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育休という夫婦チームビルディング~新米パパ起業家の #半育休 日記③~

 Potage代表取締役コミュニティ・アクセラレーターの河原あずさです。6月に第1子の男の子が生まれ、一児の父となりました。

 さてそんな私は6月19日から9月初旬までの2ヶ月半「半育休」と称して、育児と仕事を両立しながら日々を過ごしました。本当は全育休したかったのですが、2021年1月に起業したばかりの自営業の身。すべての仕事を止めるわけにもいかず「新しい仕事を極力入れない」ワークスタイルを試したのでした。

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子どもをあやしながら夕飯の支度をしている半育休の様子です

 法改正もあり、ますます社会の育休推進の流れは進む傾向もあります。企業も、育休推進に本気で取り組む必要が出てきます。こちらの社説にも「なぜ男性育休取得の定着が必要なのか」が書かれています。

 しかし一方で、半育休をとってみて気が付いたことがあります。それは、社会全体、特に男性側の育児に関するマインドが変わらないと、結局、男性育休の取得率が上がったとしても「ただ育休をとっただけ」の状態になり、育児に関して「お客さん状態」になる男性も多くの割合を占めてしまうだろう、ということです。

 これは、お恥ずかしい話ですが、自身が「半育休をただとっただけ」になりかけて、育児に関して主体的になかなかなれない時間が続いたことにより得られた気付きでした。

 ただ、私たち夫婦の場合は、紆余曲折があったにせよ、「半育休をとってよかった」と胸をはって言える結果になりました。きちんと時間をとって育児、そしてパートナーである妻に向かい合うように変化を起こせたことで、お互いの理解が増し、育児に立ち向かうチームに変化できたからです。

 以下、私の体験談が半育休、全育休を検討する男性のみなさまの助けになればと思い、失敗エピソードも含めて、何が起きていたかを公開いたします。そしてそのプロセスが、いかに夫婦のチームとしての結束を強めていったのかを、私が専門のひとつにしている「チームビルディング」の観点からも解説します。ぜひご覧ください。

よいチームをつくりだすプロセス「タックマンモデル」

 チームビルディングを語る上で欠かせない理論のひとつに「タックマンモデル」というものがあります。チームの成長段階を「形成期~混乱期~統一期~機能期」に分けて、どのような状況で次のステージに進んでいくかを定義しているものです。こちらの記事では、タックマンモデルに即して、私たち夫婦がいかにチームとなったかを解説していくので、まずはこちらをお読みいただけますと幸いです。(タックマンモデル知ってるよ!という方はこのパラグラフを読み飛ばしていただいて大丈夫です)

 ちなみに私もチームやコミュニティのチームビルディングに応用して使っているモデルです。もっと知りたい方はこちらの記事あたりがとても詳しいですのでぜひご参照下さい。

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※図は上記記事より引用

 さてそれぞれの段階の特徴を書くとこのような感じになります。

【形成期】チームが結成される。まだお互いの特徴が見えず、遠慮し合う状態。なかなかメンバーの本音も出てきません。表面的なコミュニケーションが起きて一見仲良しだったり、逆にコミュニケーションが少なく緊張した状態などにあります。俗にいう「心理的不安」な状態です。

このとき、自分たちのコミュニケーションが本質的でないことに気が付き、コミュニケーション量を増やそうと促したときに、混乱期へと移行します。ちなみに組織の「心理的安全性を増やす関係の質向上施策」の多くはこの移行をまず促すものとなります。
【混乱期】それぞれの意見や主張がぶつかりあうフェイズです。様子見のコミュケーションでは仕事が進まなくなり、本音を出すようになることから顕在化します。意見は言うが、一丸にはなっていないという状態です。メンバーがもやもやし、殺伐した雰囲気になることも。チームの生産性も一時的に下がることが多いのが特徴です。

