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嘘よりもタチが悪い「Half-truth」とは何なのか。

「中途半端に嘘をつかれるのが一番嫌なんです」

お酒の勢いで友人にそう愚痴っていた時のこと。

私が具体的な事例を話すと、友人は「それは海外で言うHalf-truthってやつだね。確かに最もタチの悪い嘘の一種だよ。」と言われた。

Half-truthという表現は知らなかったが、調べてみて納得した。Half-truthとは、真実を含むが、重要な部分を隠したり歪めたりして相手に伝えること。要するに相手が誤解を招くように誘導する発言のことだ。

身近な例で例えると、こういうことになる。

例えば、あなたとお付き合いしているパートナーが「今日は友人のAさんと飲みに行ってくるね」と言って出かけたとする。しかしその飲み会はAさんを含む4人での合コンだった、というパターンだ。

同性のAさんと飲みに行ったことは嘘ではない。しかしその場にいる異性のCさんとDさんの存在は伝えなかった。

この状況であなたはパートナーを「嘘つき!」と断罪することができるだろうか。

実際、パートナーは嘘をついていない。伝えなかった事実があるだけだ。
もしあなたが後から事実を知って問い詰めたとしても「あれ?CさんとDさんもいるって言わなかったっけ?」と言い逃れされてしまうだろう。

これがHalf-truthの狡猾さだ。

もしパートナーが「Aさんと飲みに行く」と伝えて、Aさんがいない合コンに行っていたら明らかな嘘になる。

では、パートナーが「Aさんと飲みに行く」と言って、実際は同性のBさんと2人で飲みに行っていたとしたらどうだろう。

①「Aさんと飲みに行く」と言って、Aさんもいる合コンに行っていた。
②「Aさんと飲みに行く」と言って、Aさんはいない合コンに行っていた。
③「Aさんと飲みに行く」と言って、(同性の)Bさんと2人で飲みに行っていた。

断罪されるべきは①〜③のどれだろうか?

①は嘘をついていないHalf-truthで、②と③は嘘をついている。

本質的には①と②がほぼ同罪だが、嘘の概念からは②と③の方が「嘘つき」として同罪となる。

これがHalf-truthの狡猾さだ。

真実の一部だけを切り取って、相手を思考を誘導する。その手法はまさに昨今の、切り取り報道のようなものだ。

ではなぜ人はHalf-truthをしてしまうのか。

それは「嘘をつきたくないから」だろう。

では、その対象は誰か。

「相手に嘘をつきたくない」からだろうか。

違う。

自分が嘘をつきたくない」からだ。

嘘をつくと、そこには罪悪感が芽生える。だけど罪悪感は感じたくない。だから嘘を言わずに、相手に誤解させる。

「自分は悪くない。相手が勝手に勘違いしただけ」

端的に言えば、ノーリスクの他責思考。

これがHalf-truthの狡猾さだ。

そう考えると、潔く嘘をついてくれた方がまだ誠実と言えるかもしれない。

嘘はもちろん良くないが、それ以上のHalf-truthがもっとも相手を傷つけているのかもしれない。

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小島 雄一郎
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