「7普」中国の人口調査のデータ。14億人以上をどうやって調べているのか
中国統計局が5月11日に2020年に実施された「第7次人口普查」の結果を発表しました。元々は4月に結果を公開する予定でしたが、発表が遅れていて、ちょっと前までネット民たちの間では結果があまりよくないんじゃないかと激論されていました。
香港、マカオ、台湾を除く総人口は14億1177万8724人だったり、少子化や高齢化などのデータについては日本のメディアでも報道されてますね。
(日本の多くの記事の論調やコメントにはちょっと思うところあります、もう少し一次情報読んだ方が...)
ここでは普通のニュースであまりピックアップしない情報や個人的に面白いと思うデータを共有したいと思います。
■ 14億人の数え方について
桁違いに、世界一人口の多い中国では、10年ごとに人口の全数調査が行われます。その名も「人口普査」(普遍的調査との意味)といい、0のつく年に行われます。2020年に実施されたのが第7回で公式には「七人普」と略されますが、ネットユーザーはもっと略している「7普」と呼んでます。
という豆知識はさておき、0のつく年に全数調査、5のつく年に1%の抽出調査、それ以外の年に0.1%の抽出調査が行われて国勢を把握していることを覚えてください。
ここ数年、個人情報の全面的デジタル化に伴い抽出調査がよりやりやすくなったと言われていますが、全数調査となるとまだまだ人手がかかるそうです。「7普」は2020年11月1日から12日10日までで実施され、合計67.9万の調査機構と700万名の調査員を動員し、防疫対策をしながら入室調査が行われました。また、事後に31の県・直轄市の3.2万世代に及ぶ漏れ率についての抽出調査が行われ、漏れ率が0.05%とかなり高精度だと評価されています。
■ ちょっと面白いデータ(面白いという表現は不謹慎なのかな)
ここからは出てきたデータから個人的に興味深いと思ったところと考察を。
・戸籍からみて全国に4億9416万世帯があって、家庭を持つ人口数(独身の場合、家があれば家庭戸籍が認められる)が12.9億人、世帯平均人口数が2.62人(6普では3.10人)で縮小し続けています。その原因には不動産の発達や若者の核家族化にあると言われています。この流れは加速するでしょう。
・男女性別比について。こちらが性別比がグラフ化されたもの
徐々に男性比率が下がってきていますが、今回は2010年の6普とほぼ変わらない1.05対1でした。
ただ、%だとあまりピンとこないかもしれないので言い方を変えれば、男性人口が女性より3490万人も多いです。これじゃ結婚できない人も相当いるでしょう、中国男性の諸君は競争社会に身を置いています。
・教育レベルの面では、大卒人口数が2.18億人で非識字者率が2010年の6普の4.08%から2.67%になりました。
中国政府が貧困対策に力を入れていることも成果につながっているのかもしれません。このあたりはまた詳しく調べてみたいと思います。以前に中国の報道されない貧困対策について書いたnoteはたくさん読まれているのでリンクを貼っておきます、良かったらどうぞ↓
・漢民族が12.8631億人で全体の91.11%を占め、少数民族が1.2547億人で全体の8.89%を占めます。僕の友達にも少数民族の人が何人もいますが、全体の1割にも満たないことがちょっと意外でした。しかし少数民族人口だけでも日本の人口数を上回るって考えてみたらすごい。。
・31の県レベル行政地域では、広東省と山東省が人口1億人を超えました。中国人のイメージでは1億以上の人口を持つ河南省は、意外と9936.6万で1億を割っていてデータの大切さがわかります。また、人口数TOP5の県で全国人口数の35.09%を占めます。広い中国といえども偏りが大きいことがわかり、未来に少子高齢化社会を迎えた時に課題になりそうですね。
・戸籍地を離れて生活している人口数は4.9276億人で、かなりの人数が故郷を離れて暮らしていることがわかります。中国の戸籍については非常にややこしく、戸籍はビジネスになったりして、中国を理解するには必須の内容です。以前解説したものはこちら↓
・調査された中国大陸在住の外国籍人口は84万5697人です。また、香港人が37万138人でマカオ人が5万5732人、台湾人が15万7886人です。
ということで、面白いポイントはあったでしょうか?今回の調査はかなり人手を使って工数がかかっていたようです。10年後の2030年はほぼデジタルによって把握できるのか楽しみです。
今回発表されたデータのいくつかの点について個人的に疑問を持ちましたが、zhihuで説明してくれる賢者たちの解説があまりにも説得力があって信頼できる調査だと認識が変わりました。ここらへんは需要があればまたnoteで共有したいと思います。ハートとフォローとコメントをぜひよろしくお願いします。
(参考資料)