男女格差が低い北欧ほど女性の自殺率が高いという不都合な事実
警察庁の自殺統計(2022速報値)が発表され、2022年の自殺者数が2万1584人となり、21年の確定値と比べ577人増え、2年ぶりの増加となった。しかも、男性が前年比604人増で、13年ぶりの増加ということである。一方で、コロナ禍で増加が報じられた小中高生の自殺者数は前年同期比3人減となっている。人口10万人当たりの自殺者数(自殺死亡率)は男性は23.8人、女性は10.9人であった。相変わらず男性の自殺者数は女性の自殺者の2倍である。
自殺率に関しては日本は世界的に高いと言われているが、2020年OECD統計によれば、男女合計の自殺率は日本は世界の8位。男性では12位、女性では4位となる。ちなみに、男女計、男女別とも1位はすべて韓国である。韓国が世界一自殺の多い国といえるだろう。
日本の順位が男<女となっているのが不思議に思うかもしれない。自殺者数は男性の方が圧倒的に多いが、それは日本に限らず世界的にもそうである。元々男性より低い自殺率の女性同士で各国比較した場合、日本は上位になってしまう。いいかえれば、世界の女性の中で日本の女性は自殺率が高いということになる(ちなみに、中国の統計はない)。
こう書くと、韓国と日本の女性の自殺率が高いのは、例の世界経済フーラムがだしている男女格差指数が両国とも低レベルだから…とか言い出しそうな界隈がいるので、エビデンスを確認してみる。その理屈でいうのなら、男女格差が低い、平等度の高い北欧3国(スウェーデン、ノルウェー、フィンランド)は女性の自殺率は低いということになる。
日本と韓国、及びアフリカや南米を除いた国だけで、男女格差指数と女性の自殺率を相関図にしたものが以下である。
残念ながら、男女格差指数が低い(男女平等)であればあるほど、女性の自殺率は高いという結果になってしまった。相関係数は0.5625という強い正の相関がある。
しかも、その中でも北欧3国とアイスランドという男女平等ランキングの高い国ほど、女性の自殺率が高いのだ。ちなみに、日本は4位だが、アイスランドは2位、スウェーデンは5位 ノルウェーは6位、フィンランドは8位であり、北欧3国と日本の率の差はほぼない。
男女格差が日本は世界の100位以下だと声を荒げる界隈がいるが、男女格差のない男女平等国の見本といわれている北欧3国やアイスランドが女性の実率上位というのは一体どういうことだろう?
むしろ男女平等になればなるほど、女性も自殺をするようなメンタリティに追い込まれるのではないかという解釈もできる。
そもそも、この世界経済フォーラム自体の指標が信じられるのかという面も当然ある。私自身はこれに懐疑的だし、私以外も統計に携わる人間はこの指標に鵜呑みにはしてはいけないと警告している人は多い。少なくとも新聞やテレビが引用するようなデータではない。
https://president.jp/articles/-/44903
百歩譲ってこの指標が正しいとするならば、むしろ男女平等への道は女性の自殺増への道になりやしないか?
女性たちはそれを望んでいるのか?