出社と在宅でせめぎ合ってる場合ではない
私はテレワークをフル活用している。
所属しているヤフー(Zホールディングス)が、昨年7月、
「オンラインに引っ越します」
という新聞広告を出し、10月より「無制限リモートワーク」になった。
新型コロナウィルスのパンデミックがなかなか収束しないこともあり、結果、この1年半ほどで数えるほどしか出社はしていない。郵便物を取りに、2ヶ月に一度くらい出社したくらいだ。
緊急事態宣言中は「在宅勤務指示」となっていた。現在は緊急事態宣言が解除されたことに伴い、在宅勤務指示も解除され、ワクチン接種も進み、世の中も落ち着いてきている中、出社して仕事をするケースも、徐々に増えてくるだろう。
どのようなワークスタイルになっていくかは、まだ予想がつかない。仕事の種類によっても、望ましい姿は違うだろうし、各組織、チームのリーダーが、「ベスト」なワークスタイルを模索していくことだろう。
大事なのは、「リモートがよいか、出社がいいか」というところで経営と社員で「せめぎ合う」ことではない。それぞれの仕事やチームの特性に応じて、ベストは違うはずだ。
しかし現実には、この記事のように、
「経営、マネジメントレベルは出社をさせ対面で仕事をしようという方向に、メンバーはテレワークで集中したい、という方向でせめぎ合っている」
ということだそうだ。実際、これは体感値として、かなり幅広く見られる現象だ。こういう「せめぎ合いの構図」を人と話すと、
「あ、私のチームがまさにそうです」
と話す方が、あとを絶たない。
もちろん、テレワークに馴染まない職種はある。接客とか物流などオペレーションが伴うもの、そしてセキュアルームで仕事をされる方などだ。これはコロナがあろうがなかろうが対面で仕事をする必要があるから議論から除外されるべきであろう。
コロナが落ち着いたから出社、と考えるマネジメント層の多くが、記事にもあるように、
「テレワークによりコミュニケーションが不足し、それが生産性の低下につながっている」
と考えるようだ。
この記事にあるグラフを見ると、確かに日本で働く人は、在宅の方が仕事がはかどる、という割合が世界で圧倒的に低く、これがマネジメントの「対面でやろう」圧力につながっているように見える。
対面とテレワーク、それぞれのメリット・デメリットは確実にある。
対面の良さは、チームとしての空気の醸成、ハイタッチなど物理的な接触によるモチベーションアップなどだ。あと、人の肌感などをリアルに感じることによる、コミット感のアップなどもあるだろう。時に、偶然の出会いから新しいアイディアが生まれたりすることもあるかもしれない。
一方で、テレワークの良さは、移動せずに仕事をできるので、通勤時間や、打ち合わせのための移動時間が圧倒的に効率的になる。そしてweb会議でスライドやスプレッドシートを共有しながら、チャットを用いて議論すれば、対面で行うより、会議の出席者の意見がフラットに出しやすい。
だから、個人的にはチームとしてのモチベーションを上げるために対面で集まり、通常の業務や企画会議などは、テレワークで行う、ということで、ざっくり1ヶ月に1回くらい皆で集まり、あとは好きに、家でもコワーキングスペースでも会社でも、集中できるところで仕事をすればいいのではないか、そしてそれは、「会社として決める」のではなく、「チームとして」決めていくのがいいのではないか、最終的には、「個人として」決めていくべきものではないか、と考える次第だ。
議論すべきは、「対面かテレワークか」という二元論での対立ではなくて、成果を一番上げるにどう仕事をしたらいいのだろう、というまさに「ワークスタイル」への斬り込みが大事であり、それは決して、「会社単位」で決められるものでもないし、マネジメント層とメンバー層で対立し、せめぎ合う性質のものではないはずだ。皆で話しながら、チームとしてのベストを追求していくものではないかと思う。
で、そのせめぎ合いが起きているのが「コミュニケーション」の問題に対する認識の差によるものだとしたら、それは「1on1ミーティング」をしっかりと行うことで、テレワークでもかなりの割合で解決するものと思う。その詳細はこちらで以前にも書いた。
おそらく、対面比率を上げることがベストではないし、100%テレワークでずっと働くのもベストとはいえない。ハイブリッドでベストを追求していくということになるべきと考えるが、決して「せめぎ合う」話ではなく、マネジメントとメンバーで議論し、「最高のパフォーマンスを上げるための最高のワークスタイル」を、チームや個人で決めていく、そんな形になっていくことを強く願う。
そして、その本質論が実行できる会社が、これから採用面で人気を集めていくし、結果的に会社として強い力を持っていくことになると思う。
繰り返しになるが、対面 orリモート、という二元論ではない。
「せめぎ合う」のではなく、マネジメントとメンバーで対話と議論を繰り返しながら、ベストな働き方をともに追求し続けられるかどうか、だ。
(Photo by Aflo)
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