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大手メディアのポッドキャスト、有料化の波が到来 - NYTとEconomistの事例から

2017年年初にスタートしたニューヨーク・タイムズの看板ポッドキャスト番組、『The Daily(ザ・デイリー)』などのオーディオコンテンツが10月1日から有料購読コンテンツになるとのことです。コロナ禍を経て国内でもポッドキャスト視聴者が少しずつ増えている印象はあるのですが、このタイミングで有料化、というのは時代の流れを感じるニュースでした。

米新聞大手のニューヨーク・タイムズは24日、ポッドキャスト向けの新しいサブスクリプション(定額課金)サービスを開始すると発表した。無料で提供してきたポッドキャスト番組を一部有料化することで、収入源の多様化を狙う。
ポッドキャストが聴き放題となるサブスク価格は月額6ドル(約860円)。年間契約すると50ドルとなる。スウェーデンの音楽配信大手、スポティファイ・テクノロジーや米アップルの配信サービスを通じて販売する。10月に開始する。

NYタイムズ、ポッドキャストのサブスク開始 月860円[9/25 日本経済新聞]

ザ・デイリーは平日毎日、日本時間の毎日夜7時くらいに配信される30分程度の番組で、ニューヨーク・タイムズの取材にあたった記者がその日取り上げるトピックの深堀り情報を、現地の様子を伝える音声を交えながら解説するという構成です。臨場感溢れるホストと記者とのやり取りで立体的にその時に話題となっている出来事を理解できるメディアとして、多くの視聴者を引き付けています。

image credit: NYT Audio (App Store)

国内において有料課金のポッドキャストニュース番組を目にすることはまだないのですが、海外においては昨年秋のThe Economistに続き、じわじわと課金のトレンドが進んでいるように感じられます(The Economistのポッドキャストのプランは月額399円、年間3,990円です。)

image credit: The Economist

ニューヨーク・タイムズの有料購読者数はクッキング、ゲームなどを含め現在1084万人。2027年末までに購読者数1500万人の達成を目指しているとのことです。The Economistも含め既にブランド力がありデジタル化に成功しているパブリッシャーだからこそこうした有料課金化を推進できるとも言えます。

世界の多くの伝統的メディアはデジタル時代での関連性と信頼性の維持に苦戦し、若者はニュースをより身近に感じるソーシャルメディアを通じてニュースに接しているという報道が国内も含め、悩ましい状況として長く語られています。生き残るため、主流メディアは新しいプラットフォームに適応し、地域の報道を活性化する必要がある、と様々な識者が指摘しています。

今回取り上げたポッドキャストの有料化、というトレンドは海外の一部のブランド力のある成功しているメディアに限ったことでしょうか?

今までのメディアのトレンドを見る限り、こうしたニュースコンテンツの消費習慣の変化は日本を含めグローバルに広がっていくのではないかと感じています。現に国内においてもオーディオブックの人気が急増しています。最近は新刊本でも出版直後にオーディオ視聴が可能になる書籍もあり、その変化のスピードに驚かされます。特に最近はAIの自動音声による読み上げがされる書籍もあり、耳からの読書が一層便利になってきています。

有料課金が進んでいる背景としてSpotifyやApple Podcastのテクノロジーが進化してそれぞれのシステム経由の課金が容易になったことも背景として挙げられます。YouTubeで「稼ぐ」クリエーターやインフルエンサーが増えているのと同様に、有料課金ポッドキャスト配信をする人が1年後、2年後には増えているのかもしれません。そして伝統的なメディア企業にとっても音声コンテンツに対して課金する、という選択をする企業も現れるのではないかと思います。

1人の読者・視聴者とするとコストが発生するということで悩ましい一方、民主主義の礎と言われるメディアを支援するためにも、こうしたトレンドが国内でもいずれ広がっていくことを期待しています。


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