なかなかしんどい時期でもありますが、この混乱期で相互理解が進むことで、その先のコミュニケーションの質を上げることができます。課題に対して本質的に向き合うようにしたり、ビジョンを掲げて共通のゴールが見出されたときに、統一期に移行していきます。組織のビジョン/ミッション/バリューの制定は、一時的な混乱期を経て、メンバー同士がお互いの本音が出せる状態になると、より精度が高くなります。形成期から混乱期のフェイズでは、ファシリテーションの質がとても大事です。特に、混乱期からいかに抜け出すのかが、チームビルディングにおいては最も鍵だと言われています。
【統一期】混乱が過ぎて、ルールや役割分担ができあがります。お互いの主義主張、価値観、強みや弱み、傾向を理解した上で、チームが最も効果的に動ける規範が出来上がります。共通の目標が生まれ、個々の目標に落とし込まれ、それぞれの成功体験が共有されることで、成果が上がってきます。チームの共通言語が生まれ、リーダーの存在が明確化するのもこの時期です。

この統一期でチームパフォーマンスが正のスパイラルに入ると、リーダー主導のトップダウンや、リーダーを中心につくったルール主導の動きから、だんだんとメンバーが自律的に動く形態へと移行してきます。そしてリーダーの仕事は「仕切ること」から「見守ること(障害があれば取り除く、調整するこいと)」へと移行し、チームがどんどんフラット化していき、次のフェイズへとチームがうつります。(トップダウン組織の場合は、あえて次のフェイズに移さないこともありますが、そうなるとたいてい組織のメンバーは徐々に疲弊する結果となります。)
【機能期】チームがあうんの呼吸で動き、メンバーそれぞれが自律的にふるまい、パフォーマンスがどんどん上がっていきます。ルールや目標や役割分担はリーダーが決めるものではなく、メンバーが自律的に考えて生み出す規律へと変化します。この時期のリーダーの役割は「何か困ったことがあれば助ける」コミュニティマネジメントのありように近づきます。「ティール組織」と表現される組織は、この機能期に達成していることがほとんどです。

チームビルディングやコミュニティビルディングのゴールはこの「機能期」に組織を持っていくことですが、だいたいの組織は途中で頓挫します。機能期は理想形であり、目指すべきゴールです。一方でこの機能期も永続的には続きません。特に人の入れ替わり、新規メンバーの参入がトリガーになって、再び混乱期に戻るということもよくあります。

 私がチームビルディングやコミュニティビルディングをやるときには、まずはその集団がどの期に位置しているかを把握するところからスタートします。そして、必要なファシリテーションやコーチングをほどこして、チームが次の段階に行くように支援していきます。

 そのため、タックマンモデルについては知っていたつもりなのですが、夫婦で半育休期間の振り返りをして、変遷を整理していて思ったのです。夫婦をチームととらえたときに、この流れは、タックマンモデルの、形成期から機能期までのプロセス、そのものではないか!と。

 チームビルディングの教材としてこんなに分かりやすい事例はない、という職業意識も手伝い、以下、私たち夫婦のチーム化の変遷を、タックマンモデルをなぞりながら、赤裸々に語ってまいります。かなり赤裸々なのですが、暖かい目で読んでいただけると嬉しいです。

形成期~出産直後から7月 生後1ヶ月まで~

【形成期】チームが結成される。まだお互いの特徴が見えず、遠慮し合う状態。なかなか本音も出ません。表面的なコミュニケーションが起きて一見仲良しだったり、コミュニケーションが少なく緊張した状態などにあります。

 第一子である息子が生まれたのは2021年6月19日。そのときは夫婦ともどもやる気に満ちていました。立ち会い入院ができた(このご時世でありがたいことです)のが非常に大きく、2人で同じ地点からスタートを切れて、一緒にこの子を育てて行くぞと言う結束感に満ちていました。

 しかし、6月23日に退院して自宅に戻ってきてから、状況が大きく変わります。それまで産科の人たちがやってくれていたミルクづくり、おむつ替えなどの作業の他、膨大な家事タスクがやってきたのです。入院してたときに「子どももおとなしいし、ミルクあげる方法もおむつ替えもシンプルだし、いけそうだねー」とのんきに話していたのですが、家事もしなくていい病院から出て自宅に帰ってきて、やらなくてはいけない家事と育児のタスクが、育児スキルゼロの2人にふりかかってきて、ちょっとしたパニック状態に陥りました。冷静に考えるとこの事態が起きるのは当たり前の話なのですが、はじめての育児は、家庭の混乱を生むトリガーとなりました。

