南相馬訪問記〜復興地に芽吹くイノベーションのきざし
先日、南相馬市による「市内に進出しているロボット開発ベンチャー企業と首都圏の投資会社や金融機関などをつなぐ事業」の連携協定締結式を見学しました。その過程とエクストラで得た気づきをお伝えしたいと思います。
●なぜ行ったか
もともと、2019年に開催していた「地方自治体の課題を学び考える勉強会(#LOCALmeetup シリーズ)」の一環として、南相馬市の方々にレクチャーいただき意見交換をしたのがきっかけでした。
その後、南相馬市の方々と何度か情報交換を重ねる中で、ロボット系ベンチャーや金融機関、VCをご紹介させていただき、数件が締結にいたったということでした。これもコネクタ活動の成果の一つですかねぇ。
で、ロボテスフィールドおよび地域の様子を自分の目で見ておきたいと思い何度か調整を試みつつも、この疫病下で決行を躊躇っていたのですが、締結式をやるという話を聞きつけたので、便乗して現地入りすることにした次第です。
●南相馬市とVC&金融機関との提携
協定の内容&式の様子は、市の発表や各報道などを参照いただくと良いと思います。
▼南相馬市の発表: 【令和2年12月21日】VC等との連携協定締結記念式典
地域の産業を新たに創り出すための施策の一環として、国、県、市がそれぞれの立場やリソースを使って、ドローンやロボット関係を中心とした産業を誘致すべく、テストフィールドを設置し、周辺産業も含めた誘致や規制緩和、お金周りなどの整備も含めて、エコシステムを作りあげようという流れの一環でして。
今回は、20のベンチャーキャピタル及び金融機関が市と連携協定を結び、市内に拠点をかまえるスタートアップへの資金調達を支援体制を作りますよ、という発表でありました。
●ロボットテストフィールド
フィールドの見学もさせていただきました。入居しているベンチャー数社のピッチを聞き、施設の見学ツアーにも参加。
ドローンや自動走行のテストフィールドは国内にもいくつかあるようですが、ここは複合的に多様な環境を取り揃えているのが特徴とのこと。また、ロボットテストに限らず、災害救助訓練などにも利用されるとか。なるほど。
また、テストフィールドだけでなく、市内の現場(漁場や広域空間など)でも実証実験を行いやすいよう、市や県が調整に動いてくれるようで。研究開発拠点として選ばれるための手を打たれているように見えます。(ここは他の地域の様子も見て、比較してみたいところ)
また、隣接する地域にはロボコムさんを中心に、ファクトリーオートメーションやものづくり系の企業が集まる工業団地の再開発が進んでおり、産業集積地として盛り上がっていく気配が。
●まさかの出逢い〜パイオニアの集まる拠点・小高PV
見学後は、街の様子をゆっくり見て回ろうと思い、フィールド見学後も時間を作りまして。時間も限られていたので、車を借りて周辺を一周しておりました。
で、ふとしたことから、小高パイオニアビレッジを訪れることになります。出資先であるADDressが1部屋設けさせてもらっているのと、周辺の友人たちが「南相馬に行く時は立ち寄るべし」と言っていたのを思い出した次第。
営業時間は過ぎてしまっていたのですが、お願いして施設を見学させてもらっていたところ、各方面で何かと縁がありながら、まだ顔合わせていなかった方とばったり遭遇。
短い時間ではありましたが、濃密な立ち話を。こーいう出逢いがあるから、徘徊をやめられないんだよなぁ。
施設自体は、この地域に集まるクリエイティブでチャレンジングな方々が行き交う空間で。訪問した日も、いくつかのプロジェクトに関わる各地から集まった人たちが、楽しそうに議論を重ねておりました。
また、残念ながら時間がなくて足を運べませんでしたが、周辺にもユニークなお店や施設が点在しているようで、またゆっくり回る時間を設けたいと思っています。
●コネクタ活動の不思議な広がり
というわけで、1日とちょっとですが、かなり濃密なインプットをいただきました。やっぱり現地に足を運ばないとなぁ。
そして、振り返ってみると、たくさんの人とのつながりがあって、今回の一連の道中が成り立っていたことに気づきます。
旧知のジャーナリスト!?F君が、某大手ITメディアから独立するのをきっかけに、「追いたいテーマで旗を掲げ、人や意見を募るなり、なんらかのアウトプットをする活動をやってみては?」と煽って、#LOCALmeetup なる勉強会を始めてみたり。
その活動をブーストすべく、関わっている「イベミラ(イベントの未来をつくる105人)」に巻き込んでみたり。
その会がきっかけで南相馬市のみなさま、、特に経産省から南相馬市に出向して奔走するS氏と出会い。彼が東京に来る際に何度か意見交換を重ねるなかで、南相馬市の取り組みを知ることになり、その過程で、ロボット系スタートアップや事業会社をご紹介したり、ロボット系への投資を実施したり検討しているベンチャーキャピタルなどをご紹介することになりました。
また、ご紹介したスタートアップやVCのみなさまも、、もともとは、自分が理事を務めるPMI(一般社団法人Public Meets Innovation)で開催した政策勉強会(特定のテーマの元、官僚とスタートアップを引き合わせる目的で開催する勉強会)で知り合ったスタートアップや、ささやかながら行っているベンチャー投資活動の一環でお知り合いになったVCの方々でして。
我ながら「とりとめなく節操ない活動の広げ方をしているなぁ。」とげんなりすることもしばしばですが、こうして各方面でのつながりが点から線となり、一連のストーリーとして紡がれていくのは面白いものです。
といっても、このようなつながり方は、自分にとっては日常でもあり、毎度振り返ったり、このように文章にすることはないのであって、ついつい「当たり前化」して、記憶の奥底に埋もれていくわけです。その意義なり、そこから得たものを振り返ったり咀嚼する機会、たまには必要ですなぁ。今回こうして書いてみて実感しております。
●まとめ
で、話を南相馬に戻します。
今回の記事では個人名を挙げることは控えましたが、各施策や拠点の裏側にはキーパーソンなり「縁の下の力持ち」的な、パワフルで魅力的な方々がおりました。個人的には徳島県神山で見聞きした経験がきっかけとなって、各地に足を運び「人」に会うよう心がけているのですが、、地域を支え盛り立てる方々はとても魅力的であり、またそんな方々は真摯に地域の課題に向き合っておられます。
今後も引き続き、各地域の素敵な取り組みや人に目を向けていきたいと思っております。し、そこから生まれるつながりの連鎖を楽しんでいきたいとも思います。さて、、次は横須賀、飛騨高山、富山、、あたりかなぁ。
●追記
ちなみにタイトル画像は、昨年のワークショップの際に「夜景ツアーやったら魅力的では!?」というアイデアが挙がった「海&工場」なんですよ。陽の落ちる前にこの景色が見たくて、車を走らせた次第です。