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自動運転車の必須部品「LiDAR」。京セラが参入

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

先週は夏休みで沖縄を旅行していたのですが、おどろいたことがありました。レンタカーを利用したのですが、まぁ走ればいいやという感じで安いグレードのものを借りたところ、車線逸脱警告やACC(オートクルーズコントロール)等の運転支援機能がしっかりと搭載されていました。一昔前であれば高級車にしかなかった機能が、だいぶ普及してきたことを実感しました。

これらの機能は自動運転の定義にあてはめると「レベル2」に該当し、自動運転というより運転支援。一般的に自動運転と呼ばれるのは、「レベル3」からと言われています。

いよいよレベル3からが自動運転と呼ばれるレベルです。

システムが高速道路など特定の場所に限り交通状況を認知して、運転に関わる全ての操作を行います。ドライバーが緊急時やシステムが作動困難になった場合は対応を行います。

自動運転を実現するのには、人間の感覚器の代わりとなるセンサー技術が要です。特に目を代替するセンサーとなるレーダーは、高性能・低価格・高信頼性を実現すべく各社がしのぎを削っています。欧米勢が先行している市場ですが、日本からも京セラが参入することを発表しました。

京セラが開発したのはライダーと画像センサーを組み合わせたセンサーモジュール。MEMS(微小電子機械システム)などの制御技術を生かして100メートル先の10センチ四方の障害物を認識できるという。京セラが基幹部品の多くを内製化し、さらに高額なミラーを使わないなどの強みを生かし、価格を50万円以下と現時点の競合の半値以下に抑える。同社の実験によると、競合品に比べて精度が6倍以上高く、ライダー専業の米ベロダイン・ライダーよりも高精度で安いとみられる。

京セラは20年春にも自動車関連メーカーに試作品を出荷し、自動運転のレベル3が本格化するとみられる25年に量産化に踏み切る方針だ。

日本ではこれまで「レベル3」以上の自動運転は公道で許可されていませんでしたが、改正道路交通法と改正道路運送車両法が2019年の通常国会で成立。20年春には、公道で「レベル3」の自動運転ができるようになる見通しです。「レベル4」以上の実現には、さらなる法整備が必要とみられています。

しかしながら、「レベル3」の自動運転には大きな課題があり、解決の見通しは不透明です。独Audi A8は世界で唯一のレベル3の自動運転を搭載していますが、各国の警察や政府機関の許可がおりずいまだに実現できずにいます。「レベル3」の最大の課題は、緊急時にはドライバーが操作することでシステムの弱点を補うことになっているがゆえに、運転の権限がシステムから人に移譲する場合があること。これにより、事故が起こった際の責任の所在が問題になります。つまり、レベル3の自動運転中の事故は自動車メーカーが責任を負うが、レベル2は「運転支援」であり、事故の責任は運転者にあります。自動運転中に「緊急!」と判断するのはシステム、それをスムーズにドライバーが受け取れるのか。ダメだった場合の責任があいまいになりかねません。

この難しさから、現実的には「レベル3」は飛ばして、一気に「レベル4」にいくのではないかという予想も出てきています。

「(条件付きで自動運転が可能な)レベル3の自動運転車が普及する時代は当面来ない」――。多くの自動車メーカーに自動運転や先進運転支援システム(ADAS)向けの部品を供給する自動車部品世界2位の独コンチネンタルのトップが断言した。

同社最高経営責任者(CEO)のエルマー・デゲンハート氏は、2030年時点で世界の新車販売台数の占めるレベル3対応車の割合は「数パーセントにとどまる」(同氏)と読む。

一方で、あくまで運転支援の領域であるレベル2のシステムは、新車の過半に搭載されると予測する。7月上旬に独ハノーバーで開いた技術説明会で、自動運転市場の見通しを示した。

京セラは一般車へのレベル3の普及を見越して参入したようですが、上記のようにうまく市場が立ち上がるかどうかは懐疑的な見方もあります。それでもレベル3以上の自動運転車には不可欠な技術であることは間違いないと思います。高い技術と安い価格を両立することが得意な日本勢の強みを発揮して、世界に羽ばたいてほしいですね!

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タイトル画像提供:metamorworks / PIXTA(ピクスタ)

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