ISM60超えや失業率4%割れは異常である。
タイトルが全てを物語ってしまっておりますが、要するに今、米国経済・金融情勢を巡るあらゆる計数が改善の「極み」に到達しているということがもっと警戒感を持って語れても良いのではないかと思う次第です。例えば2013年6月、FRBスタッフ見通しで想定された長期失業率は5.6%であり、これが自然失業率と目されていました。それが今や3.7%です。誤算は嬉しい方に出れば誰も気にしないのでしょうが、ここまで下がると思っていた為政者や市場参加者は多くないでしょう。これが3.5%を割り込み、果ては2%台を目指すことを前提に賃金や物価の見通しを立てるべきでしょうか?それは危うい「賭け」でしょう。もちろん、結果としてそれが当たるかもしれません。しかし、現段階でそれを声高に予想するほど、材料は豊富ではありません。平均時給+3.1%が話題ですが、そもそも雇用・賃金情勢は景気の遅行指標であり、これをアテにして引き締めることの危うさはあります。
ISM製造業景気指数は60付近で高止まりしていますが、10月急落しました。歴史の長い同統計ですが、やはり過去を紐解いても60にタッチした場合、その先は決して長いものではありません。それがどれくらい続くかどうかはさておき、これ以上の改善が見込めない「天井」に近づいている印象は拭えません。
物事が上手くいっている内は操られたり、失敗していることに気づかないものです。過去1~2年はFRBの言っていたシナリオが概ね的中し、利上げも遂行出来たため、その政策方針をフォローする向きが多いのでしょうが、さすがに「これ以上の改善など有り得るのか?」という症状が経済・金融のそこかしこに出始めていることにも目を向けたい所です。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO37363760V01C18A1000000/