リモート社会が急速に進む中国での教育のリモート化への取り組みと課題
政府による外出規制呼びかけにより、リモート社会化が急速に進んでいる中国。前回は、中国のリモートワーク向けのビジネスツールの紹介と彼らの取り組みについて書きました↓
■教育分野でのリモートへの取り組み
教育機関があまりにも多いことと、小中、高校、大学にはそれぞれの事情ややり方があることが障壁でしたが、中国の教育部(文部省)から「登校はしないが勉強は止まらない」のポリシーが打ち出され、指導が入りました。
その結果、さまざまな教育資源がオンラインで無料で利用できるようになってます。
ちょっと長くて難しい内容なのですが、2月2日までに22のオンライン教育プラットフォームで2.4万以上の学部講義が無料公開されました。これには国家認定で優秀評価を受けた1291の講義も含まれるという太っ腹ぶり。
また、国民のコロナウイルスへの理解を深めるため、さまざまな専門家が専門視点で肺炎や感染病防止について講義しています。例えば「感染症 x 積極心理学」「感染症 x 国際関係」など。
これは大きなテーマで長くなるので、またの機会に紹介しようと思います。
■リモート授業での工夫や課題
誰もが物理的な制約を受けずに授業に参加できるのは素晴らしいこと。できることなら自分にとって最適なもの、最高の授業として人気なものを選んで受けたいですよね。
↑すると特定の講義に人気が殺到するケースも。
国際関係についてで有名な先生が「学堂オンライン」というプラットフォーム上で講義。そして、リアルタイムに回答できる練習問題システムで講義をしていたら、アクセスが殺到。
このプラットフォームでの講義が他の動画プラットフォームのbilibiliやKwai、Weiboでも中継され一時的にアクセスしづらいほど人気でした。
一般の授業はQQのようなグループチャット機能のあるIMや、Kwaiのようなオンライン中継プラットフォーム、Zoomのようなオンライン会議プラットフォームで行われることも多いです。
↑なんと体育の授業も行われます。ストップウォッチを持ってる先生がシュールです。
ギャグな話もありました。例えば、中継アプリに慣れてない数学の先生が、フィルターの操作がわからず可愛いくなるフィルターONのままで中継、Weiboで話題になりました↓
...先生、いいと思う!
また、医学専攻向けの授業や、中学の生理の授業の中継が、プラットフォーム審査マニュアルによってシャットダウンされたことが頻繁にあったそうです。
↑看護師の産婦人科の講義は2秒でシャットダウン
■その他、社会課題も
中国では必ずしも全学生がネットにアクセスできる環境ではないです。それに、もしスマホがあってもWiFi環境がなく、通信量を使ってネットにアクセスせざるを得ない人も多いです(ちなみに日本は無制限プランもたくさんありますか?中国ではマイナーです)。
そのため動画やオンライン会議などを利用してすぐに通信量オーバーになるケースが続出。
その問題について報道され話題となったのは田舎の少年。
家の経済状況があまりよくなくWiFiがないです。隣人に相談して使わせてもらってたのですが、長い時間居候するのは迷惑なので、屋上でWiFiを借りて勉強してたと。
こうした環境の違いでの不平等は存在します。(でも学校や先生の質の違いによる不平等是正が進む方がはるかに意義深いと個人的には思います。今思えば僕の幼少時代の先生とか本当に...)
他にも、リモートに関する面白い体験談があります。個人的に興味深いのは、両親が在宅出勤、子供2人(2人目が解禁されましたので)が在宅登校の場合の端末不足ですね。
これについてネットユーザーが描いた絵が面白くて↓
どうみてもカスタマーサービスセンターじゃない!?PCやタブレット売り上げは好調かもしれません。。
次回はリモートワークに対するリアルな賛否両論の声を紹介します!
※ここでしか知れない中国情報を届けます、ぜひフォローしてください。
Twitterでも情報発信してますのでこちらもぜひ見てください。
(参考資料)