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「誰かの頂」よりも「自分の頂」に立つためのコミュニティ

日本が芸術文化大国となるためには、世界のクリエイティブシーンでトップ・オブ・トップに立つクリエイターを輩出することは大切だ。しかし、ぼくはクリエイターが目指すべき山はエベレストだけじゃないと考えている。今回は、クリエイターがコミュニティを持つことの意義について綴っていきたい。


なぜクリエイターにコミュニティが必要なのか?


「クリエイターが活きていける世界を実現する」

オシロ社が掲げるビジョンだ。このビジョンを策定した背景には、ぼく自身がアーティストとして活動していたものの、才能がないことを自覚し30歳で活動に終止符を打った経験がある。

表現したいから、ただただ創作し、幾度となく展覧会に応募する日々。作品はそう簡単には評価されない。もがきながら創作活動をしている過程の孤独は問題なかったが、創作活動に没頭している時以外にふと気づかされる孤独感は、正直辛かった。

創作活動をしていた6年間は、上司も同僚もいなかったので、他愛もない世間話ができる人がほしいと思ったし、欲をいうならともに切磋琢磨する仲間がほしいとも思った。なにより、絵を買ってくれる場所も、買ってくれる人と出会える場所も少なかった。

それは現代であってもあまり解消されていないように思う。現に日本中の美術大学や専門学校で若手クリエイターは数多く輩出されている。しかし、その多くが途中で創作活動を諦めてしまっている現状がある。

クリエイターが活動を継続するには才能だけによるものではない。お金がないこと、応援されないこと、どちらも創作活動の芽を摘むには十分すぎる要因になる。

「誰かの頂」ではなく、自分自身を表現できる場


どのようなクリエイターも、自分自身を貫き続けることができる世界を実現したい。だからこそ、OSIROを開発した。

OSIROは「お金とエール」を継続的に受け取れる仕組みがあり、自身が望む創作活動に専念する場として機能する。これまでは点でばらばらだったクリエイターの応援者がコミュニティのなかでつながり、絆を深めることによって、応援者が応援団となって、活動の持続性が増していく。そんな場を求めるアーティスト向けにプラットフォームをつくろうと決意したのだ。

こうした背景から、われわれの開発思想は「人と人が仲良くなる」としているが、自然とコミュニティに集った人同士がつながり、より大きな力を発揮していく仕組みともいえる。

コミュニティの力によって応援団となった熱量の高い応援者たちは、言い換えればクリエイターの深い理解者でもある。そのため、トレンドや世間的なニーズに自分を変化させる必要もなく、クリエイターのアイデンティティ100%で創作できることを意味し、自分の活動・作品を真っ先に購入してくれるファンとなる。それは品質基準ではなく「友情基準」ともいえる。

芸術はその時のトレンドで一時的に評価をされるものの、100年後にどのような作品が評価されているのかは誰もわからない。そうであるならば、「お金とエール」の両方を得て、人生の最後の瞬間に後悔しない表現活動を続けられるほうがいい。

価値観が多様化している現在では、もしかすると「頂」は無数に存在するのかもしれない。誰かの世界には誰かなりの頂があり、それを応援する人もいる。

そうであるならば、クリエイターは誰かの頂を目指すのではなく、自分自身のアイデンティティを、生き様を表現できる場があったほうがいい。そんなことがしやすい時代になっているとぼくは思う。「推し活」がこれほどまでに市民権を得た現在、消費は今後も「誰かを応援したい」という利他的な動機が強まっていくだろう。

「クリエイターが活きていける世界」のイメージは、オシロ社の取扱高が30億を越えた今、一歩一歩実現へと近づいているという手応えがある。日本がより豊かな芸術文化の花を開かせる日を夢見て、われわれはこれからもクリエイターのためにコミュニティを解明する努力を惜しまない。


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