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海外のアニメファン有志の活用の可能性と限界=ドイツから考える

世界中のファンがアニメ記事を翻訳する

というサービスの準備が日本で進んでいるそうです。日本から発信されるアニメ関連の情報を世界中のファンに翻訳してもらうというプロジェクトのようです。特徴として翻訳に協力すると仮想通貨による報酬が得られるそうです。詳しくは以下の記事をご参照ください。

仮想通貨による報酬制度は目新しいような気もしますが、今回は、海外のアニメファン有志の活用について考えてみます。

まず、メリットとデメリットについて考えてみましょう。

メリットは、安価な労働力の確保。これに尽きるでしょう。しかも報酬は仮想通貨ということですから、実質的な支出はほぼ無しと考えてよさそうです。

一方のデメリットはなんでしょう?これは、翻訳精度の品質管理など、有志の協力者のマネジメントだと思います。

好きだから、無償でも作業する、ということは必ずしも品質の確保にはつながりません。ポイントとなるのは、彼らの成果物のチェックをきちんとプロに頼むということだと思われます。

成果物の管理は、翻訳精度だけでいいのでしょうか?

日本からニュース記事を配信した場合、ニュース記事であっても多かれ少なかれローカライズの必要性が発生します。つまり、現地の読者に向けて必要な情報は何かということです。

例えば、そのニュースの背景情報の有無です。日本人にとっては自明のことであっても、海外のファンにとってはそうでないこともありえます。必要な情報を書き足す裁量が許されるのかどうか、そしてどこまで書き足していいのか。または、不必要な情報を削除していいのか。こういった編集業務まで有志の協力者に任せてしまっていいのでしょうか。

こうした筆者の杞憂は対策がすでに考えられていると思いますが、今後の展開が気になるプロジェクトです。

さて、こうしたアニメファンの業界での活用はまったく新しいものでしょうか?

くだんの記事中に登場する「賊軍を官軍にしたい」というメッセージは、海外の違法アニメ配信サイトにおける字幕翻訳者たちの活動が念頭にあるではと推察します。

PCゲームでもいわゆるビジュアルノベルなどの分野で、ファンによる翻訳がその後、公式の翻訳として採用されたというケースもあると聞いています。

筆者がよくかかわっているアニメファンイベントでは、スタッフの多くはボランティアつまり有志の皆さんの活躍に支えられています。日本からゲストを招いた場合、主催者が通訳者を手配する場合が多いですが、この通訳者もボランティアの場合が多いです。

そして通訳がうまく機能しない場合も見かけるわけですが、そこで考えるのは「品質管理」の問題です。有志のファンによる努力は称賛に値します。しかし、能力の見極めや、場合によっては事前に研修するなど責任をもって通訳者を管理できるプロが必要だと常々感じています。

業務の割り振りを考えた場合、どこまでが現実的なラインなのでしょう。皆さんは、有志によるファンの活用はどこまでできると思いますか?


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タイトル画像:アニメファンイベントにおける有志のスタッフたち。閉会式でステージに上がり来場者から労をねぎらわれる。2014年ドコミにて。筆者のチームが撮影。

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ダンケ!
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Kataho@フランクフルト

日独文化交流家(日本ポップカルチャー) ドイツ、フランクフルト在住。日本のポップカルチャーを通じたドイツでの文化交流を支援しています。活動での「気づき」や日々の情報収集で感じたことをドイツからお届けします。 https://twitter.com/sakaikataho

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