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資産所得倍増、中間層の拡大に向けて

外貨資産「増やした」4割 若手投資家、日本より米国株 - 日本経済新聞 (nikkei.com)

日本で資産所得倍増・中間層拡大が求められている背景には、2,000兆円にも上る家計の金融資産の過半が現預金であり、ロシアのウクライナ侵攻以降、急速に進んでいるインフレに対する対応ができていないことがあります。

こうした中、家計が金融資産から得る所得はこの四半世紀余りで半減しています。特に、少子高齢化が進む中、現役世代からの仕送り的な仕組みとなっている公的年金の支給額は目減りが予想されることからすれば、その補完のためにも、長期的に家計の資産形成を支援することは必要不可欠でしょう。

岸田首相は資産所得倍増計画実現に向けて、23年度税制改正大綱でNISA拡充を決定しました。具体的には、①非課税投資枠の拡大、②非課税期間の無期限化、①NISAの恒久化、の3点となります。ただ個々に見れば、投資に回せるお金がない家計も多く、投資知識にも差があることには注意が必要でしょう。経済成長が当たり前になって国民一人一人を豊かにし、株式などの資産に投資できるだけの蓄えを作らないと、資産所得の倍増も難しいといえます。

岸田政権は経済成長に向けた『新しい資本主義』に絡めて、スタートアップ関連投信の組成や、カーボンニュートラル政策を支援すべく『GX経済移行債』の個人向け発行、投信などによるESG投資を通じた資金提供や投資先企業との建設的対話を行うこと、等が提言されています。しかし、現状で人気の高い投資先は成長性が高い海外株価指数連動型投信などであり、家計の金融資産がリスク資産にシフトしたとしても、岸田首相の掲げるインベスト・イン・キシダにつながるとは限らないでしょう。資産所得倍増にはいかに外国人投資家に評価される成長戦略や規制緩和の成果をあげることができるかも重要といえそうです。

そもそも資産所得は株式の配当等から得られるものであることからすれば、倍増させるには富裕層への増税となる金融所得課税の強化は逆効果となります。また、市場関係者の中には、資産所得倍増のために日銀保有のETFを活用し、家計所有へと移管する策を唱える向きもあります。岸田政権はこうした市場のアイデアにも耳を傾け、長期の国家戦略として資産所得倍増計画に真摯に向き合うべきでしょう。

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