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「主観と客観」視点の多重化が行動を変える

僕の家の近所の公園は、まさに桜が満開でしたが、今週から「公園内での花見はご遠慮ください」という看板により、誰一人いないゴーストパークとなっています。しかし、まだ桜が二分咲き程度だった先々週は多くの家族連れで花見の宴会がなされていたことも事実です。

日本での感染拡大という事実で、人々の意識も大きく変わっています。

そんな中、ナイトクラブやバーで新型コロナウイルスに感染したと疑われる事例が東京都で多く判明し、夜の繁華街でクラスター(感染者集団)が発生しているという事実が明らかになりました。このエビデンスは、東京都が3月30日厚労省新型コロナウイルス感染症対策本部クラスター対策班が公開した資料によります。


以下の記事に対策班が発表したスライドなどが公開されています。

これによれば、キャバレー、ナイトクラブ、バー(わかりやすくいえば、キャバクラ、ガールズバー、スナック。札幌限定でいえばニュークラブ)といった夜の接待飲食店などで新型コロナウイルスのクラスター(集団感染)形成されているという報告です。

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グラフには明記されていませんが、20~30代は女性、40代以上は男性が多いようで、要は、「20~30代の女性が店員として接客する店に、40代以上の男性が客として行った」ということです。

まあ、こうしたお店は、密閉空間で、密着した状態である程度の時間会話するわけで、感染の危険といわれる「3密」に抵触するのは間違いありません。発覚した感染例以上に来店者はいたと思われ、今後感染者は出てくるでしょう。

しかし、今でている感染者は、他の人たちも意識が薄れた3月の3連休周辺で行動した人たちです。感染者に対して「なんでそんな行動をしたのか」と結果論で責めるのは意味がありません。

行った人でも、こういう店に行くのは感染リスクが高いというのはわかっているはずなのに、なぜ行くのでしょう?

これはそもそも、中高年の男がなぜキャバクラやクラブ(踊らない方の)に行きたがるのかという本質的なことと関係するのですが、身も蓋もないことを言えば、「誰かに自分の話を聞いてもらうという行為は、セックスに匹敵する」ほど快感らしいからです。

こちらの記事に詳しくありますが、実験によれば、自分語りが相当の快楽であるらしく、「自分の話ではなく他人の話をすればお金をあげるよ」と金銭報酬をちらつかせても、多くの人はそれを袖にして、自分の話をし続けたらしいです。

「金なんか要らない、俺の話を聞け」ということでしょう。

独身だけじゃなく、既婚男性にしろ、家で話を聞いてもらえるとは限りません。むしろ妻の愚痴や責めを聞く役ばかりになってしまっていれば、それは相当のストレスになるでしょう。話を聞く機会すらなく、家の中では透明な存在になってしまっているお父さんも少なくないでしょう。そうした部分の穴埋めとしておじさんたちは夜の店に繰り出し、思う存分お話をしてしまうのです。

「話をするだけなら、ZOOMなどの技術を使ってやればいいじゃない」という意見もありますが、よく考えてください。仮に自宅でキャバクラにアクセスしたとしても、テンション高くしゃべってガハガハと高笑いすることはできませんよね。家族なら周りの目があるし、妻や子の前でそんな姿晒せますか?

結局、家というのは日常としてのケの場所であり、いくらテクノロジーが進化しても、ケの場所をそのままハレの場にするということは無理なんです。

とはいえ、今の状況では歓楽街に出向くことは控えた方がいいでしょう。ご自身のためでもあり、周りのためにも。

コロナとの戦いは長期戦です。そして、戦う相手はウイルスではなく、自分自身なのです。

大事なのは、「自分が無症状の感染者かもしれない」と思って行動すること。無症状だからといって誰かにうつしてしまうかもしれない。そう考えれば、おのずと人の集まる場所に行くのを控えるし、感染者の少ない田舎への帰省もやめた方がいいと思えるでしょう。なぜなら、帰省したことで、おじいちゃん・おばあちゃんを危険な目にあわせてしまうかもしれないからです。さらには、公共の場ではマスクをするようになるでしょう(マスクは予防のためではなく誰かにうつしてしまわないため)。

「感染しないように」ではなく「感染させないように」。

意識の主客を変えると、ひとりひとりの行動がとても大きな意味を持つことを知るでしょう。我々は無力なのではない。我々ひとりひとりの行動こそが大きな力になります。

同様に、「自分の話を聞いてもらって気持ちよくなりたい」という人も、主客入れ替えて視点を変えてみましょう。誰でも同じように自分の話を聞いてもらいたいものなんです。自分が話したいと同じように、相手の話も聞いてあげる。話を聞いてもらって自分がうれしいように、聞いてあげた相手も同じようにうれしくなるはず。視点を変えれば、できなかったこともやれるようになったりしませんか?


長年の会社勤めを辞めて、文筆家として独立しました。これからは、皆さまの支援が直接生活費になります。なにとぞサポートいただけると大変助かります。よろしくお願いします。