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ナカからソトへ、ソトからナカへの人材戦略


「産業界のデジタルトランスフォーメーションをAIと人の協調により実現する」株式会社ABEJAの岡田です。
 
官庁ご関係者や大学のオーソリティ、大企業やスタートアップの経営層とお話する中で、リボルビングドア(回転ドア)の人材流動が話題に出るようになりました。大抵、「どうやったら本気で日本のDXは進むのか」という類のテーマに関連して話している際に、です。

「リボルビングドア」は、元々、民間企業と「政・財・学・官」界の間を行ったり来たりする米国の人材流動を示す言葉として使われてきました。
回転ドアのようにクルクル回るさまに由来し、米国では、回転するごとにスキルやノウハウ、人脈などを蓄積するエリートも多くいます。

日本では、21年9月に創設されたデジタル庁の発足の際に、このリボルビングドアの取り組みが採用されました。
高度な専門知識を持つIT人材が数多く必要となったため、政府はデジタル庁開設にあたり、約600人の職員のうち約3分の1をスタートアップ企業出身などの人材を民間から採用しています。
デジタル庁の開設においては、民間の優秀な人材を採用するために、人事制度や待遇面でも工夫がされています。

既存の公務員の制度に縛られない人材を採用するために、あえて非常勤での勤務として年収換算で最大1,000万円を超える待遇を用意したり、フルタイム勤務を条件とせず週3日の登庁で可としたり、リモートワークや副業・兼業も認めるなど新しい働き方も導入されたとのこと。
DXの推進には、特に上流ほどキャリア採用やスペック採用が必要となります。

こうした官庁の取り組みを、業界の多くの方が好意的にみているのではないでしょうか。

DXの分野に限ったことではありませんが、私は、今後、官民のみならず、財・学と民間企業の往来が日本でもごく一般的なものになっていくと、互いの成長の軸につながると考えています。
優秀な人材が持つ、ノウハウやスキル、アイディアが、民間と官・財・学を出入りすることで、官・財・学は、民間が持つ最先端の技術やトレンドを知ることができ、民間はそのつながりによって事業運営がより円滑になり公益的な視点が得られるなどのベネフィットが生じるでしょう。
 
さらにスタートアップと大企業の往来も、日本は人材の流動性がまだまだ低いのが現状です。
実際、大企業からスタートアップに転職する人材は増えてきたものの、スタートアップから大企業に転職する人材はまだまだ少ない印象で、特に経営層に至ってはごく限られています。
また、日本でも学生の起業は増えつつありますが、大学卒業後には「まず」企業に就職する方、転職にあたって家族の反対でスタートアップへの参画を断念する方が依然として多いのが現状です。
海外では、起業にしろ、転職にしろ、流動に抵抗が少ないので、失敗を恐れずにまずやってみる人材が多いのとは対照的です。

 大企業のナカだけで考えていると気づかない、ムリ、ムダは存在します。
特に、スタートアップの経験者からすると大企業が持つ有形・無形資産は、宝の山。私自身、コンサルさせていただいている中でも、使わないともったいないものが多く見つかります。
先日、アメリカの大学も経験された大学教授の方が、日本の大学はまだまだ産業界に向いていない、人材育成、新しい技術の活用など企業も大学に注文してほしい、大学はそれに真摯に応えていくべきだとお話されているのを伺いました。
 
ナカだけでなく、ソトの目を使う。第三者的な視点を通じてみることで、新たな気づきが得られ、イノベーションは生まれます。
人材と活躍の場をフレキシブルにすることで、日本の産業界における教育機関×大企業×スタートアップの取り組みは実験的にでも今後増え、それによりDXの活性化につながるのではないでしょうか。
 
 









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