成功したいなら簡単に頼み事は引き受けないこと
今日伝えたいメッセージは、ずばり簡単に頼みごとを引き受けないでください、ということです。
日経を読んでて、ふと上記の断り方の記事を見つけました。
例えば大学生なら、友達に授業の宿題で出た問題を解いてほしいと頼まれたことはありませんか?
社会人でも、同僚から自分の仕事には関係ない業務について、「ちょっと頼めない?」と依頼された記憶はありませんか?
このように普段の生活で、誰かからのちょっとした頼みごとを、あまり深く考えずに引き受けることがあるかと思います。
しかも依頼を引き受けた後、自分が想定していたよりも多くの時間を割いたのに、自分にとっての収穫はほとんどなく、少し腹が立ったなんてということも少なくないんじゃないでしょうか。
そんなあなたにはっきりと言わせてもらいます。
将来成功したいなら、今すぐこんな依頼は断ったほうがよい、ということです。
きっと今「交友関係が大切だから…」と思っている人も、今から話す理由を聞けば考え方が変わります。
なぜ人は、あまり深く考えずに頼みごとを引き受けてしまうのでしょうか?
それは人間は思考の中で、自分が相手にした好意に対して、相手から見返りがあると期待しているからなんです。
これを説明する面白い実験があります。
それは「囚人のジレンマ」と呼ばれる数学的なモデルを用いたゲームです。
囚人のジレンマとは2人の容疑者に対して、お互いが意思疎通出来ないように別々の部屋に入れ、司法取引を持ちかけるものです。
このとき3つのパターンがあり、
①片方が自白しもう片方が自白しなければ、自白した方は釈放され、自白しなかった方は懲役十年。
②両方とも自白しなければ懲役二年。
③両方とも自白すると懲役五年。
この条件で無期限のゲームを行い、容疑者はゲームの回数を知らされないまま自白するかしないかを選択し続けます。
このゲームにおいて、2人に共通して利益になる行動は「自白しない」ことです。
両方とも自白しなければ、お互い懲役二年で済むわけです。
しかしもし片方でも裏切ってしまうと、もう片方は懲役十年、2人とも裏切ろうとした場合は両方が懲役五年となってしまいます。
自分の利益を追及した場合、それは最善では無くなってしまうというジレンマです。
あるアメリカの政治学者が、このゲームをするときに最終的に最も良い結果となるのはどんな戦略であるかを、いくつかのプログラムを募って実験しました。
相手と協調する、裏切る、ランダムなど様々なプログラムがあった中で、最も良い結果を残したものは、「相手の行動をそっくりそのまま返す」プログラムでした。
最初は協調し、もし相手が協調したら次も協調し、もし相手が裏切ったら次は裏切るという簡単なものでしたが、結果的にこれが一番だった、ということです。
現実の世界でも、実はこの囚人のジレンマゲームと同じことが起きています。
見ず知らずの人に親切をしたり、友人や同僚の困りごとを助けたりしているのはまさにこれで、相手が行ったことと同じことをしてあげるという戦略を本能的に取ってきた結果、人類は生き残ってこれたのです。
このように初めは何も見返りがないが、後で相手からお返しがもらえると思って行動することを「互恵的利他主義」と呼びます。
この思考はいい面もありますが、とても危険でもあります。
一度頼みごとを引き受けた人は、お返しを期待するがために、「これをすればいつかあの人から何かもらえる」と理由付けをし、自分の行動を正当化させます。
その一方で自分の限られた時間を使って、将来のために何ができるかはあまり考えられていません。
友達の宿題を肩代わりしたことで、同僚の雑務を手伝ってあげることで自分の将来に必要なスキルは磨かれるでしょうか?
ほとんどの場合、いつもの自分の作業よりも時間がかかり、良くてもお礼はランチのおごりぐらいです。
無意識に自分を正当化しても、そのほとんどで自分のしたこと以上にお返しをもらえることはなく、終わったころにただ時間を浪費していたことに気付くのだけなんです。
ほとんどがあなたが望むようには報われません。
成功したいなら、あなたの貴重な時間はあなた自身を磨くために使うべきです。
つい頼みごとを引き受けてしまうのは、人としての本能です。
では、今後どのようにすれば自分にとって最良の選択となるのでしょう?
おすすめが、世界的な投資家ウォーレン・バフェットの右腕である、チャーリー・マンガーが実践している、「五秒決断ルール」です。
これは自分が何か頼まれたとき、それがどれくらい大切で引き受けるべきかを5秒で決めて、相手に返事をするというものです。
何も考えず引き受ける前に、5秒だけ考えることでそれが今の自分に必要か
そうでないかが見えてくるはずです。
自分の貴重な時間を無駄遣いしないためにも、これからは何かを頼まれたら、5秒でやるかやらないかを決めましょう。
その場合ほとんどの答えは「ノー」になるでしょう。
頼みごとを断り続けてしまえば、全員から好かれる訳でないかもしれません。
しかし全員に好かれるために全てを引き受け時間を失うことより、その時間を自分の成長のために使えれば、将来の成功に繋がります。
かくいう、めがねシャチョウも2009年から2011年の間、アメリカ西海岸のスタンフォード大学のMBAプログラムに留学していましたあ、この受験勉強をしていた半年から1年間は、ほとんどの頼まれごとであったり、誘いは断ってきました。
確かに、その短期間で友達には疎遠にはなりましたが、別に、それが原因で友達が無くなったことはないですし。信念を持ってきっぱりと断ればそれで印象が悪くなることなんてないと思います。
そんなことで印象が悪くなったり、嫌われるくらいの関係性だったら最初からなかったほうがよかったのです。
皆さまに、役に立つ言葉をお送りします。先ほどお話ししたウォーレンバフェットの右腕のマンガーの言葉ですが、
「素晴らしい何かが見つかる機会なんて、そうそうあるものじゃない。だから、頼みごとの90%を断ったとしても、チャンスを逃したことになんてまずならない」といっています。
この言葉を胸に、皆さんも成功したいなら簡単に頼みごとを引き受けることは辞め、5秒で最善の決断をするように心がけるとよいでしょう。