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フリーランスのブランディングで考えるべき「8つの設計」。

中村保晴 | 事業戦略家

「ブランディング」という言葉は「BRAND」+「ing」で BRANDING です。 だから「ブランディング」を直訳として考えてみると「ブランディングの進行形」。つまり、「ブランド化すること」とか「ブランド化していること」だと言うことができます。

「ブランド」と「ブランディング」

ここが間違いやすいところなのですが、 「ブランド」という単語が出てくるから「ブランディングって、ブランドをつくることでしょ」と認識されやすいのだけど、その捉え方だと 特にフリーランスビジネスの場合は混乱しやすくなります。

なぜならば、「ブランド」というのは、一朝一夕では構築されないものだからです。ブランドとはある意味、暖簾の力。長年の信頼の証でもあるわけです。

「ブランド」とは、それを他のあらゆるものと区別するためのイメージ総体や概念です。例えばレクサスのブランドは、あのシンボル(マーク)とレスサスの品質やコンセプト。そしてそれらを顧客が体験していくことによって世の中が認知したブランドイメージとを結びつけたものであるわけです。

つまり、あのロゴを見るだけでその品質や価値が想像できるように戦略的に創り上げられた概念。ロゴのことではなくて、ロゴなどによって想像される顧客との信頼の構図こそが「ブランド」だと言えるのです。

スターバックスも、あのタロット風の女性のマークや深緑のカラーを見るだけで、スターバックスのコンセプトである「家でも職場でもない第3の場所 : スターバックスコーヒー」の匂いや風味や店内の雰囲気までを、世の中の人々が容易に想像できるように、長い期間かけてつくられたブランドイメージそのものなのです。


フリーランスが考えるべき「ブランディング」。

そういう意味でいうと、フリーランスが考えていくべきは「ブランド」ではないことがわかります。レクサスのようにブランド価値を顧客体験によって  顧客との信頼関係をつくっていくことはフリーランスにも必要でしょう。フリーランスに限らず、どんなビジネスにもそれが必要であることは間違いありません。

しかしフリーランスには、じっくりゆっくり顧客体験や顧客との信頼関係をつくっていくための資金も時間的余裕もありません。フリーランスが考える「ブランディング」の目的は「売れること」です。できるだけ早く、できるだけ直接的に「売れる」という結果を生むために考える「戦略」なのです。

それでは「フリーランスのブランディング」は何をすることかというと、顧客に 他(競合他者・競合他社)との区別(違い)を直感的に想像していただくための「イメージの総体」をつくっていくこと。そしてそのイメージによって、顧客が”勝手に”その価値を感じてくれるように仕掛ける戦略が「フリーランスのブランディング」なのです。


フリーランスのブランディングは
「価値」と「違い」と、その魅せ方の総体。

いわゆる大手が行う「ブランド化」という戦略と、フリーランサーが行う「ブランディング」とは何が違うのか。

それは一言でいうと、「暖簾と打ち出し」の違いです。 
企業がつくる「ブランド」には「暖簾力(のれんりょく)」が必要です。つまりマークやシンボルを見ただけで、過去にその商品に触れた体験を想像でき、CMや広告で見たときに感じた印象が頭の中で甦り、それを買った後のイメージが湧くのです。

企業はメディアミックスを仕掛けて、いろんな場所にその商品ブランドを打ち出すことができます。そうした告知活動の中で顧客との接点をつくり、その接点からなる顧客体験によってブランド化を創造していきます。そして企業はその「暖簾の力」を得るために、費用や時間や労力を使って戦略的にそのイメージ総体を確立していくのです。

一方、フリーランスや中小企業の行う「ブランディング」はそんなにコストや時間を使えません。なぜかというと、ブランディングする必要性が「売れるため」という直接的な目的であるため。つまり時間と資金をかけて暖簾に重みを加えていく工程に耐え得ることができないからです。目的が「売上に直結するブランディングにしたい」。それがフリーランスがブランディングをする意味そのものです。

だから、フリーランスや中小企業のブランディングは、マーケティングと隣接しているのです。その点がマーケティングとブランディングが同じもののように捉えやすい要因かもしれませんね。

その意味で、フリーランスや中小企業のブランディングは「価値の打ち出し」。 大手の行う「ブランド化」は「シンボルによる価値の認知」「顧客体験によるイメージの構築」ということになるでしょう。


価値とは。

「価値の打ち出し」と「価値の認知」。少しわかりにくい表現だと思うので、そこを少し深掘りしていきましょう。

価値の打ち出し」という言葉は、価値を知ってもらうこと。それは世の中がその価値を「知っていない」ということが前提になります。「知らないから訴求する」ということです。つまり、誰にも知られていないものだから「私の価値を知ってもらおう」ということですね。

一方、「価値の認知」という言葉は、すでにその価値は顧客体験やCMなどによって「知られている」または「人から聞いたことがある」「雑誌で見た」などの印象があるということです。世の中から見て「ああ、それってこうでしょ」という印象・イメージがあるものが、ロゴやシンボルやデザインなどを見せることよって、それを見た人は瞬間的にその価値を思い起こせる認知性があるということです。だからつまり、「ロゴ」→見る 「あ、スタバだ」→認知する 「スタバってこうだよね。行かない?」→来店する  ロゴを見ただけで最短距離でイメージを膨らませることができるのが「ブランドの力」です。

それでは「価値」とは何か。そこがひとつのキーワードになってくるわけです。よく使われる言葉だからこそ、要するに何? という問いに答えられなければ抽象的な理解になってしまう。そう思うからその定義を共有していく必要があると思うのです。