 育児という未知のプロジェクトに立ち向かうのは、会社で例えるなら、未経験の新入社員2人。私自身は「同じスタートラインから頑張ろう」と思っていたのですが、実は、2人にはこのスタート地点の時点で差が大きく開いていました。後から振り返ると、1人の新入社員はきちんと事前に業務の予習をして入社した一方で、もう1人がまったく知識のない状態で入社したことにより、その差は生まれていたのです。

 どういうことかというと、妻は、出産前から、育児について下調べをしていたし、どんな準備が必要か、月齢に応じてどんな対応が必要かの知識がある状態でした。一方で夫である私は、ほぼ知識ゼロ状態のスタートだったのです。

 この前知識もスキルもない状態が、妻をがっかりさせることになり、徐々に家庭の心理的不安につながっていきます。

 そもそも、育児が始まる前から分かっていたことですが、2人には家事スキルの大きな差がありました。家事の多くを妻に依存していたし、その引継ぎなどもないまま半育休を迎えました。

 私も、食事をつくったり、食洗器をまわしたり(育児がはじまると、食洗器をまわす回数は倍になりました)、お風呂を洗ったり、いくつかのタスクに気が付いたらできるだけやろうとはしていたのですが、そもそも「気づける家事タスク」がそれくらいしかない状態でした。そして、そんな「気づける家事タスク」と育児の一部(ミルク、おむつ替え)をまわすだけでも、仕事の時間を圧迫することもあるため、どうやってバランスをとったらいいのかと悩む日々でした。

 一方の産褥期で身体のコンディションの戻らない妻は、家事はもちろん、育児に関しても数多くの未知のタスクに翻弄されながら「夫は何も覚悟のない状態で育児がはじまってしまった。このまま夫が本当の子育ての大変さに気が付いたら、この先育児に協力してくれなくなるかもしれない」という危惧を持っていました。これを避けるために妻が何をしていたかというと、「自分ができるだけ効率的にワンオペで育児をまわせるようにし、育児のわかりやすい一部をあえて夫に切り出して楽しく"育児体験"してもらう」ためのオペレーションの設計でした。

 (ちなみに産褥期でもなんとか妻がここまでこなせていたのは、自然分娩ではなく、無痛分娩を選択していて、身体ダメージが比較的少なかったからだと振り返ると思います。無痛分娩でもダメージはありますが、自然分娩よりはずっとマシなのです。妻の身体ダメージが更に大きかったと想像すると、どうなったか、ちょっとゾッとしてしまいます……)

 新卒社員にたとえると、経験がなくて知識はある新人(妻)が、知識も経験もない新人(夫)のマネジメント(教育、作業指示、モチベーションコントロール、OJT指導など)をするという状況に陥ったわけです。そして、しんどいタスクは自分ができるだけ抱え込み、夫には気をつかい「仕事にさわるから夜は寝てて」と言ったり、泣き叫ぶ子どもは極力、仕事をしている夫から隠して、泣き声の届かない部屋でなだめ続けるといった「隠れハードタスク」が発生することになったのです。

 しかし、さすがに夫である私も、日に日に疲れがたまっていく顔や、いらだちのしぐさなどをみて、妻の高負荷状態に気が付きます。どうにかして妻を寝かせたい、休ませたいと思い、私から「タスクをこっちに切り出して、休んでよ」と言っても「育児の大変さは夫から隠したい」妻にはまったく伝わらない日々が続きました。とはいえ、先回りしようにも、そもそもタスクが見えていないから、タスクを横取りもできないわけです。

 こうしていくうちに自身が育児において「お客さん扱い」されていることに察しがついてきた私は、育児へのモチベーションがどんどん減退していきました。本音がお互い言えず、心理的不安が増し、どうしたらいいのかという焦りが募る一方でした。

混乱期~8月 生後2ヶ月頃~

【混乱期】それぞれの意見や主張がぶつかりあう。様子見のコミュケーションでは仕事が進まなくなり、本音を出すようになることから顕在化する。意見は言うが、一丸にはなっていない。メンバーがもやもやし、殺伐した雰囲気になることも。チームの生産性も一時的に下がることが多い。

