお金が足りなくなることでしょう。

そこで、家計においてお金を使う優先順位を決める必要がでてきます。家族の満足度のために外食費だけはどうしても削りたくない家庭もあるでしょうし、自分の習い事や友人との交際費を削りたくないという家庭もあるでしょう。

自分が本当にやりたいことを我慢することでストレスがたまるくらいなら、その優先順位をきちんと夫婦で決め、優先順位が高いものにはきちんとお金をかけ、低いものにお金をかけていないかを定期的に見直す方が幸せな人生を送ることができるのです。

次回は、FIREのプランニングについてお話していきます。


5.参考

(1)FIREするための考え方(ビフォーFIRE)の本

夫婦で子育てをしながらFIREをする本は今までなかったため、「ないなら自分で書こう!」と思い、自身の体験を綴った電子書籍を出しました。Kindle Unlimited対象にもなっていますので、会員の方は無料でお読みいただけます。ぜひお手に取ってみてください!

(2)FIREした人は本当に幸せなのか(アフターFIRE)の本

FIREはしたいけど、いざ会社を辞めることを考えると不安が先行する……。そういう人は多いと思います。その不安を取り除く特効薬は、実際にFIREした人がどのように感じているのかを知ること。そこで僕がFIRE後によく聞かれた質問をまとめ、回答したものをまとめました。こちらもKindle Unlimited対象ですので、ぜひお手に取ってみてください!


いいなと思ったら応援しよう!

寺澤伸洋@FIREしたビジネス書作家
最後まで読んでくださって、ありがとうございました! これからも楽しみながら書き続けていきます!