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台頭する米IT企業に対して、存在意義を示す欧州

FTがこんな記事を書いていた。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO36904380V21C18A0000000/

記事中にある過去のNIKEの事例のような世間からの批判とそれに対応する自浄力は、データやプライバシーといったつかみどころのないモノが対象になると、具体的な被害が見えにくいし感じられにくいだけに働きにくいということだろうか。GDPRが定められたのも、背景にはそういうことがあるのかもしれない。

確かにGAFAのようなアメリカ企業がもたらしている恩恵は大きなものがあることは言うまでもない。しかし、それがデータやプライバシーの扱いをないがしろにすることと引き換えになることをユーザーが許容するかといえば、それはNOだろう。問題は、その実害がユーザーにとって見えにくい・感じにくいものであるし、また、その良し悪しはともかくとして、悲惨な被害の状況を伝える写真や動画といったセンセーショナルな報道が世論を動かす、と言うことも期待しにくい。

TOAやDMEXCOといった欧州で開催されるカンファレンスに参加して感じることは、欧州人がGAFAのような企業とそのサービスを受け入れつつも、ある種の「異物」としての警戒を解かない、という姿勢である。

写真は、ドイツ・ケルンで9月に開催されたDMEXCOで、Googleの上級副社長であるPhilipp Schindler氏を迎えて行われたセッションの様子。おそらく1,500人は入れると思う会場は満員で立ち見・座り見が出るほどで、参加者の関心の高さが伺える。タイトルは写真にある通り「What would Google do?」と、懐疑的というか挑戦的だとすら思えるものだし、実際にかなり鋭いツッコミを受けてPhilipp氏の表情は固かった(残念ながら写真では彼の表情が見られないのだが)。

© Yasuo

GAFAが”いいように振る舞う”懸念が高まる中で、GDPRを作り、また折に触れてその姿勢を問いただす欧州の存在意義は、日本はもちろん全世界の人にとって大きなものがあると思う。それが、あまり日本では認識されていないように思うのはちょっと残念なこと。

このセッションに限らず、欧州人は次の時代のルールがどうあるべきか、どう作るべきか、と言うことを意識しているのだな、と思わされることが折に触れてあり、それは頼もしいことであると感じると同時に、あまりそうしたルール作りに関心がなく、参加もしないように見える日本と日本人は、これでよいのだろうか、とも思う。

GAFAの商品やサービスが素晴らしいのは認めた上で、その負の側面にも自覚的でありたい。

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