 今思うと、この時期の私には「何を言っても無駄で、どうせ妻がタスクを抱えて全部やるのだろう」「どうしても動けないときにはアラームをあげるだろうから、そのときまで静観しよう」という気持ちがあったように思います。当初は嬉々として引き受けていたミルクやおむつ替えも段々妻にまかせるようになり、義務的に2人でやることを引き受けたお風呂の時間にのみコミットする形をとりました。

 この時期の妻の不満は「よく世の中で言われる通り、夫は育児への主体性がない。当事者意識を持っていない」というものでした。一方で夫サイドは「バランスが悪い」「仕事も育児も中途半端だ」という不満を持っていました。

 しかしさすがにそのようなすれ違いと、腹の探り合いの生活には限度があります。もともと付き合って一緒に暮らして以降今に至るまで、私たち夫婦には「相手を攻撃するのではなく、問題自体に向き合って、話し合うことで、解決していこう」というコミュニケーションにおける決まりごとがありました。そのような姿勢は、下記の記事の「プリンシパルの設定」にも表現されています。

 (これは出産前につくっておいて本当によかったと思います。どんなに意見がすれ違って感情的になりかけても、最終的にプリンシパルに立ち戻ることで、感情を脇に置いて、建設的な議論を継続することができました。)

 このあたりから、数日に1回のペースで「育児へのかかわり方に関する話し合い」が生まれるようになりました。それまでの話し合いは、妻の「夫には期待できない」という気持ちもあって本質的なものではなく、どちらかというと一時しのぎの対策を話し合う表面的なものだったのですが、さすがに根本的に向き合わないと、夫婦が、ご機嫌に、仲良く家族を運営できる状態にならないだろうと2人とも腹をくくったわけです。

 心理的不安が充満し、お互いの本音を隠すグループを「チーム」に変えるのに必要なのは「対話」です。時には冷静に、時には感情的になりつつも、夫婦での話し合いは続きました。解決したと思ったらまた崩れ……みたいなことも繰り返し起きましたが、めげずに問題への対策を考えて、小さな改善を続けて行きました。

 ここで幸いしたのが、妻が「形成期」のうちに、効率的にまわる育児オペレーションを設計して、一通りまわる状態にしていてくれたことです。特に彼女が調べに調べて、オペレーションに落とし込んでくれた「ねんねトレーニング(ネントレ)」を軸としたスケジュール設計は、夫婦のタスク分業の余地と、話し合う時間を与えてくれました。ネントレのおかげで、子どもは夜7時のお風呂後には寝付くようになり、22時半、午前3時のミルクさえ与えれば、あとは自由がきく時間になりました。

 正直この時期はまさしく「混乱期」で、話し合いで前向きな解決策を探ろうとしてはいたものの、先も見えず、過渡期ならではのしんどさが夫婦ともどもあったように思います。ただ、お互いへのリスペクトはあるし、プリンシパルに明文化したように、できるだけご機嫌で、仲良い状態でいたい、このつらい状態をどうにかしたいという気持ちが募っていた、一進一退が続くような時期でもありました。

統一期~9月初旬 生後2ヶ月半頃~

【統一期】混乱が過ぎて、ルールや役割分担ができあがります。お互いの主義主張、価値観、強みや弱み、傾向を理解した上で、チームが最も効果的に動ける規範が出来上がります。共通の目標が生まれ、個々の目標に落とし込まれ、それぞれの成功体験が共有されることで、成果が上がってきます。チームの共通言語が生まれ、リーダーの存在が明確化するのもこの時期です。

 話し合いを重ねるうちに、妻からもだんだんと本音が出てくるようになりました。(上に書いたような話は、この時期に後日談として妻からフルオープン状態で聞いたものです。そこまで思っていたとは……と落胆しましたが、この落胆を私が受け止めるところから、チームとしての成熟がはじまったように思います)。そして、3ヶ月積み重ねたオペレーションの成果がだんだん花開いてくることで、お互いのモチベーションが持ち直した時期でもありました。

