今、注目されるエンタープライズアーキテクト、という職種について
「産業界のデジタルトランスフォーメーションをAIと人の協調により実現する」株式会社ABEJAの岡田です。
DXの重要性が年々増しているこの2-3年、従来より人気職種であった「データサイエンティスト」に加えて頓に注目されてきた職種が「エンタープライズアーキテクト(EA)」です。
EAは、米グラスドアが毎年、求人数や給与、満足度をもとにまとめている米国の人気職業ベスト50のランキングにおいて、2022年、1位にランクインしたと報道されました。
20年まで圏外にあった本職種ですが、21年に4位、22年にトップと急浮上した結果になっています。
記事中にありますが、EAは、組織全体を俯瞰して、企業のシステムやビジネスモデルの全体を最適に設計する役割を担います。
特にこのDX時代においては、経営戦略とビジネスモデル、デジタルをうまく融合させた設計が必要不可欠だと考えます。
データサイエンティストと同様またそれ以上に、今後、日本でも、EAは重宝される職種となることが想定されます。
私が代表を務めるABEJAでも、このEAのスタンスを社員に求めています。
ABEJAは、「ゆたかな世界を、実装する」をビジョンに、顧客企業に、基幹業務にAIシステムをシームレスに導入していただくことを提案し、DXを実現するビジネスプロセスの構築を支援しています。
AIもDXも、顧客企業にその場で視覚的にお示しできるものではありません。
加えて、顧客企業のボトルネックとなっている課題解決のためには、時間と予算がかかる案件が多いため、中長期的なロードマップをひいていただくことが必要となります。
ABEJAの社員は、エンジニアやマーケティング、バックオフィスなど部署に関わらず、経験を積むうちに、
顧客企業に真の価値を提供するためには、個別最適に陥るのではなく、経営課題の解決を実現できる俯瞰的で本質的な提案をすること
顧客企業にご理解・ご納得いただくためには、技術用語や専門用語を並べた資料で「正しく」説明するより、できるだけ平易な表現で「イメージ」させられる説明をすること
の重要性を学んでいきます。
企業における課題やそれを解決するための手法を含め、DXが関与すべき環境全体は年々複雑化を増しています。
皮肉なことに、関連する部署やメンバーが多くなるほど、プロセスや理論は専門的になり、複雑になるのでしょう。
今、多くの企業で求められているのは、こうしたEA的な役割を担えるプロフェッショナルの存在なのではないでしょうか。
私は、企業におけるDXは、経営課題を解決する手段であって、DXを目的にしていけないと考えています。
これについては当然のことだと皆さん思われると思いますが、私が再三申し上げる理由が、特に長く、サイロ化した組織で業務遂行が行われてきた日本企業においては、どうしてもプロセスのどこかで個別最適に戻ってしまいがちとなるためです。
米国内では、既に、EAという肩書をあえて作らず、全社員がそうした意識を持つように育成している企業もあります。
日本企業では、DXを担う人材全般が不足しておらず、EAの育成には至っていない企業が大半ですが、今後、企業変革においては欠かせない人材となるでしょう。