価値とは「それを必要としている人の数」「それを欲しいと思っている人の数」です。ここではそう定義していきながら話していこうと思います。

それを必要としている人の数。それが「価値」です。
いくら優れたものでも、いくら高性能なものでも、いくら高級なものでも、それを「欲しい」と思う人がいないのなら価値がないということです。

価値とは高性能や高級感とは違う特徴です。極端に言えば、イマイチなものでも欲しいと思う人がたくさんいるのなら、それには価値があるということになるのです。

そして価値とは、「あ、それ欲しい」という感情の変化を促します。「そうそう、ちょうどそういうのが欲しかったんだよ」。という感情が、購買行動を促すのです。


「価値の打ち出し」とは。

フリーランスがブランディングを考える時に、大手のように「ブランド」を作ろうとしてはいけません。価値も認知されていないのに、なんとか直観的に認知してもらおうとロゴやデザインを最初に作ったとしても、そもそもそのロゴを見ただけでは「何もイメージが湧きません」。

だって、その価値はまだ認知されていないのですから。ロゴを見ても「かっこいいロゴだな」「かわいいロゴだな」と、見た目デザインの印象しか与えられないのです。

だからまず「価値を明確にする」というところから入って、世の中に伝えるべく自分の価値を考えることから始めるべきです。「価値の訴求」「価値の打ち出し」を考えることからブランディングを仕掛けていくのです。

フリーランスのブランディングは、「自分の価値」をどうやってつくり、その価値をどうやって「世の中に発信」し、そしてどうやって「その価値を知ってもらうか」という「打ち出し方」を考えるべきだと思うのです。


フリーランスが考えるべきブランディングとは。

フリーランスは、まず 自分のビジネスや商品・サービスの価値が認知されていないと考えるべきでしょう。それがもし、すでに立ち上がっているビジネスですでに顧客がいるとしても、その価値を正しく魅せること、その価値をしっかりと打ち出すことを考えていくべきです。

なぜならば、あなたの価値はもっと多くの人に知ってもらうべきだからです。そしてその価値をもっと多くの人に体験してもらうことこそが、将来のブランド化につながると思うからです。

だからまず、あなたの商品やサービスがどんな価値を持っているのか。 それを徹底的に洗い出す必要があります。 そしてあなたの商品やサービスを買ってくれる人を研究するべきです。その人の困りごとを考えに考え抜くことです。

あなたの商品・サービスが、それを買ってくれる人(まだ買ってくれてない未来の顧客)のどんな問題を解決するのか。その問題を解決できる他の人(競合)と何が違うのか。 あなたから買った場合のベネフィットは何か。そしてその他の人(競合)と明確な「違い」を自分で設計し、最終的にUSPとして打ち出すのです。


フリーランスのブランディング 8つの設計 

①あなたの価値をつくる 
②顧客を知る(どんな人か具体的に想像する)
③顧客の困りごとを考える 
④それを自分がどうやって解決するのかを具体的にする  
⑤競合との「明確な違い」を打ち出す  
⑥その「違い」をUSPとして言葉化する 
⑦それを結びつけるクリエイティブとストーリーを組み立てる 
⑧あなたの商品・サービスを「訴求」する
フリーランスのブランディング 8つの設計
フリーランスのブランディング  書き出しシート


これはフリーランスビジネスを組み立てるときの8つの「工程」です。手順と言った方がわかりやすいかもしれません。この順序でひとつひとつ抜けなくしっかり考えていくことが大切になります。

特に①〜⑥の工程はじっくり時間をかけて何度も消して何度も書き加えてを繰り返しながら設計していきます。

そこまでやってはじめて⑦のところでロゴやデザインというフェーズに入っていけるのです。それがフリーランスのメイク・ブランディングの工程です。

つまり言い換えれば、フリーランスのブランディングと「自分の価値を創ること」はとても関係性が深いからです。価値がないものを「打ち出し」するとどうなるか。まさにザルに水になります。何も引っかからない。ただ広告費を流してしまうだけです。

なぜかというと、フリーランスのブランディングとは 「その価値」を多くの人に訴求して「多くの人に知ってもらい、興味関心を抱いていただく」ためにあるのですから。 あなたの商品・サービスの価値を直観的に知ってもらうためのデザインやロゴなのですから。


自分でつくり上げるから「価値が高まる」。

ストーリーやクリエイティブなどの専門分野は別として、フリーランスのブランディングは、基本的に自分が「気持ち」を入れて設計することが必要になります。 もし専門家を入れるなら、サポートしてもらう立場で入れるといいでしょう。あくまで思考の中心は自分であるべきだと、私は思います。

フリーランスはどうしても競合が多くなります。資本投下できないし、入口が広いからです。しかも同じような商品やサービスを持つ競合が溢れかえっています。

だからこそブランディングを考えるべきです。そのブランディングによって、あなただけの価値を打ち出して、それを武器にして「選ばれる自分」になっていくためにブランディングはあるのですから。

もう一度だけ言います。
フリーランスのブランディングとは、つまり「あなたの価値」です。その「あなたの価値」を打ち出すことによって、多くの「それを必要としている人」の目に留めることです。

そのために必要なものは何か。それが「あなたの価値」です。それも「伝わるレベルの価値」です。「伝わる」ために、ストーリーやクリエイティブとして表現する方法もあるというわけです。

そしてブランディングは「直感的」でなくてはなりません。文章を最後まで読んだらわかるではダメなのです。それが目に止まった瞬間に「興味関心レベル」が一気に噴き出さなければならない。

それもこれも、もしあなたに価値がないのなら。そうならば価値を考えましょう。価値を創りましょう。

それこそがフリーランスのブランディングの土台のようなものなのですから。



■中村保晴 メンバーシップがはじまりました。フリーランスタウン計画にご賛同の方はぜひご検討ください。



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