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ヒューマンセンシングによって「みえる」「わかる」「できる」「かわる」世界

・会社が、従業員の内面のデータを集めてそれぞれの集中力やストレス値などを算出する技術を導入することに、賛成ですか。反対ですか。もし実体験があれば、そのエピソードも含めてご意見をお聞かせ下さい。

というお題がありました。

僕は、日経BP総研の菊池さんと一緒に、カンブリアナイトというイベントを主宰しています。東京で二ヶ月に一度、京都や大阪で三ヶ月に一度。クローズドで開催したプレイベントが2015年秋、公開イベントにしたのが2016年。先週の開催が、26回目(プレを入れると28回目)で、丸4年が経ちました。先月には、経済産業省とも共催にて開催しました。のべ千数百人の参加者と、70を超える登壇者。そして、毎回無料で会場を提供してくださる方々と共に、未来について、飲みながら語り合っています。

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カンブリアナイト の「カンブリア」は、カンブリア期からとっています。カンブリア期は、生命の多様性が爆発的に増えた時期と言われており、「カンブリア大爆発」と呼ばれています。藻の祖先が持っていた光受容の遺伝子が、クラゲの祖先に組み込まれたことが、動物が光を認知できるようになった最初のきっかけ。そこから、カンブリア期には、アノマロカリスなどの複眼を持つ動物が隆盛を極め、我々の目の始祖となるレンズ眼も生まれました。この眼の出現が、生命の多様性爆発を後押ししたという説があります。

カンブリアナイトは、このカンブリア大爆発と同様に、サービスの多様性大爆発を生み出すことを目指すものです。

テクノロジーによって生み出されたセンサーは、我々が新たに手に入れた「眼」です。このセンサーによって、これまで認知できなかったようなものも含め、様々なことがデータとして可視化されます。つまり「みえる」ようになります。
ここでみえたデータを、専門家が解釈し、それを教師データとして機械学習によってスケールさせることで、データは情報となり、様々な意味が「わかる」ようになります。その情報を活用し、様々な介入が「できる」ようになります。その結果、状況が「かわる」ようになります。

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この「みえる」「わかる」「できる」「かわる」というループを作り出すことが、新たな時代の可能性を広げると信じています。

我々の生活には、多様な課題があります。その課題をひとつの介入でクリアすることは難しいでしょう。そこで、多様な課題に対応するように、多様な介入サービスが爆発的に生まれます。つまり、センサーという眼を手に入れることで、サービスの多様性爆発を生み出すことができるのだと思うのです。

センサーを起点とするデータは、「みえる」「わかる」「できる」「かわる」というループを時計回りに流れていきます。ただし、新規事業を考える上でとても大切なことは、テクノロジー起点ではうまくいかないことが多いということです。新しいセンサーができて、こういうデータが見えるようになった。それをどう使うか。そうしたら、どんな世界になっていくのか。そういうデータの流れのままに考えると、どこかで未来を見失うことがあります。

僕は、どのような世界がよいと思うのか、どのような世界をつくりたいのか、という「かわる」世界を描くことを起点におくと良いと考えます。このような世界をつくりたい。そのためには。どのような介入が「できる」ようになればよいのか。その介入ができるようになるためには、何が「わかる」ことが大切なのか。それがわかるためには、どのようなデータが「みえる」必要があるのか。そのように、反時計回りに考えていく必要があると思います。

冒頭のお題に沿うならば、会社がどのような世界をつくろうとしているのか、が重要なのだと思うのです。

個人のパフォーマンスの最大化を目指し、能力向上のための環境を作ろうとしているのか。余裕をもって生活でき、専業で満足できる状況を作ろうとしているのか。複業などの働き方の多様性を促進しながらも健康に留意し、新たな社会構造を作ろうとしているのか。

様々な企業理念があり、その理念に合致する人事評価があり、それを実現するための制度や体制があります。それぞれに目指す世界があり、その世界の実現に向けて、技術が活用されます。従業員の内面のデータを集めて(みえる)、集中力やストレス値などを算出(わかる)したとしても、どのような世界を目指すのかによって介入(できる)が異なります。それによって、つくられる世界(かわる)が、全く別のものになります。

我々は、常に、どのような世界を作ろうとするのか、何を大切にするのか、その価値基準をきちんと話し合い、その価値基準に沿った技術の活用方法を組み立てていく必要があるのだと思うのです。

下記は、3年ほど前にnoteに投稿したカンブリアナイト の紹介記事です。あわせて、ご一読いただけたら嬉しいです。


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