電話が苦手な理由をプレゼンさせてください。
大概のことはパワーポイントで解決する。
そんなプロフィールでX(Twitter)をやっている。
その一文には「大概のことはきちんと説明すれば伝わるはずだ」という気持ちを込めている。
そんな私が今、きちんと説明したいのは「電話」について。
端的に言ってしまえば、とても苦手だ。
でもただ「電話が苦手」とだけ伝えてしまうと、ドライなやつとか、現代っ子みたいな扱いをされてしまう。
違う違う、違う、そうじゃない。
Z世代だろうが、おじさんだろうが、苦手なものは苦手だ。
ちゃんと説明するから、聞いてほしい。
今日はそんな話。
◾️電話は時間泥棒
まずは(主にビジネスにおける)コミュニケーション手段について整理してみる。
・対面
・電話
・メール
・メッセンジャーやLINE
最近ではSlackやteamsでのコミュニケーションも増えてきた。
この中で電話ほど発信者都合の手段はない。
それ故に電話を受けること以上に、自分が電話をかけることの方が苦手かもしれない。「電話するなんて、相手に申し訳ない」と感じてしまう。
電話が発信者都合であるという話を分解するなら、
・それが1対1の手段かどうか?
・その手段は記録が残るかどうか?
という2項目で考えてみるのが分かり易い。
まず、電話は1対1だ。受信者は、突然相手から選択を迫られることになる。
今、相手の電話に出る
or
今、相手の電話に出ない(出られない)
という酷な2択だ。
また、電話は突然かかってくる。
つまり(テレフォンオペレーターでもない限り)「今、相手の電話に出る = 今、していたことを中断する」ということになる。
電話をかける、とは相手が今していることを中断するかどうかを迫ること。
この意識をもって電話をかけている人はどのくらいいるだろう。
「電話の方が早い」
「メールを打つのが面倒」
そんな発信者都合だけで電話をかけている人が多い気がする。
もちろん電話(直接話すこと)の方が丁寧なこともあるし、それでしか伝わらないニュアンスがあることはわかっている。
だから(よほどの緊急時代でない限り)電話をかける前にチャットやLINE、SMSで聞いてほしい。
「今、電話かけてもいいですか?」
その手間だけでいい。
それでOKなら電話をすればいいし、レスがなければ電話に出られない状況ということだ。
電話には時間泥棒の側面がある。
部下だろうが後輩だろうが、時間の価値に優劣はなく、相手の時間は常に尊重されるべきだ。
その意識がない人に限って「おれの電話に出ないのか」なんて言ったりする。
◾️電話は密室空間
次に
・その手段は記録が残るかどうか?
という軸で考えてみる。
録音ボタンでも押さない限り、電話は記録が残らない。
前述のように電話は突然かかってくるので、そんな準備をできないのが当たり前だ。
記録が残らない1対1の空間、それが電話だと捉えると、電話とはコミュニケーション上の密室空間とも言える。
密室では当事者同士しか真実を知ることができない
つまり言った or 言わないが起こりやすい。
それだけなら平等に見えるがそうではない。電話は発信者(架けた方)が主体だ。発信者に要件があり、受信者はその要件を聞くだけだ。
それにも関わらず、電話は受信者に振り返る時間を与えない。メールやLINEなら要件を後に振り返ることができるが、電話はそれができない。
ビジネスで伝えたいことがあるなら、まずは記録に残る形で伝えるのが基本ではないだろうか。
極端に言えば電話は一方的に言いたいことを言って、切っただけでも「伝えた」ことになってしまう。
だから電話に出るということは、突然密室に引きずり込まれるようなものでもある。なんて恐ろしい手段だろう、と(改めて)思う。
◾️電話は最終手段
以上が私が電話が苦手な理由だ。伝わっただろうか。
1枚にまとめるとこういうことになる。
電話は便利な手段だ。
ただ、その「便利」を享受てきるのは主に発信者でしかない。
もちろん、手段そのものを全否定するつもりはない(私も架けることはある)。
ただ少し考えてみてほしい。
自分は電話を「架ける」ことが多い人間か、「受ける」ことが多い人間か。
「自分は電話派だから」
違う違う、違う、そうじゃない。
もし前者であれば、無意識のうちに相手に何かしらの負担を強いている可能性があるということだ。
相手のことを考えたら、電話は最終手段であるべきだ。
私は電話がかかってくると「よっぽど急ぎで重要な案件なんだ」と感じる。
しかしそうでないなら拍子抜けだ。
電話という最終手段を多用すると、オオカミ少年のようにいずれ信用を失うことにも繋がりかねない。
「自称電話派」はそういう危険性を孕んでいる。