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氷山の一角!? 国内トラック輸送から見る物流業界の未来
Willbox 代表の神です。気がつけば2025年も1ヶ月が経とうとしていますが、本年もどうぞ宜しくお願い致します!
新年1本目のnoteはこちらの記事に触れていこうと思います。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB09A010Z00C25A1000000/
トラック運賃が過去最高を記録し、繁忙期の運転手不足が顕著になってきました。この状況は、ただの一時的な課題ではなく、国内トラック輸送産業全体に波及する構造的な問題です。特に、スポット輸送の運賃上昇やチャーター料の高騰が示しているのは、従来の「長時間労働でカバーする」モデルがもはや限界に達したという事実です。
私はこの現象を「物流業界の転換期」と捉えています。長時間労働に頼るのではなく、業界全体が効率化や連携を進めることで新しい価値を生み出す必要があります。現在、多くの企業が共同配送や混載輸送を進めていますが、業界全体としては、まだ「自社完結」にこだわる企業が少なくありません。しかし、このままでは人材不足による淘汰の波は避けられません。また、2024年問題は国内トラック輸送・配送の問題として捉えがちですが、これによって輸出入を含んだ国際物流にも大きな問題が発生するのです。まさに氷山の一角と言えるでしょう。
今回は、国内トラック輸送業界が成長を続けるためには、次の3つのポイントが鍵になると考えています。
1. 業界の連携と仕組みの共有化
スポット輸送の需要が高まっている背景には、荷主側の急な対応依頼が増えていることもあります。運送会社単体でこれに応じるのは困難ですが、複数の企業が協力し、効率的な混載輸送ネットワークを作ることで、スポット輸送の負担を減らすことができます。現在の「運べる荷物を選ぶ状況」をチャンスに変えるため、業種を越えた新しい物流体制の確立が重要です。まさにフィジカルインターネットの仕組みです。
2. 労働環境の見直しと新しい働き方の導入
運転手不足は、給料や労働環境の問題だけでなく、働き方改革そのものが遅れていることも原因です。ただ、柔軟な勤務体系や、働き方の選択肢を増やすという一般論は物流業界にはすぐ浸透できません。なぜなら「モノを届ける」ということに対して、いつまでに届けるという物理的な時間軸が発生するからです。そのため、過去に佐川急便が行った「佐川男子」や、GLPなど物流不動産業界が取組んでいる地域と密着した「働く場所」の提供、業種は違えど前澤さんが創業したZOZOが取り組んだ「一律同額の給与制度」など、そこで働く理由や、ブランディングによる打ち出しでイメージを払拭しつつ、求職者に興味を持ってもらう必要があります。それによって新しい層の雇用創出にもつながります。
3. テクノロジー活用の加速
近距離輸送では、AIを使った需要予測や最適ルートの生成、無人配送や自動運転の導入も現実味を増しています。長距離輸送やトレーラ輸送、定期便で決まった輸送ルートを走るミルクラン輸送の車輛には、未だにカーナビが付いておらずドライバーの経験と勘で走るトラックも少なくありません。ドライバーの問題ではなく、企業としての取り組みが必要不可欠です。すべてをテクノロジーで賄えるほど業界は定型化されていませんので、現場にあったレベルのテクノロジーを活用する必要があります。こうした技術が少しでも「人手不足のギャップを埋める存在」になるでしょう。ただし、導入にはコストと時間がかかるため、業界全体の標準化や補助金を含む支援制度の整備も欠かせません。
今後、淘汰や再編が進む中で、生き残るのは「変化を恐れず、新しい仕組みを取り入れられる」企業です。物流はただ物を運ぶだけの仕事ではなく、経済と生活の基盤を支える役割を担っています。私たちが今問われているのは、「どのように未来に対応するのか」。会社としても個人としても挑戦を続け、この転換期を乗り越えていきたいと思っています。