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人的資本投資を経営に取り入れる際に気をつけるべきこと

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

2021年4月に行われた東証のガバナンスコードの改訂をきっかけとして、上場企業を中心に「人的資本」への注目が集まっています。最近では特に「リスキリング」という言葉を目にすることが増えてきました。働き方改革、ハイブリッドワーク、ジョブ型雇用などなど、経営にまつわる話には常に人材が関係してきます。

ヒト、モノ、カネは経営の三大資源と言われますが、これらを経営に必須である財務諸表に反映するためには、共通言語である「お金」に変換する必要があります。よって、人は固定費というコストで表現されることとなり、終身雇用が前提である日本型雇用においては長い期間にわたって積み上がるコストという意識が拭えません。

また、コストではなく資本で捉えた場合、投資ということになります。しかしながら、投資によって得た資産には一定のリターンが求められます。事業においては事業計画の中で投資回収計画が語られますが、投下資本以上に利回りがあるのか?(教科書的に言えば、ROICがWACCを上回っているか?)というのは基本的な問いの一つでしょう。

ただこの考え方自体、人をモノとして考えるフレームワークに基づいているわけであり、突き詰めると「ひとりあたりの投下資本回収率」をチューニングすることになりそうです。仕事というのは一人でできることは少なく、会社組織の中でのチームワークが生産性に大きく影響します。ひとりを二人にすることで、2倍以上の成果が出ることも珍しくはありません。

今まで労務コストとしてみなされてきた、人材に対する教育訓練などの支出を、将来、より大きなリターンを生み出す人的資本への投資と捉え直す。この発想の転換が起きつつあるのは、重要な変化だ。

ただし現状では、企業の情報開示のあり方に焦点が偏りがちになっている。もちろんこの点も大切だが、そこだけが考えるべきポイントではない。本稿では、物的資本との対比という観点から、人的資本を考える場合の要点と、そこから見えてくる企業や社会のあり方を、やや大きな視点から考えてみたい。

すると、チームワークを以下に人的資本の中に組み込んで表現できるかは、経営上で非常に重要なテーマとなります。以前の記事でもデータの取り扱いについて気をつけるべき点を指摘しました。

例えば離職率ないしは平均勤続年数をみるとしましょう。当然のことながら、終身雇用の伝統的日本企業のほうが低く、長いものとなるでしょう。急成長している話題のスタートアップなどは、平均勤続年数は2年弱、離職率も高めに出ます。そもそも創業して数年だったりするわけですから、当たり前の話です。さて、どちらが今後大きく成長するかを考えてみれば、単純に数字だけをみるのはミスリードになる可能性があることがわかるでしょう。

組織や会社に紐づくべき資産・付加価値というものをどのように見える化し、それを会社の仕組みとしてマネージメントしていくか。その付加価値を増やしていくためにはどういう施策が必要か。これまでなかったものですので、試行錯誤しながらその会社らしい型をつくっていくべきでしょう。

チームワークに関しては、ビジネス書の中で定番とも言える人気カテゴリです。それだけ悩んでいる方々が多いとも言えます。最近ではそれを究極の組織体である海外特殊機関に学ぶ書籍が続々と出版されています。

特殊部隊のリーダーというと絶対的ヒーローを思い描きがち。だが本書のリーダーシップは「俺についてこい」ではない。部下にも権限を与え、適度にアドバイスするのが特徴だ。著者が部隊の同僚リーフ・バビン氏と記した「米海軍特殊部隊 伝説の指揮官に学ぶ究極のリーダーシップ」(長澤あかね訳、CCCメディアハウス・21年7月)にも「チームがすべて」「チームがなければ、リーダーシップも存在しない」との文言が躍る。

生死と隣り合わせの厳しい任務を遂行するための、究極のリーダーシップとチームワーク。古くて新しい分野ですので、自分なりに考え抜く必要があるでしょう。

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タイトル画像提供:mits / PIXTA(ピクスタ)

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