なぜキャッシュレス時代に現金需要が増えているの?〜3つの仮説〜
みなさま、こんばんは!エコノミストの崔真淑(さいますみ)です。おかげさまで、新刊「30年分の経済ニュースが1時間で学べる」が発売約一ヶ月で三刷となり、またも重版かかりました!これも皆様のおかげです。いつも、ありがとうございます。今回は、フォーカスリクエストのあった経済ニュースをとりあげます!
*キャッシュレスでも現金需要まし現象
それは「キャッシュレス」です。というのも、えっ!?と思わせるニュースが日経に出ていたのです。
記事には、下記のような記載があり世界中で現金需要が増していることが言及されています。その背景には、経済の見通しが不安定で現金で持ちたい人が多いからではとの仮説が記載されています。
家庭や企業に出回る現金流通高は国内で18年までの5年間に22%増え、115兆円となった。日本は現金志向が強い「キャッシュレス後進国」ともいわれるが、現金流通の急増は日本だけで起きている現象ではない。
しかし、私は経済見通しだけではない他の背景もあると考えています。というのも、こんなニュースがあったからです。
*Amazon Goが現金店舗を始める!?
完全キャッシュレスの無人スーパーで有名なAmazon goが、現金を使える店舗を作る必要がと報道されています(Amazongoの仕組みは下記のイラストをご参考に)理由は、米国の一部の州が、完全キャッシュレス店舗を禁止したためです。背景は、経済格差を意識した自治体の存在があるとのことです。なぜキャッシュレスと経済格差が影響しているのでしょうか?
(イラスト出展: 崔真淑著「30年分の経済ニュースが1時間で学べる」より)
*キャッシュレスと経済格差が関係する!?
完全キャッシュレス店舗を禁止した州の言い分は、「完全キャッシュレス店舗は経済格差を助長しかねない」とのことでした。というのも、アメリカの4分1近くの世帯は、銀行口座が持てないor銀行口座が持てても日当生活で口座引き落としなどの余裕がない、という方々とか。そのため、キャッシュレスという仕組みに馴染めない方々が買い物難民になるじゃないか!と。この話が本当にそうなのかは、きっちり計量経済学的に検証しないと真偽は見えません。でも、もしも本当にそうならば、上述ニュースも抑えつつ、現金需要が増えている仮説として下記の3つを考えてみました。
*3つの仮説
下記の3つの仮説を考えてみました。もしも2)が深刻ならば、日本でも何かしらの対策が必要かもしれませんし、今後の研究テーマとしても抑えておきたいなと思います。
1)高齢者層の増加:
そもそもデジタル社会の流れに追いつきたくても追いつけない層が増えている
2)米国のような所得格差が日本でも:
口座引き落としなどに対応できない層が増加し、キャッシュレスでなく現金需要が増している(上述の米国ニュースを反映した仮説)
3)まだわからない変数の存在:
キャッシュレス需要と共に、現金需要も増えるまだ判別できない変数が存在する
ここまで読んでくださりありがとうございます!
いつも応援ありがとうございます!
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崔真淑(さいますみ)