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幸不幸を分ける「ファクターX」

今、多くの企業が、離職やメンタル不調、さらに受け身で生産性の低い職場という課題を抱えています。一言でいうと、多くの企業が、不幸せで消極的な組織になっています。これが、この20年に渡る日本の凋落をもたらしている大きな原因だと考えます。

私のグループでは、過去20年に渡り、組織に関するデータを収集、解析し、
これら課題を起こしている要因、すなわち「ファクターX」を、データから明らかにしてきました。
 
組織に、このファクターXが多いか、少ないか、により、生産的で幸せな組織になるか、それとも、生産性が低く、不幸せな組織になるか、が業種や業務に関係なく決まることを、データは示していたのです。
 
この重要な発見を、権威ある英科学誌Nature/Scientific Reportsに、3ヶ月前に発表しました。

まだ、多くの組織が、このファクターXのことを知らず、現場まかせのやり方にとらわれていたり、イメージ先行の流行語(「心理的安全性」など)に振り回されたりしています。
 
このファクターXとは、どんなものでしょうか。実は、人と人のつながりの構造(ネットワーク)にあります。

生産的で幸せな組織では、人が「三角形」でつながり、そうでない組織では、人が「V字」でつながることをデータが明らかにしたのです。「V字か、三角形か」という小さな違いですが、とても大きな影響を与えていたのです。

具体的にV字が生じる状況をお話しましょう。あなたがよく話をしている2人なのに、その2人同士は話さない関係(V字型のつながり)があると、あなたは落ち込みやすく、下手すればうつにになりやすくなるのです。
 
例えば、あなたが、ライン上の上司と、参加しているプロジェクトのリーダーの両方とよく話をする立場だとしましょう。この二人の上司がそれぞれの立場で違う意見をいうばかりで互いに話をしないと、あなたは落ち込みやすくなります。
 
別の例では、夫が娘と直接会話せず、常に妻を経由する状況では、娘の課題がある度に、その間に立っている妻(母)が苦労します。夫-妻-娘によるV字ができているからです。我々の悩みの多くは人間関係がらみで、V字に関係しているのです。
 
人が幸せで、生産的にあるためには、V字で情報が伝わっているからいいや、と思わずに、三角形のつながりが大事なのです!
 
根深いことに、実は組織図には、(逆)V字型しかありません。三角形はどこにもありません。ですから組織図通りコミュニケーションをする組織とは「データで証明された不幸で生産的でない組織」になるのです。(ちなみに「1on1」では、V字を強化するだけで、三角形はつくれません)報告や依頼などの用件のみのつながりでは、この三角形ができず、むしろV字が多くなります。

この三角形のつながりとは、仲間であることを互いに確かめ合うために必要なものです。即ち、「人間としてのつながり」を具現化したものなのです。
 
この仲間であることを常に確かめ合うのは、霊長類に広く見られる行為です。人類もその一部です。猿などでは毛づくろいなどの非言語の表現を通じて仲間であることを確かめ合います。この本能は、現代の我々の中に強く残っています。これがないと我々はいい仕事も組織のよいメンバーにもなれないのです。この物差しが三角形です。
 
この三角形づくりにより、是非、用件のみになりがちだった職場に、人間としてのつながりを取り戻したいものです。


私のグループでは、このために、新たな組織運営のメソッドとそのためのツールなどを合わせて提供しています。Happiness Planet Gymと呼びます。毎週のサポートチームという三人組のアサインにより宣言と応援を通して、三角形のつながりづくりを実現できます。毎週月曜日に「サポートチーム」という三人組の応援チームがアサインされますがデータからV字を見つけ、そこに三角形をつくるよう設計されています。


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