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魅力的な街と「標準化」の限界

 最近、米国カリフォルニアの南部にある町、ラグーナビーチを訪問した。街を歩いても、海岸沿いの公園を歩いても気持ちがよく、いつまでもいたいと思った。至る所にアート作品が飾ってあり、行きゆく人々もとてもフレンドリーなことも重要な要素であった。
 しかし、もっと重要な別の要因がある気がした。どこが違うのかと思って、ある時、気づいたのは、街の中にチェーン店がほとんどない。ほとんどの店がローカルな特徴ある店ばかりである。だから、店ごとに入ってみたい気になる。
 チェーン店というシステムは、標準的なプロダクトやサービスを国の隅々までの行きわたらせることに20世紀に大きく貢献した。しかし、今世紀に入り、このような一律の商品やサービスはほぼ一巡し、それ自体では大きな価値を生まなくなっている。需要は多様化し、また変化しやすくなっている。ローカルな特色有る商品やサービスにこそ価値がある時代になったのである。
 もちろん、規模が大きくなれば、仕入れコストや開発する人材面などいろいろなスケールメリットがある。だからチェーン店による標準化と横展開は有利である。しかし、顧客の本当に欲しいものには向き合っていない。
 この矛盾に正面から向き合っている企業はまだない。AIやデータを使うことが大きな鍵になるであろうが、まだその姿を明確に描いた人はいない。この対立を超えたところに、チェーン店を超える革新的なリテールの姿があるに違いにない。

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