 どんな成果が出たかというと「妻が設計して辛抱強く取り組んでくれたネントレのおかげで、子どもが夜通し寝るようになった」「抱っこひもが上手に私1人で巻けるようになり、子どもを連れて数時間外出できるようになった」「夫が一人で子どもをお風呂にいれながら一緒に遊べるようになった」「子どもがギャン泣きしているときに、夫も夫なりのテクニックで、子どもを鎮めることができるようになった」……などなどです。ありがたいことに、子どもの生育も順調で、健康優良児そのもの。これが夫婦の心理的な余裕につながり、お互いの負荷の分散のための、建設的、具体的な話し合いにつながることになりました。

 9月に入るころに、妻からの提案で、まずは1日2時間、妻の自由時間を設定し、その間は子どもの面倒を私がみるというルールを設定しました。「家事や育児を完全に忘れられる時間がほしい!」という妻の心の叫びからはじまったのですが、おそらく8月にはこの申し出はやりたいと思ってもできなかったように思います。妻の立場からすると「ようやく夫がワンオペでも子どもの面倒をみれる技術を身に着けた」という安心感がないと、このような申し出はまずできないからです。

 これが転機になりました。ちゃんと育児ができる父親として認定されたぞ、という自信につながったのです。

 この自信が更なる心の余裕を産み出すことにつながりました。妻には家で休んでもらい、子どもを連れて晩御飯の買い物にいく、子どもを抱っこしながらカフェで仕事をする、お気に入りの音楽にのせて子どもをあやし続けるなど、自分のやりたいことと子どもの面倒を自分なりに創意工夫しながら両立できるようになりました。(ちなみにこの記事の大半も、子どもを抱っこしながら近所のカフェで書きました)

 もちろん、2時間の自由時間を日々とれている妻からの感謝の言葉も毎日のように聞けるようになりました。夫の私にも「妻の休養時間」をようやくつくれるようになった充実感が生まれます。

 
こうして私たちは「やっと夫婦はチームになれた」と実感を持って言えるようになったのです。

 お互いの本音が見え、やれること/苦手なこともわかり、タスクの状況や相互の負荷なども十分に把握できるようになってようやく「1日2時間の妻の自由時間」というルールづくりに至ることができました。1つ柱になるルールができると、それにあわせて様々なルールが回りだすのもチームの面白いところで、役割分担やスケジュール共有がどんどん進むようになりました。

 たとえば同じ時期に生まれた「お昼ご飯は夫婦別々でもよし」というルールは、お互いのスケジュールの柔軟性につながりましたし、日中の家事の負荷をさげることで、やりたいタスクに集中できる素地が生まれました。スケジュールがイレギュラーでも、お互いにコミュニケーションをしながらタスクを分担して、こなせるようになっています。

機能期~これから~

【機能期】チームがあうんの呼吸で動き、メンバーそれぞれが自律的にふるまい、パフォーマンスがどんどん上がっていきます。ルールや目標や役割分担はリーダーが決めるものではなく、メンバーが自律的に考えて生み出す規律へと変化します。

 チームの成長を考えると次にくるのが「機能期」です。チームがお互いにサポートしあい、意思疎通もスムーズで、ルールなどなくても自然と役割を理解し先回りして動ける、お互いがお互いのパフォーマンスを高められる状態を言います。

 正直言うと、今はまだ「機能期」には私たち夫婦はいたっていないと思います。しかし、半育休期間に培った「チームビルディング」の素地をもってすれば、自然と移行していくのではないか、と見ています。

 タックマンモデルの定着においていちばん難しいのは、チームの心理的安全性の醸成と、チームを機能させるための基本的なルール設計、それに伴う役割の定義です。私たちは、時間をかけて、2人で本音を言い合って、このフェイズに達することができました。あとはお互いが創意工夫しながら、お互いの得意なところ活かしながら子育てというプロジェクトに一緒に立ち向かえば、チームとしての機能性はますます成熟していくという風に考えています。

 今後は具体的には、夫は時短勤務を維持しながら妻の自由時間を2時間から徐々に増やす、家事に関してもシームレスにまわるようにする、運用だけでなく設計にも夫サイドがかかわるようにする、などなど、チームとして更なるアップデートを促すことになるでしょう。

