見出し画像

AIに頼りすぎるとコミュ障になる??

「ChatGPTって、どんなに雑に聞いても丁寧に返してくれるからホントいいよね。ウチのメンバーと話すより楽でいいわ」と、あるITスタートアップ社長の弁。「それ、わかるわ〜」と同意する他の社長たち。経営者飲み会という、クローズドな場で "本音" の会話を聞く機会がありました。

そして、その社長はこう続けました。
「しかも、AIくんは疲れないんだよね。ずっと質問を続けてもいくらでも付き合ってくれるし。オレこの前気がついたら、オフィスで一日中AIと会話してたわ(笑)」

知った面々という中で、酔いも入った多少の誇張や、面白おかしく話しているという部分もあるかもしれません。しかしそれを差し引いたとしても、世の中は本当に急に変わりつつあるのだな、と肌で感じた瞬間でした。


また、程度の差こそあれ、他の経営者たちも自分たちがいかにAIを使っているかという話題で盛り上がりました。その日の集まりはIT関連の経営者が多かったことも理由でしょう。AI関連サービスを新しく自社の事業として展開しはじめた会社の経営者もいました。

さらに別の社長からは、「正直、ジュニアレベルの仕事がだいぶ減ったんだよね〜」という話もありました。業務改善コンサルティングを提供している企業です。


実際、彼の会社ではジュニアの採用ポジションを減らしたということでした。人件費や採用費用を削減できるから助かると。リサーチ業務や定形業務など、これまでは経験の浅い若手に振っていた仕事が、ちょっと工夫すればAIでもできることがわかったということです。

そして、「これまで、若手の育成にはコストもかかっていたからね。何を教えるにも時間がかかるし。で、ちょっと厳しくするとすぐにブラックとか言われるし。コミュニケーションに気を使う時間が減って、楽になりましたわ(笑)」と。


経営とは、通常でいえば「コミュニケーション」が重要な要素なはずです。しかしその経営のトップでさえ、「人間相手のコミュニケーションよりも、AI相手のコミュニケーションが楽」という感想を吐露しまうという事実。

まだ世の中のごく一部の話なのかもしれませんが、実際にビジネス領域においてこういう状況が進行しているのを目の当たりにして、ちょっと衝撃を覚えました。


確かにAIは、うまく使えばとても業務効率が上がるのは自分自身も実感しています。しかしながら一方で、これは、本当に気をつけないといけないなとも感じるわけです。

「人間相手のコミュニケーションが面倒だから、楽なAIに走ってしまう」

今後、そのような風潮がさらに進んでいくことになるのでしょうか?

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN2518X0V20C23A5000000/



「日本人は総じてAIに寛容である」などという意見やリサーチ結果を目にすることが増えました。

欧米などの一部の国ではAIの急速な浸透に対する危機感が高まっている状況なのに、それに比べ日本人はかなり楽観的にAIを活用していると。

その理由として挙げられやすいのが、『鉄腕アトム』などから連綿と引き継がれる「ロボットが人間を助けてくれる」という感覚が日本では優勢なことです。アニメ・マンガなどのサブカルチャーが醸成してきた文化が、AIに警戒感を抱かせなくしているという背景は、確かにあるのかもしれません。

しかし一方、知人経営者の事例で述べてきたように、「人間同士のコミュニケーションが煩わしい」と感じる気持ちこそが、AIとの "コミュニケーション" を好む人が増えている大きな理由なのかとも思うわけです。

特に日本という国においては、組織内のコミュニケーションに苦労している人がとても多いように見えるので。


先日、分からないことを上司に質問すると怒られたり説教されたりするので、「AIに聞くことが増えた」というある若手サラリーマン(匿名アカウント)のツイートを目にしました。

こうやって、「人とのコミュニケーションがめんどくさい」と思っている人ほど、どんどんAIを使うようになっていくのかもしれません。


しかしながら、AIが提供してくれる内容は、あくまで「過去の集大成」でしかありません。

たしかにAIの知識量は膨大で圧倒的ですが、ずっとAIと会話をしているだけでは、新しいことを生み出しにくくなるかもしれません。大げさにいえば、すべての物事が、「平均的なベストプラクティス」に近づいていくような気もするのです。

そういう世の中は、たしかに便利かもしれませんが、面白みを感じませんよね。


だからこそ、やはり人間同士の対話こそが重要だと思っています。これは自分自身、皮肉にも「AIの台頭」によってあらためて気付かされたことです。

AIの力もうまく使えば良いと思います。が、単に「楽だから」という理由に逃げず、やはり人間と人間の対話こそを大切にしたいとあらためて思っています。たとえ、コミュニケーションや感情のもつれなどに苦労することがあっても。

そうすることにより、自分自身のコミュニケーション力を成長させ、人間との能力を磨き、人と人とのチームワークを高めることによって、「もっと面白い、自分自身の描く未来」に近づくことができると思うのです。


////
Voicyで、この内容についてさらに掘り下げました。よろしければぜひお聞きください



ーーー
(お知らせ)
パーソナルブランディング/SNS運用1on1コーチングなどにご興味がある方は、DMなどでご一報くださいませ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?