見出し画像

「友達がいない」と嘆く高齢者に必要なのは、友達ではない

中高年男性は必見の記事です。60代男性から寄せられた心の叫び。

還暦になりましたが、友達ができません。人が寄ってくるのは何かしてもらいたい時だけのようで、自分が困った時には誰もいません。人間的な欠陥があると思い、大学に入り直して心理学も学びましたが、状況は変わりません。(神奈川県・60代男性)

それに対して、作家の石田衣良さんが身も蓋もない回答しています。

定年退職後、友達がいなくて困っている。あなたの悩みは、すべての(特に男性)会社員がいつか直面するもので、根本的な解決策はありません。仕事を辞めたら、人間関係が寂しくなる。それは東から朝日が昇るのと同じ動かしようがない事実です。

間違ってはいない。大体の高齢男性の末路は、友達もなく、趣味もなく、生きがいもなく、やることもなく、さりとて何かを始めようとする意欲もなく、ただ毎日テレビを見て過ごすだけの抜け殻となる

まだ、配偶者が一緒にいてくれたりするならマシな方で、離婚や死別で独身に戻ったり、もともと未婚のままで単身世帯で暮らしている老人の場合はより悲惨なことになる。

これを読んで「いやいや、俺は大丈夫。友達もたくさんいるから」と思っている今は現役年齢の御仁がいたら要注意。

その友達は、あなたが会社を辞めて、何の肩書もない状態になっても付き合ってくれる相手ですか?そもそもその人と知り合ったのは仕事絡みではなかったですか?友達っていうけど、単に遊びや飲みに行くだけの間柄で、互いに悩みや相談をしたりして頼り頼られの関係ですか?

知り合いと友達は違う。フェイスブックで、登録上友達数が何千人いたってそんなの「いいね」くれるだけの関係で、何の意味もない。

ほとんどの人に友達はいないし、いても数人です。深刻なのは、現役の時に友達がいると錯覚していても、仕事や会社を辞めた途端に「俺は友達がいなかったんだ…」と気づかされてしまうことです。

画像1

70歳以上で友達の数が減るのは、友達自体が死んでしまうということもあるからだが、それでも男性は、50代から急速に「友達ゼロ」が増えていきます。

「元々友達ゼロ」の人と「急に友達ゼロ」の人とでは、その受ける孤立感は全然違う。会社勤めの時、当たり前にランチは複数で行って、飲み会にも部下が(内心は行きたくないと思っていても)ついてきてくれて、「俺って人気ある~!」なんて思っていたとしたら、とんでもない勘違いです。

上司だから、評価権があるから、人事権があるからついてきただけであって、決してあなたの人徳ではない。その証拠に、会社を辞めた途端、誰も会社の人間から連絡なんかこないはず。

かといって、老後のために「友達作りましょう」とか「趣味を持ちましょう」とかいう胡散臭い高齢者向け自己啓発セミナーの詐欺商法に乗ってはいけません。そんなものできないから。

正確にいえば、「作ろうと思って友達はできるものではない」し、「趣味にしようと思ってはじめたことが趣味に昇華することなんてない」からです。

友達はいつの間にか友達になっているし、趣味はいつのまにか泥沼(いい意味で)にハマっているものです。

石田衣良さんはこう回答しています。

孤独を快適に生きる。それが定年後の喜ばしき知恵なのです。

しかし、これもそもそも「友達がいないから寂しい」という人間にはまったく有益なアドバイスにはならないでしょう。だって、そういう人間の最大の問題点は「友達がゼロ」であることではなく、彼の「孤独耐性がゼロ」だからです。

僕がそういう人にアドバイスするとしたらこうです。

1日数時間、週3日でもいいから仕事を続けることです。その仕事は単独でできることではなく、大勢の人間との共同作業の仕事であった方がいい。なぜなら、金を得るための仕事ではなく、人と接する機会を得るための仕事だからです。

そして仕事上の刹那の付き合いでいいから継続して交流をしていくことです。そうでもしないと、丸一日誰とも口をきかずに終わる日々を過ごすことになるでしょう。

人と喋ることはとても大事。俺の話を聞いてくれる相手がいるって感じられることはとても大切。

友達を作るより、会話の数を増やす。知らない人との会話の回数も増やしていければなおよい。いつものメンバーだけの会話だと脳が刺激されなくなってしまうから。

以前も紹介しましたが、留学生と日本語で高齢者が会話できるサービスなんかはとてもいいと思います。


ま、一番手っ取り早いのは、スナックでも行って、ママに愚痴ることかもしれませんがね。

そういう意味で、高齢者の爺のクレーマーが電話口でギャースカまくしたてるのは、こうした会話欲求を満たすはけ口として使われているのかもしれないのです。なので、「どんなクレームでも聞いてあげます(但し、クレームを聞くだけで解決はしません)」というサービスは今後受けるんじゃないかな?

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?
気軽にクリエイターの支援と、記事のオススメができます!
荒川和久/「結婚滅亡」著者

長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。