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正解でなく、現状把握では?

 この議論は、奥が深そうです。私は、数学者であり、マーケッターです。少し人より、多くの種類の経験をしていると思います。その経験から得られた知見から、少しこの「問い」について考えてみます。

データ分析とは、現状理解である。

 私は、マーケッター向けに、データ・ドリブン・マーケティングの行い方をご説明することあります。その時に、質問されることの一つに、「データ分析をきちんと行えば、マーケティングが良くなりますか」というものがあります。

 つまり、売りたい商品の「お客様の認知・理解」に関するデータや、その商品の「広告や営業」に関するデータ、さらに実際の「売り上げ」データなどを丁寧に分析したら、最適な「広告や営業」手法がわかるのでしょうか。

 答えは、分析を何度繰り返しても、最適な「広告や営業」は発見できないのです。というのも、データ分析から得られた結果と、広告や営業手法の相関関係がまだ明確になっておらず、データ分析から、取るべき行動が一つには決まらないからなのです。つまり、「正解」がないのです。

 このように、データ分析を行い、その結果を見て、人が判断するということは、身の回りに非常に数多くあります。

 例えば、降水確率と傘を持って出かけるかの関係です。皆さんは、天気予報で、降水確率を確認したとします。次に、どの程度の降水確率で、傘を持って、家を出るでしょうか。これは、人それぞれに答えが違うはずです。

 つまり、データ分析の一つのGoalは、現状把握や、近未来推測であり、それにより、何をすれば良いかという答えが、必ず決まるものではないのです。

確かに、データ分析により、「正解」、いや行うべき行動が決まっていることはある。

 マーケティングの事例や、降水確率と傘の関係とは異なり、データ分析により「正解」が決まるものもあります。自動走行車や、自動航行する宇宙船などがそうです。

 「正解」が決まるものと、決まらないものの違いは何でしょうか。それは、「データ分析の結果」と「取るべき行動」の間に、アルゴリズムがあるときなのではないでしょうか?

 アルゴリズム、つまり一定の法則があるのであれば、データ分析により、「正解」が決まるのです。

 しかし、私たちの日常を見れば、法則がわからないことだらけです。法則がわからないことが多いので、今も自然科学や社会科学、その他の領域で、研究するテーマがたくさんあるのです。

 研究が進めば、アルゴリズムも増え、そうするとデータ分析により導かれる正解も増えるのでしょう。

 そう、人間が人間の思考力を活用すべき問題は、データ分析が進化しても、AIが進化しても、たくさんあるのでしょう。

 


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1992年に花王に入社。デジタル・マーケティングをリード。現在は、コンサルタントとして企業のマーケティングのデジタル化を支援。ビジネスブレークスルー大学の講師、東京大学大学院数理科学研究科 客員教授、事業構想大学院大学 客員教授。著作として「シングル&シンプルマーケティング」

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