マージナルの重要性:未来を描く
いつの間にか、固定化される
ホメオスタシスは、時の流れによって崩壊に向かう肉体を持つ私たちにとって、宿命のようなものかもしれません。その恒常性を求める性(さが)が、パターンのくり返しによる安定を求めさせます。
また、精神活動の根幹にある効率化も罠を仕掛けます。生命の緊急時に必要となる思考コストを確保しておくべく、無駄な思考にエネルギーを消費しないよう、短絡的に意思決定するシステムと長考するシステムの二つを使い分けます。そして、日常生活のほとんどを、この短絡的システムによって判断しています。これが、固定化された思考パターンの罠です。
こうした、身を守るための動きが、実は環境や思考などを固定化し、ぬるま湯の環境を構築し、それが離れがたい呪縛となり、自由さを阻害するがんじがらめの制約となります。つまり、人は、認知と行動の両面から制約を作り上げ、自縛されているのです。
そこから自由になろう、未来を自らの手で変えていこう
そう決意したとします。自分をとりまく世界は、自分が認知できる情報によって紡ぎあげられます。
人は、自分の行動によって影響を及ぼせる範囲内で、世界の改変可能性を捉えています。僕たちが、未来は自分の力で変えることができる、と考えるとき、そこに想い描いている未来は、自分の認知と行動の限界の範囲内にとどまります。
想像できないことは、思い描けないからです。
もちろん、様々な経験を踏まえて、この認知と行動を拡張していくことが可能です。経験値の高い人や、想像力と洞察力と妄想力の高い人が、はるか遠くを見渡せるようにです。
世界そのものの見方を多様にしていくこと、視座を高めていくこと。それによって気づかなかった部分が見えるようになります。見えなかった世界のしくみや、関係性が見えるようになります。
また、運動においては、運動能力の向上により自身の身体機能を拡張させ、届かないところに届き、たどり着けないところにたどり着けるようになります。
さらに、社会的な関係性を作り上げることにより、一人の力では成し得ないような成果を作り出す行動も可能となります。
未来を描く
サイエンスフィクションによる、事業のプロトタイピングが注目を集め始めています。しかし、上記のように、人が自分の行動によって影響を及ぼせる範囲内でしか未来の改変可能性をとらえられないのだとしたら、いくら時間軸を伸ばしたところで、現在からの積み上げの世界しか描けないのではないでしょうか。どうすれば、この制約を突破できるのか。
3つの方法
僕が大切に思う「今日できないことができる明日」を実現するためには、3つの要素があると信じています。
1:誰かと手を組む(アライアンス)
自分ひとりで実現できなのであれば、誰かと一緒にやってみればいい
2:道具を使う(テクノロジー)
自分の力が足りないようなら、道具を使えばいい
3:学び続ける(マージナル)
自分の外側にある1と2を知り、実行するために、自分を変える環境に身を置く
未来を描く上でも、こうした姿勢で、自分の外側にある世界とつながっていくことが大切なのではないかと思うのです。ポイントは3、と思っています。いかに、境界線をまたいで動ける状況を作っておけるか。自分の内側と外側を、どれだけ行き来できるか。
この続きは、また次回に書いていきたいと思います。