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困窮や不安が多い人ほどサイコパス・リーダーを求めてしまう

東京都知事選挙は、投票終了と同時にゼロうちの形で小池氏当確が出てあっけなく終了した。

小池さんの圧勝。

まあ、選挙期間中から大勢の人が「小池氏勝利」と予想していたように、結果自体は驚くことではない。

むしろ、驚いたのは「2位にもなれなかった蓮舫氏」本人だろう。
少子化対策とか若者の所得云々など、岸田首相のようなことばかり言ってた蓮舫氏だが、個人的に「ダメだな」と思ったのは、「東京の出生率0.99%」とかツイートしちゃった時点。

合計特殊出生率の単位は%でないことくらい、少子化対策云々言う政治家ならさすがに知っとけよという話。ま、それだけが敗因じゃないし、そもそも勝つ見込みはなかったけど、これはあまりにお粗末。

NHKの出口調査によれば、年代別の投票先は以下。
若い人は石丸氏が多いようだが、50代以上が圧倒的に小池氏支持。これでは人口構成的にも、投票率構成的にも勝てない。

興味深かったのは、男女別の投票先。

石丸氏は男性の票はとれているが女性票が圧倒的に少ない。反対に、小池氏は女性票が多い。

年代別と組み合わせると、石丸氏は若い兄ちゃんたちの支持を得たが、おばちゃん、おばあちゃんたちの支持を得た小池氏には叶わなかったということか。

マッチョな熱狂と穏やかな現状維持との対比かもしれない。

もちろん、これは、このそれぞれの層がどこの情報源にアクセスしているかの違いもある。石丸氏は街頭演説の数も凄いが、ネットやYouTubeなどを駆使した点では他の候補者よりまさっていたことは確か。

でもね、政治って別に熱狂があればいいってもんでもないのよ。現状維持でいいって人の「何も変えないで」という静的パワーは時に熱狂を凌駕する。サイレントマジョリティの力は侮れない。特に、高齢者になると「変えられてもついていけない」という話もあるし。

とにかく決まってしまったものはしゃーない。少なくともあと4年間は小池都政が続く。

今回、小池氏になろうがなるまいが、特に婚姻や出生の面に関しては、東京は最後の人口ボーナスを使い果たした後になるので暗黒期に入る。それは覚悟しておいた方がいい。
わかりやすくいえば、唯一人口が増えていた東京も減少期に入るため、自動的に婚姻も出生も激減する。0.99どころじゃないほど下がる可能性がある。

ところで、2位になった石丸氏は国政進出の可能性などについて問われ、以下のように回答している。

「国政という選択肢、可能性という意味では存在します。なので、たとえば泉さんなり、橋下さんが新党を立ち上げるとおっしゃる場合には、ぜひ一緒に頑張りたいなと思う次第です」

多分に、テレビ用のリップサービス要素が含まれているとは思うし、この3人が組んでうまくいくとも思えないが、奇しくもこの3人には共通点がある。

パワハラ気質だ。

橋下さんも今はテレビタレントとして商売しているのでそういう姿は見せないが、府知事や市長時代は下にいる人にとってはなかなかのもんだったと思うし、泉さんもパワハラでは有名。そして石丸氏も、安芸高田市時代の映像や今回の選挙関連の取材での受け答えの中にパワハラ臭を感じ取るのは、私だけではないだろう。

パワハラ気質というよりもサイコパスといった方が正しいのかもしれない。

サイコパスというと、映画やドラマの中に出てくる猟奇的な殺人鬼みたいなものを思い浮かべるかもしれないが、別にサイコパスが全員犯罪者になるわけではない。むしろ、犯罪行為などを起こさずに、社会的に成功し、魅力的だと思われている人の中にこそサイコパス率は高い。

たとえば、アップル社を創業したスティーブ・ジョブスはサイコパスだと言われる。彼ほどじゃないにしろ、日常生活の中でサイコパス的な人はいくらでもいる。

この本によれば「マイルド・サイコパス」というらしい。


ちなみに、サイコパスの特徴は以下である。

  • 話が上手い

  • 魅力的に映る

  • 他人を操ろうとする

  • 嘘をつく

  • 結果至上主義

  • 良心の欠如

  • 刺激を求める

  • 手段を選ばない

  • プレッシャーに強い

  • 自分に自信がある

  • 感情の欠如

  • 冷酷、無慈悲

  • 罪悪感がない

  • 自慢話をする

  • 共感できない

  • 利己的

  • 性に奔放

  • 長期目標を持てない


そして、サイコパスに向いてる職業

  • CEO

  • 弁護士

  • 外科医

  • マスコミ関係

  • ジャーナリスト

  • 警察官

  • 営業

  • 政治家

  • 金融関係

  • 軍人

  • 聖職者

  • コック

歴史上もサイコパス具合が高い人ほど、熱狂的に人々の支持を集めたりしている。誰とはいちいち書かないが…。

サイコパスがリーダーになると厄介なのは、彼らは自分の性格に悩むことも反省することもなく、何より自信家であることが多いので、むしろ不安を抱えている人にはより一層魅力的に見えてしまうことだ。

たとえば、経済的にも困窮していたり、社会的にも阻害されていたりする人は、強力なサイコパス・リーダーに「この人こそが自分を守ってくれる頼れるリーダーだ」と錯誤しがち。新興宗教の教祖にも同様のことがいえる。

そうした錯誤は、傍から見れば錯誤や錯乱だと判断されるようなことでも、本人たちにとっては紛れもなく真実であり(唯識論ね)、むしろ自分らの信じるリーダーに反発や批判する人を敵だとみなすようになる。

それだけではなく、その信じるサイコパス・リーダーから仮に手酷い扱いを受けても、彼についていこうとしてしまいます。

そういうのをうまく利用しているのが、貧困ビジネスや弱者ビジネスを扱う輩。

サイコパスはいつの時代にも一定数いるし、そういう人間がサイコパスでなくなることもないので、その時の社会の情勢や雰囲気次第で、いつでもサイコパス・リーダー待望論は湧き起こる。

よくよく考えれば8年前、小池さんが都知事になったのもサイコパス・リーダー待望論からかもしれない。
本物のサイコパスは、わかりやすいパワハラすら見せずに、優しい言葉と笑顔で人を操るから。

暴言なんか吐いてしまうのは、まだまだ雑魚サイコパスなのかもしれない。

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荒川和久/独身研究家・コラムニスト
長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。