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予測できないキャリアの面白さ:決断の基準を持つことのススメ

先日、将来の不確実性と多様な選択肢が混在する現代において従来の「学校」の形を超えた新たな教育を提唱しているHLABが主催するサマースクールにHLAB Forumのスピーカーとしてお招きいただき高校生・大学生向けに"キャリア"をテーマについてお話しさせていただきました。

自分自身の学生時代からの生き方を棚卸しし、改めて自分のキャリアについて考える機会になったのですが、その中で「予測できないキャリアの面白さ」というキーワードが出てきました。自分自身、社会人になった約20年前に現在のキャリアを想定できていたかというと全く想定していませんでした。しかし、だからこそキャリアって面白いと思ったのです。

この予測できないキャリアの歩みを進めていく上で、数多くの選択肢と向き合ってきたのですが、今回は、このキャリアに関する選択をしていく上での判断基準について書きたいと思います。


そもそもキャリアって何?

そもそも"キャリア"とはどういう定義なのでしょうか?検索してみると下記のように定義づけされています。

キャリアとは、過去の職務経験や、それにともなう計画的な能力開発連鎖のこと。
とくに仕事や就職、出世のイメージで使われる言葉です。
厚生労働省ではキャリアを「時間的持続性ないしは継続性を持った概念」
と定義しています。

参照:カオナビ

厚生労働省ではキャリアを「時間的持続性ないしは継続性を持った概念」
と定義しているように、一般的には、下記の図のように少しずつ階段を上っていくように経験を積み、キャリアゴールに向かっていくのが"キャリア"ということだと考えていることが多いのではないでしょうか。

一般的にはキャリアパスなどとも表現されていますよね。分かりやすい考え方ではある一方で、私自身のこれまでの生き方を考えてみると、このステップアップしていく感じは違和感を感じました。
というのも、私の中ではキャリアとは下記のようなイメージなのです。

キャリアって階段を上がるようなシンプルなものではなく、動いているうちに様々なところに行ったりきたりしながら、そして時に戻ったりしながら動いていく。それがキャリアであるという感覚があります。つまり、先がしっかりと見通せるものではなく、迷路の中を進んでいく感じです。

進む道の選択基準

「迷路の中を進んでいく感じ」と表現しましたが、実際に仕事をしている中で、数多くの「選択」をする瞬間があります。キャリアという観点でいうと、社内での異動や、担当するプロジェクト、そして転職や起業など無数の選択を繰り返しながら迷路を進んでいきます。むしろキャリアとは選択の連続なのではないかと思うくらいです。
当然、選択肢が2択の時もあれば、複数の選択肢の時もあります。そのような時にただ闇雲に選ぶのか、しっかりと基準を持っているのかは分かれ目になると考えています。

私の場合、キャリアで考えると大きな転機は3回ありました。1度目は1社目であるインテリジェンス社への入社という選択。2度目がAmazon Japanへの転職。そして3度目が起業です。このあたりの考え方については以前COMEMOでも記事を書かせていただきました。

今回は、こうした転機を迎えた際にどうするか判断しているわけですが、そこには一定の判断基準を持っています。

1. 周りの知人や親が反対するのであればそれはポジティブなサイン

1つ目は先ほど紹介したCOMEMOの記事でも書いたのですが、私は、自分のキャリア、チャレンジを考える時に、誰もが認める領域よりも、反対されるくらいの領域の方が可能性とやりがいがあると考えています。
振り返ってみると、1社目のインテリジェンスの入社を決めた時も、Amazon Japanへの転職を決めた時も、起業した際も常に一定の反対意見がありました。インテリジェンスは第二創業期のベンチャーでしたし、Amazonはネットバブルがはじけ株価が暴落しているタイミングでした。起業はもちろんリスクが高いので反対が起こるのもうなずけます。

では、リスクを取らずに安定した状況を求めるのが良いのでしょうか。誰もが賛同する企業やマーケット・業界はそのタイミングでは安定しているかも知れませんが、既に成熟している状態なので、そこから入社し自分が作りあげているのを実感するのは難しいですし、何よりこれから大きく成長する新しいビジネスに関われる可能性は高くありません。

だからこそ何か新しい転機が訪れた時、どう動くかの選択する基準として、周りからの反対があるときは「チャンス」と捉えるようにしています。

2. 80歳を迎えた時に後悔しないか

私は渋谷がビットバレーと言われていた時期に学生だった影響もあり、学生時代からいつか起業したいと考えていました。 そのような考えがあったので、1社目もベンチャー企業で勢いがあったインテリジェンス社に入社させてもらい、社会人になって1年目の後半でAmazon Japanに転職できるチャンスを得た時、前述の通り世界的にはネットバブルがはじけ、株価は大暴落している状況でしたが、世界トップの起業家であるジェフベゾスが創業したAmazonに入り多くのことを学びたいという思いで飛び込みました。そして、Amazonで6年ほど様々な経験を積ませてもらったタイミングで起業のチャンスを得ました。その時にはAmazonの業績はかなり良く、社会的な認知も高い状況になっていました。Amazonに入社する時は反対意見が多かったのですが、状況はすっかり変わり、Amazonを離れ、しかもリスクの高い起業にチャレンジすることに反対の声がありました。

そうした岐路に立った時に考えたのは、ジェフベゾスがAmazonを起業した時に考えたことでした。ベゾスは20代で金融業界で活躍し、ビジネスパーソンとして大きな成功を収めていました。仕事関連で可能性を感じたインターネットを活用し起業を決めたのですが、既に大きな成功を収めていたベゾスは下記のように判断してと言われています。

決断における適切なフレームワークとは(少なくとも私にとっては)、後悔を最小限にすることだ。例えば80歳の自分を想像し、そこから人生をふり返ってみる。その時どうありたいか? できるかぎり悔いは残したくない。80歳になった自分が、1994年にウォール街から離れたことなどをまったく後悔しないのは分かっている。ひょっとすると思い出しもしないだろう。だが、あの当時面白いことになると感じていたインターネット業界に参戦していなかったら、きっと後悔したはずだ。

参照:東洋経済オンライン

私がAmazonを離れ起業することを決める時には、まさにこの「80歳の自分を想像し後悔していないか」というベゾスの考え方に基づいて行動しました。その後も仕事をする中で様々な決断の瞬間を迎えますが、常にこの「80歳になった時にどう思うか」を想像しどうするかを選択しています。

まとめ

キャリアの歩みを進めていく中で多くの選択の瞬間を迎えます。

こちらの記事でも、"選択肢は無限にあります。VUCAの時代には、そうした状況の中で方針を立て、それを実行し、生き抜いていく能力が求められます。”と書かれている通り、無限の選択肢の中から進む道を決断し歩みを進めていくのです。

そうしたときの判断基準を自分の中で持っておくと、例え結果がついてこなかったとしても後悔することなく、自信を持って歩みを進めていけると考えています。そしてこの数多くの選択の瞬間こそがキャリア形成の醍醐味であり面白さである。そう考えています。

是非皆さまも自分の中の選択の基準がなにか考えていただき、キャリア形成を楽しんでいただければと思います。

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