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縦読みマンガも「紙」で=ドイツのマンガ業界

ドイツの出版業界誌『buchreport』によると、ドイツでも縦読みマンガ「Webtoon」の人気が拡大しつつあるようです。本来、デジタルですが、紙版も増加しつつあるらしいです。今回はそのあたりの事情について、業界をざっくり眺めてみます。

日本のマンガ出版業界では「縦読み」は大きなトレンドなのかもしれません。先日も、セガサミーの参入が報じられていました。

さて、冒頭で触れた出版業界誌の記事は有料のために、冒頭部分しか読んでいませんが、ドイツでも縦読みマンガの需要が拡大しつつあること、本来はデジタルだが紙版の出版も増えていると指摘しています。

ドイツの「WEBTOON」の公式サイトの人気ランキング(2023年4月末現在)では、1位は『私の夫と結婚して』となっていますが、どれくらいの規模で人気なのかは分かりません。

ドイツでは、この縦読みマンガの紙版を制作する出版社として、「papertoons」が注目されています。

書籍業界誌『Börsenblatt』の2022年9月の記事によると、「papertoons」の共同創業者のレア・ハイデンライヒさんとミヒャエル・シュースターさんは、共にコミック出版社「Cross Cult」出身で、マンガ部門「Manga Cult」の立ち上げに関わっていました。
(「Manga Cult」といえば、『鬼滅の刃』や『メイド・イン・アビス』のヒット作により、強力なスタートダッシュを成し遂げたブランドでもあります)

同記事では、最新作(2022年9月当時)の『俺だけレベルアップな件』は、1巻の販売数が8万冊だったと書かれています。

「papertoons」の公式サイトによると今月(2023年4月)発表された新タイトルはこんな感じです。(公式サイトからのスクリーンショット)

そういえば、筆者も近所の書店を取材した際に、「papertoons」のコーナーを見かけていました。

そもそも、電子書籍はドイツで売れているのでしょうか?

ドイツの書籍業界団体「Börsenverein」の年次報告によると、2022年の電子書籍の販売数は、3730万冊でした。一見、多いようにも見えますが、売上高ベースでは、書籍市場全体における電子書籍の割合はわずか6%にとどまっています。つまり、ドイツでは紙の書籍がまだまだ現役のようです。

そう考えると、縦読みマンガの紙版のニーズもまだまだあるのかもしれません。では、デジタル版にチャンスが無いかというと、むしろ伸び代しかなさそうです。もし、ドイツのマンガ読者に支持されるアプリやプラットフォームの開発ができれば、そこには大きなチャンスがあるのかもしれません。


以上、ドイツにおける縦読みマンガの動向を探ってみました。何かの参考になれば幸いです。


タイトル写真:ドイツのマンガ出版社「papartoon」の縦読みマンガの書店コーナーのもよう。初出:『ねとらぼ』


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