謙虚であることを考え直す
『私は時間で働いていません。』
これは、2017年の夏から、私はダブル正社員として2つの会社の正社員として働いていた時にチームメンバーにとっさに言い返してしまったときの言葉だ。
いろいろなメディアで”日本初”のダブル正社員と紹介していただいたこともあり、週5日会社に出社するメンバーから、『週2しか出社せず成果が出せるのか?』とよく聞かれていた。
何だかトゲがある言葉だし、今となればもう少し違う言葉を選べたかもしれない。
しかし、従来の働き方「メンバーシップ型」と成果を定義されている「ジョブ型」で働く人の意識の違いが言葉に出るとこんな感じなのではないかと思う。
どちらが正しいとか、偉いとかあるわけではない。ただこれらが同じチーム内で混在していた当時、私自身は周りから出社日が少ないから成果を出していないと思われないかと恐れていた。
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時間ではなく何を提供できるのか?**
では『私は時間で働いていません』という私は何が提供できるのか?
わかりやすいスキルとして会計や法務の知識があるわけではない。しかし、私は自分自身の経歴をひも解き『自治体プロジェクトができます』と周りのチームメンバーに伝え続けていた。
わずか週2日の勤務で『自治体プロジェクト』の何が出来るんだ?と言われそうだが、そこでひるんではいけない。
私は当時、自治体といっしょに事業をするための手法や経験を、様々な書籍やセミナーに参加して勉強していた。土日には実際に地方のイベントに実際に足を運んで、現地のキーマンと顔見知りになっていった。
当時は『地域の働き方を変えたい』と考えて思いつくことはすべてやっていこうと思い色々試していた。『スキルアップしたい』『人脈を作りたい』と考えて行動してたわけではないが、結果として当時行動したものが”私しかできない”価値として積み上がっていった。
その結果、『自治体プロジェクト』に関しては、私は他のチームメンバーが約1ヶ月かかって実施する仕事量を、私は週2日の工数で実行できる。そう試算し目標を決めてチームで走っていた。
言ったからにはやるしかない。上司は自分の仕事を引き取ったりサポートはしてくれないチーム(仲間)はいるが目標を達成するのは自分(自分たち)しかいない。『時間ではなく成果を提供する』『通常1ヶ月かかることを私は2日でやる』と心に決めて毎日パソコンに向かっていた。
これが私がジョブ型雇用でみた景色だった。
プロフェッショナルであること
ジョブ型雇用の組織は、言い換えるとオーケストラのような組織だ。
オーケストラのメンバーは、素晴らしい音楽を届けるため、楽団員が各々の楽器のプロフェッショナルとして雇われている。
指揮者は指揮者、バイオリンはバイオリン、トローンボーンはトロンボーン。トロンボーン演奏者が胃腸炎になったからと言ってバイオリン演奏者が代理を担うことは難しい。それぞれがチームの一員としてかけがえのない役割を担っており、代理がきかない。
オーケストラが素晴らしい演奏をするために大切なのは、一つそれぞれのプロフェッショナルが力を最大限発揮すること、そして短い時間で他の演奏者と協業しチームワークを発揮すること。
決して長く演奏することや、他の楽器を弾けることが価値にはならない。
謙虚であることを考え直してみる
日本人にとって『謙虚であることは美徳である』そう考えられてきた。
しかし、これから日本でもジョブ型雇用を導入する企業が増えてくると、自分のプロフェッショナル分野は、自分ではっきりと伝え給与に反映してもらえるように交渉していかないといけない。
「自身の強みや長所は言わなくても、頑張っていればわかってもらえる」は「自分から強みや長所を言うのはおこがましい」そんな風に考えているビジネスマンでは、オーケストラ型の組織で、次の演奏機会は回ってこない。
何がスキで、何が得意で、それを発揮するためにどれだけの経験値と努力をしてきたか、しっかりとプレゼンし、説得する必要がある。
『私は時間で働いていません』
そう言うと角が立つが、その次に『時間ではなく●●を提供しています』そう笑顔で答えられるビジネスマンが増えてくれると、いろいろな会社でも強くしなやかな成果を生み出せるチームが誕生していく。
そして、その景色が当たり前になる日は、10年前倒しでやってきそうだ。
『時間ではなくて、何を提供できるの?』
考えてみてはどうだろうか?
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