「見る目」養成のために、「企業人」の社外活動の活性化が重要では。

 この本庶先生の指摘は、大変耳が痛いです。私は、大学にも、企業にも所属しているので、この事実をとても肌で実感しています。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36792840T21C18A0MM8000/

「見る目」つまり、大学の研究を、日本の企業でもっと活用するにはどうしたら良いでしょうか。簡単に言えば、人材交流です。具体的には、日本の企業の方が大学にもっと足を運べば良いのです。

私は、数学の領域で産学連携をお手伝いしています。しかし、この産学連携では、決まった企業の方たちと会うチャンスは非常に多いのですが、逆に出会える企業はあまり増えません。極端に言えば、いつも同じ企業と研究をし続けます。私の考える理由は2つです。「大学の門を超えるハードル」と「企業による社外活動の抑制」です。

「大学の門を超えるハードル」とは、ずばりどの大学に相談に行けばよいのかわからないという、「企業の情報不足「と「大学の情報公開力の弱さ」です。そして、この「企業の情報不足」は、実は残りの理由である「企業の社外活動の抑制」からも起きています。

「企業の社外活動の抑制」とは、企業人が外部に出ることを抑制していることです。例えば、企業での最先端の活動を秘密にしたいので、社外に出ない。さらには、会社の中の仕事が忙しいので、外部に出かける余裕がない。さらには、「人に会わなくても」、情報を調べれば知ることができるのではとの幻想などから、この抑制は起きているのではないでしょうか。

最先端の研究とは、実は明示的な文章になっていないことが多いのです。このように整理されていない研究を知るためには、社外に出て人に会うのが最善なのです。しかし、企業の文化では、企業内の会議も、出張も減らす方向にあります。そのことと同義に、社外の方と会うのを抑制しているとするならば、大きな問題です。

企業の方は、最先端の研究の「見る目」を持つには、積極的に社外に出て、断片的な情報を集めて、最先端の研究知ることから始めないといけないのです。

この本庶先生のご指摘は、そのような企業の基本的な活動にも示唆を与えてくれているのでは、ないでしょうか。

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