 このチーム感がいったん崩れるきっかけがあるとすれば「高負荷タスクの追加」や「劇的な環境変化」です。例えば第二子が生まれたとき……というわけですが、今回の経験がベースになれば、きっと乗り越えられると夫婦2人で話す日々です。

「育休」を経てチームとなろう

 このような「夫婦というチーム」の一次的な混乱とアップデートは、おそらく出産時に少なくない家庭でも起きていることかなと推測しています。しかし、私たち夫婦の場合は、「半育休」というかたちで、私が明示的に、育児にコミットする姿勢を示さなかったら、このような夫婦チームのアップデートは起きなかったなと感じています。

 出産直前まで、起業したてで仕事が積み重なっていた私はどうしても、妻ほどは主体的に育児に向き合う意識と余裕が持てていませんでした。出産前のこの状態を考えると、半育休の期間に徹底的に向き合わないと、父親になるとはどういうことか、育児の主体者になるというのはどういうことか、しっかりと考えて自分の言葉にできてなかったと思うのです。

 明示的に半育休を取得し、対外的に宣言することで、それに向き合わなければいけない環境を作ったからこそ、この意識の変容は起きたのだと考えています。おそらく、妻だけが育休をとり、自身は変わらずに仕事に邁進して「ちょっと手伝う」というスタンスだったら、「育児においてお客さん状態ではいけない」という意識は持てなかったでしょう。

 男性育休においてもっとも大事なのはこの「主体性の醸成」だと半育休を経て感じています。そしてこれは、子どもはもちろんのこと、パートナーとの関係性に徹底的に向き合う時間をとらないと、なかなかなしえないことではないでしょうか。

 全育休をとったとしても、ミルクやおむつ替えのごく一部を単純に分担するだけでは、結局混乱期の私のように「育児のお客さん扱い」から脱却できないわけです。その裏にあるパートナーの感情と向き合いながら、しっかりと対話して、お互いが気持ちよく動ける状況を一緒に設計する必要があるのです。

 「本気で向き合えるチームになることから逃げない。」これが、いい育児を成し遂げる上で夫婦に、特に男性に求められる、最も大事なポイントではないでしょうか。

 というわけで、久しぶりの「半育休日記」はいかがだったでしょうか。7月に「半育休日記」を2本書いてから、筆がすっかり止まっていた理由は、この記事に書かれているような葛藤が延々と続いていたからです。(どや顔で投稿している上の過去記事も、読み返すと恥ずかしさ満載ですが、言っていること自体は間違っていないし、各記事の最初の読者だった妻もポジティブに捉えている記事なので、引き続き紹介しておきます)

 ようやく言語化して、そして胸を張って「半育休をとってよかった!」と言えるようになったからこそ、今回の赤裸々な記事を書くことが出来ました。正直、恥ずかしい面もあるのですが、このリアルな声が男性育休をこれから検討しているみなさんに届けばと、書かせていただきました。

 次回は今回は書けなかった「半」育休であることの意味について、半育休のメリット・デメリットについて、総括もかねて書ければと考えています。

 そして最後に一言。まだまだ育休をとるかどうか迷っている全男性にこんな言葉を残して締めたいと思います。

 赤ちゃんは可愛いぞ!可愛すぎるぞ!表情をみているだけで飽きないし、一緒に外出すると普段の景色がまったく違ってみえるぞ!昨日までできなかったことがいきなりできるようになるぞ!その瞬間を見逃している場合ですか!?見逃しちゃダメ、絶対!!当事者意識をもって接しないと、人生損ですよ!!ほら、見てみて!ほら!いよいよ笑うようになりましたよ!!

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 ここで一句。「無邪気顔/親の葛藤/子は知らず」。おあとがよろしいようで。それでは最後まで読んでいただきありがとうございました。

 なお、9月初旬をもって半育休は終了しまして、育児やパートナーケアの時間をとらせていただく「時短勤務」へと移行しました。適宜マネージしているので、お仕事のオファーはがんがんしていただいて大丈夫です!!いつでもサイトのフォームからご連絡下さいませ。(授乳時間やお風呂時間を優先している都合上、返事が深夜になる可能性もあるのでご了承下さい)

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