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海外の実態、質と量でとらえるヒント=ドイツのアニメファンの場合=量・編

ドイツの社会学者、経済学者、言語学者により分析評価されたアニメ視聴者アンケートがこのほど公開されました。

マーケティングの基礎になるリサーチは質と量が重要になることにはあまり異論はないと思います。これをドイツのアニメファンに当てはめると何が見えてくるのか考えてみます。前後編の2回に分けて今回は量にフォーカスしてみます。

海外のアニメファンのリサーチといえば、アニメファンの国際的な交流サイトがリサーチやマーケティングで活用できるのではと注目されているようです。

先日、オンライン開催された「国際マンガ・アニメ祭 REIWA TOSHIMA」内での基調講演でも活用方法が提案されていました。

実は筆者は講演中に紹介されていた各国別の評価の高いアニメのランキングを見て驚いたのです。国によって傾向が異なっており非常に興味深かったのですが、関連動画からドイツ編を探し出したところ、1位『銀河英雄伝説』、2位『聲の形』、3位『君の名は。』とあり筆者の印象とはかなり異なっていました。国際的な交流サイトといっても、各国の傾向をどこまでとらえているのか、少なくともドイツに関しては偏りがあるように感じました。

さて、前置きが長くなりました。冒頭のドイツのアンケート調査に戻ります。

このアンケート調査はドイツのアニメ系ニュースサイト「Anihabara」が実施したもので、オンライン配信の主に利用動向を調査分析(冒頭のリンク先を参照)したものです。匿名ではありますが、研究者が評価に関わったとされています。3回に分けて公開されました。(1044人が回答)

ざっくり結果を書き出してみます。

・アニメファンはアニメ視聴のためだけにネトフリを契約。
・利用者は男性が多い。
・広告付きの無料モデルよりも広告無しのサブスクが好まれる。
・違法アップロードによるアニメ視聴は2017年の5割から「ほぼ無い」状態にまで激減。
・ユーザーのサブスク契約数は平均2.62件。
・ドイツのアニメファンが買ったグッズはマンガ、ゲーム、「円盤」、フィギュア、ラノベの順。
・コレクターは男性よりも女性のほうが多い。
・完結後よりもサイマル配信による逐次視聴を好む。
・吹き替え派は37.82%と字幕派と拮抗。
・サブスク定着はタイトル次第、価格で移動あり

また、作品の人気を知る手がかりとなるのは現地のファンによる投票でしょう。ドイツでは老舗のアニメ雑誌『AnimaniA』がアワードを毎年発表しています。近年は「Anime2you」などのオンラインメディアが積極的にファン投票や各種アンケートを実施しており興味深い結果を伝えています。直近でもマンガ系ニュースサイト「Manga Passion」がマンガアワードを初開催しました。

ここで筆者が思ったのは、現地のメディアなどの情報サービスはもっと活用できるのではないかということです。公開される情報も貴重ですし、彼らとコラボして独自のリサーチをすることも可能なのではないでしょうか。

本投稿はあくまでドイツの事例です。同様のことが他の国でも可能なのではと筆者は考えます。

今回は、量にフォーカスし、アニメファンの行動や志向におけるマスをどうやってとらえるのかについて考えてみました。

次の投稿は後編として質について考えます。(後半はこちら

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タイトル画像はnoteの「みんなのフォトギャラリー」からお借りしました。

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