比較的何か起こりやすい8月。1998年ロシア危機、2007年リーマンショック問題の発端となる金融ショックなど、8月は夏休みで市場参加者の閑散期だけに、何か起こると市場への影響がきつい。動かないマーケットが通例になると、急に動くと過度に心配になるのが人間の心理でもある。今年はトルコ・ショックであった。トルコの注目点を整理しておく。

 現在、脆弱に見える新興国は二つある。アルゼンチンとトルコ。アルゼンチンは既にIMFが出入りを始めているため、残るトルコは狙い撃ちし易かったというのが背景にはある。そもそもトルコが脆弱なのは、①経常赤字の規模が大きい、②対外債務が大きい、③為替下落に対してインフレが反応する速度が速い、から。

 今後の注目点として、短期的には、中銀が小幅でも追加利上げを実施することが期待される。その他、今週にも中期財政計画が発表になるが、財政赤字が相対的に小さいという強みが評価されるかもしれない。米国との関係悪化に底打ちの気配があれば、高金利通貨のキャリーコストの高さを嫌気されてくることもある。そうなると、マーケットでのトルコ売り圧力は緩和される可能性も出て来る。

 とはいえ、中長期的にみれば、ファンダメンタルズの弱さは簡単に是正できない。トルコには2017年7.4%という新興国の中でも高い成長率をある程度犠牲にしてでも、経常収支を改善させる中期的な努力が求められる。一時的な景気対策ではなく、加工貿易国としての質の向上を目指したインフラ支出の方に財政を振り向けていく姿勢が必要になる。そうでなければ、短期的な売り圧力が緩和しても、なかなか投資しづらい状況は続くことになってしまう、ということである。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO34101080T10C18A8TJ2000/

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