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世界トップ級の知力 日本人の強み

「日本の成人、世界トップ級の知力」 日本人としてめちゃ嬉しい、誇らしいニュースだ。アメリカで20年以上働いて、つくづく実感する。日本人は世界で通用する!

日経電子版12月10日の記事によると経済協力開発機構(OECD)が実施した国際成人力調査(PIAAC)で、日本は読解力と数的思考力で参加した31カ国中2位、問題解決能力で1位。アジアからは限られた国しか参加していないが、日本以上に教育に力を入れている印象のあるシンガポールや韓国より日本の方が断然上なのはビックリだ。

日経電子版(2024年12月10日)からの抜粋

僕は日本で全ての教育を受け、留学経験なしの状態で、アメリカに渡った。初めはそんな自分が通用するか自信なくビクビクしていた。でも、今は違う。20年以上、アメリカの企業で働き、確かに納得がいく。日本で受けた教育は僕の宝だった。日本で教育を受けられたことは超ラッキーだ。僕はどちらかと言うと日本の教育には馴染まない人間だった。学校の授業はほとんど集中できなかった。授業から学ぶというより、孤独に教科書や参考書で勉強した。そんな僕でも、日本の教育環境は素晴らしかったと思える。

日本の教育で培われた思考力は、アメリカで重宝される。まさに記事で取り上げられているように、日本人は読解力、数的思考力、問題解決力に長けていると実感できる。アメリカで仕事をしていると、会話だけでプロジェクトが進んでいく状況によく遭遇する。常識や過去からの先入観に囚われず、自由な発想ができる。フットワークが軽い。どんどん新しいアイディアが生まれる。それはとても素晴らしいことだ。だが、地に足がついていない。データそっちのけで、アイディアが非現実的なとんでもない方向へ進んでしまうこともある。そんな時、重要なデータや関連情報を示し、地に足の着いた現実味のある実践的な方向にアイディアを導けるのは、読解力、数的思考力、問題解決力に長けた人間だ。日本人はそこが強い。だから、アメリカで、世界で重宝される。日本人は、外に出ることでユニークで個性的な強みを持つ人間となる。 

日本のすばらしいところは、そんな高いレベルの教育が格安で受けられること。日本の大学の授業料は、アメリカの大学の1/10以下だ。もし、僕がアメリカに生まれていたら、日本と同様の学歴を得て、今のポジションに就くことはできなかったと思う。日本で学び、アメリカで働くは、いいとこ取りのズルい生存戦略だと思う。

日本の知力、24歳で頭打ち

日本人の知力は世界トップ級という誇らしいニュースだが、同時に課題を指摘する記事も掲載されていた。誇らしいニュースでさえ、いいとこだけを取り上げるのではなく、その中にある問題点にもしっかり目を向けるところも日本人らしい。日本と同じくトップ級の知力を示した北欧諸国では、20代より、30代、40代でさらに知力が向上し、高い知力がが長く維持される。それに対し、日本では24歳で頭打ちとなり、その後、30代、40代と下降していくというのだ。自分の住んでいるアメリカはどうなっているか?興味があって調べてみたが、アメリカも、そしてカナダも30代までは知力は上昇している。確かに24歳で頭打ちになるのは日本独特の問題かもしれない。

日本の知力が24歳で頭打ちになることの原因として、記事では北欧諸国に比べて社会に出てからのリスキリングなどの支援が手薄いことが挙げられている。確かに日本とアメリカで働いてみて、日本は社会へ出た後のキャリアアップは個人の努力次第だとされがちだ。でも、僕は、知力が30代、40代に向上しないのには、支援が少ないこと以上に、働く環境と個人のマインドセットが大きく関与していると感じる。

僕が日本で働いたのは20年以上前だから、今アメリカで働いている状態と比べるのは乱暴すぎる。それでも日本で働いていた時は主体性を持って働く割合が少なかったと感じる。どうしてもやらされ仕事が多かったと。だから自分の頭を使うのを怠ってしまいがちだった。メンバーシップ型終身雇用、定年退職、役職定年、年功序列。働き方改革と称して自分の働く時間を上司に管理される。これらがある職場環境では、どうしても学習意欲は失せるだろう。

個人のマインドセットも大きく違う。超ジョブ型雇用のアメリカでは、いつレイオフされてもおかしくない。自分のパフォーマンスに関わらず、自分が雇われた仕事が無くなれば、それでおさらばだ。自分のキャリアは自分で責任を持つしかないと腹をくくる。貪欲にキャリアアップにつながる仕事を見つける。貪欲に仕事を通してキャリアアップし続ける。会社もキャリアアップできる職場環境を提供できなければ、良い人材が集まらなくなる。

この知力テストは明確な正解がひとつの学校形式のテストだ。それを国ごとの平均点で、ランキングしている。そして記事の中で、日本がトップ級の知力となったのは、「一定水準の教育を保障してきたことにより、『分厚い中間層』が順位を押し上げたから」と分析している。このような学校形式のテスト結果の平均点でのランキングが、本当の意味での国の知力をどこまで反映しているかはとても疑問だ。だって、今は、平均点よりも、バラツキが威力を発揮する時代だから。正解はひとつではなく、自分が正解だと信じた道を往生際悪く諦めないことで正解を作り上げる時代だから。たとえ不正解だったとしても、次に正解を狙えばよい時代だから。



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