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アニメの海外展開におけるマルチメディア化の傾向=ドイツ編

日本のアニメ作品が海外に輸出されているという事実は日本でもニュースになります。『日経クロステック』の6月3日付けの記事によると輸出されている映像は、その多くがアニメだということが分かります。

放送コンテンツのジャンル別にみると、「放送コンテンツ海外輸出額」全体でも「番組販売権」の輸出額に限った場合でも、ともにアニメが多い。18年度はアニメが8割以上を占め、次いでドラマ、バラエティーが続く構図となっている。

その内訳はDVD・ブルーレイのディスク化権やインターネット配信権などだと説明されています。

筆者はドイツのアニメ事情を日常的にチェックしていますが、ここ最近の傾向として特に顕著になってきたと感じるのが、アニメ作品のマルチメディア化です。

以下にいくつか事例を挙げてみます。

例えば、『狼と香辛料』という作品があります。

ドイツの民放TV局の「プロジーベン・マックス」は先日、8月17日から放送を開始すると発表しました。(下記の埋め込みリンクはその公式発表です。)

ドイツではこの『狼と香辛料』はすでにディスク化が進んでいます。現地アニメ販売会社Nipponartは現在、第2シーズンをリリース中です。

これはひとつの作品がTVとディスク版と両方で視聴できるという例です。

次にイタリアを舞台にした『アルテ』は、ドイツではフランス系配信サービスのWakanimがオンライン配信を行う一方で、ドイツの配給会社polybandはディスク版をリリースすると発表しました。(関連ニュース記事

こちらは、オンライン配信とディスク版という2つの視聴方法があるという例です。

この『アルテ』は日本で今年4月から6月にかけてTV放送されたばかりの新作ですが、ドイツ語のディスク版リリースは4月2日にすでに発表されています。海外展開のスピードが非常に早くなっているという例でもあります。

オンライン配信、ディスク版、TVの他にはどのような視聴手段があると思われますか?

それは映画館です。この場合はTVシリーズではなく劇場版または劇場オリジナル作品となりますが、今年だけでも、アニメ映画『天気の子』や『ヴァイオレット・エヴァーガーデン外伝』が上映されました。この両作品もディスク化がすでに決定しています。(参考:「アニメ映画「天気の子」と上映イベントについて=ドイツから考える」

TV放送と映画館という組み合わせもあります。

ドイツでは現在、『この素晴らしい世界に祝福を!』(略称『このすば』)がTV放送中(プロジーベン・マックス)です。この『このすば』の続編となるアニメ映画『映画 この素晴らしい世界に祝福を!紅伝説』がドイツの映画館で先日、イベント上映されると発表されました。8月9日にドイツとオーストリアの映画館150館超で上映されるようです。

この『このすば』のTVと映画館によるマルチ展開はタイミングを見ても明らかに相乗効果を狙っているといえると思われます。

以上はドイツの事例です。このように日本のアニメは今、ひとつの作品が複数のメディアで展開しています。これは、日本のアニメがマルチに展開しても「稼げる」力があるということを示す一方で、マルチに展開することで相乗効果も狙えるというのもありそうです。国外のアニメ市場はさまざまな視聴手段を取り込み、さらなる拡大傾向にあるのでしょうか。引き続き今後の動向が気になるところです。以上ドイツからでした。

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タイトル画像:『狼と香辛料』の放送開始を伝えるTV局「プロジーベンマックス」の公式サイトからのスクリーンショット


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