「信仰」と「現実」の狭間でFRBは何をすべきか

「まだ完全雇用ではないから賃金が上がらない」という真っ当な問題意識の一方、「完全雇用になっても賃金は上がりにくい世の中になった」という構造的な変化を捉える論点も無視できないと思います。仮に4.5%が自然失業率だとした場合、完全雇用になったのはつい最近という話ですので、FRBが「完全雇用を下回った瞬間に非線形に賃金は上がる」という研究などを信じているのだとしたら、今後も正常化の手を止めることはないでしょう。

しかし、現実問題として賃金は大して上がっていません。そうしたフィリップス曲線という理論への「信仰」とついてこない「現実(データ)」の溝をどう解釈すべきなのか。カシュカリ・ミネアポリス連銀総裁が言うように、まずは「現実(データ)」を元に慎重な運営を心掛けた方がリスク管理上望ましいと私は思います。「早過ぎる利上げ」より「遅過ぎる利上げ」を不埒だと思うか、安全だと思うかは信条にかかってくるような論点なので、万人受けする議論は難しいですね。

http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM07H6N_X00C17A7000000/?dg=1

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