日本はいよいよ2035年に「ハン・ソロの国」になります【データ12】
スターウォーズの話ではありません。2035年には、日本の人口の半分が独身者になります。要するに半分ソロ(ハン・ソロ)の国になるのです。
独身というと、つい未婚者のことだけ思い浮かべがちですが、有配偶者以外はすべて独身なのです。つまり、15歳以上の全人口に占める独身者(未婚+離別死別者)数は、17年後の2035年には男女合わせて約4750万人となり、全体の46%を占めます。
※ちなみに5年前の推計では独身人口4800万人とされていて、それより今回の推計は50万人ほど少なくなっています。これは寿命の延長分で死別が減るという解釈だと思います。
拙著「超ソロ社会」でも書いていますが、もう間もなく「人口の半分が独身生活者となる、ソロの国」に日本はなるのです。日本のソロ社会化は不可避で、確実にやってきます。
それだけではありません。
日本はすでに超高齢国家と言われていますが、2035年には、高齢者男女3780万人に対して、独身者約4750万人と、独身の数のほうが上回ります。つまり、高齢者以上に独身者が多い国に日本はなります。まさに独身がマジョリティの国、「ソロの国・ニッポン」になるわけです。
この事実、なぜか国の白書などに載ったことがありませんし、官僚の方でも知らない方がいらっしゃる様です。高齢化ばかり取沙汰されていますが、高齢者より独身者が上回るという事実の認識は大切なことではないでしょうか。
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同時に、2035年は、単身世帯(一人暮らし)比率が4割になり、男の生涯未婚率が3割に、女の生涯未婚率が2割と、いずれも過去最高記録をマークすると推計されています。
だからといって、今更ジタバタしたところで何も変わりません。婚姻率がこれから上がろうと、出生率があがろうと、数字に反映されるのは最短でも20年はかかります。その頃には2035年はもう通り過ぎています。
「少子化対策をしてこなかった政府が悪い」とか「結婚しない若者がだらしない※」とか、そんな無意味な愚痴を並べ立てたところで、人口は増えません。大事なのは、そうした不可避な未来を現実として受け止めて、そういう環境下でどうしていくかという適応戦略を考えることです。
適応力がない者は滅びるだけです。
適応力ということでいえば、現在既婚の50代以上の男性にはぜひ心に留めておいてほしいことがあります。結婚後20年以上経過した夫婦の離婚構成比は2015年時点で約2割にまで拡大しています。1947年と比較すると実に6倍の増加です。15年以上でみると3割です。かつて離婚は、結婚5年以内の若い夫婦が6割を占めていました。それが今や離婚の主役は熟年離婚へ移行しています。
上記グラフのソロ爺になるのは、現在未婚の男だけではなく、そうした熟年離婚男性も含まれています。
「うちは大丈夫だ」
そう言い切れますか?熟年離婚を言い出すのは大抵妻側です。そして、そのタイミングは定年退職した直後だそうです。財産分与や年金分割で、離婚しても妻は経済的に困らないからです。そして、そうした突然の離婚を言い渡された男性のほとんどが「なぜだ?」と思うそうですよ。
「俺は今まで家族や子どもために粉骨砕身働いてきた。子どもも独立したし、仕事も辞めて、これからはゆっくりできると思ったのに。それなのになぜ?」と。
働く夫をATMと揶揄する言説もありますが、この人の言う通り、旦那の役割が、「家族のために粉骨砕身働いて、家族のために金を稼ぐこと」だとするならば、退職して働かない夫は、お金の出ないATMのようなものかもしれないんです。
ソロ爺の人口がなぜ極端に少ないか、わかりますか?
当然女性の方が寿命が長いということもありますが、離別した男性は自殺率が圧倒的に高く、さらには、自殺しなくても、離婚後の病気疾患率が他の人に比べて10倍以上も高いからです。特に、糖尿病疾患率があがります。長い間、妻に依存してきた夫は、ひとりにされると生きてはいけないのです。
若い人の結婚や出産に物言いする前に、ぜひご自分の未来についてお考えいただいた方がよろしいかと思います。人口減少や未婚化は不可避ですが、離婚の防止はこれからの行動次第で変えることは可能なのですから。
大きなお世話ですが、高齢になって独身になる率が高い都道府県ランキングはこちらです。
https://comemo.io/entries/6874
※「結婚しないのは若者が草食したからだ」というのも全くの誤解でしかありません。いつの時代も日本人男性は受け身で3割しか恋愛ができなかった。「イマドキの若いもんは…」と言いたい気持ちはわかりますが、そうした事実は認識したおいていただきたいと思います。
https://comemo.io/entries/5975
ちなみに、蛇足ですが、スターウォーズのハン・ソロの名前の由来も「ひとり者」という意味です。ハン・ソロはもともと家族もおらず、苗字もありませんでした。帝国アカデミーに入る際に、苗字が必要となりひとり者であることから「ソロ」の名を受付係に付けられたそうです。