スーパーボウルのCMから考える、日本のコマーシャル・メッセージ
アメリカのスーパーボウルを知っていますか?
日本では、今、スポーツの話題といえば、2022年北京冬季オリンピックの話題が中心である。選手の活躍に刺激を受け、またオリンピックとは、そもそも何かなど、少し考えたりもするでしょう。
このオリンピック期間中、アメリカでは、米プロフットボールNFLの王者決定戦スーパーボウルは13日に行われました。日本時間では、2/14(月)開催で、私は、テレビでは日本のCATVを見ながら、ネットでは米国NBCのネット配信を見ながら、試合観戦を行いました。
試合もとても面白く、そしてスタジアムが満席で、そして、多くの観客がマスクをせずに楽しんでいるのを、少し羨ましく思いながら、眺めていました。
このスーパーボウルは、NFLの試合なので、もちろん試合も重要ですが、その他に2つの興味があります。前半と後半の間に行われる、ハーフタイムに行われる、ショーのこと。もう一つは、テレビ中継で流れる、コマーシャルのことです。
ハーフタイムについては、NFLが、Youtubeに動画を公開しているので、そちらを見て頂ければと思います。(Dr. Dre, Snoop Dogg, Eminem, Mary J. Blige & Kendrick Lamar FULL Pepsi Super Bowl LVI Halftime Show)
ここでは、もう一つの興味のコマーシャルについて、少し整理をしながら、日本のテレビコマーシャルの問題も考えてみたいと思います。
30秒のコマーシャルの放映料が、7億5千万円!
スーパーボウルの放映放送局は、NFLというプロフットボールのリーグとの契約によって決まります。今年の放送は、NBCが行いました。実は、NBCは、米国における冬季オリンピックの放送局でもあります。このことにより、面白いことが起きました。
スーパーボウルの開催時間は、アメリカ東部の時間では日曜日の午後6:30スタートです。試合進行によりますが、約4時間ほどの中継になります。つまり、おおよそ午後6:30~午後10:30までは、スーパーボウルの中継をNBCが行うということは、この視聴率の高い時間にアメリカでは、冬季オリンピックの放送が行われません。(日本時間では、2/14 朝8:30~12:30)
つまり、冬季オリンピックよりも、人気のあるコンテンツなのです。結果、テレビコマーシャルの放映料も高騰しています。NBCは、正式に30秒のテレビコマーシャルの価格は公表していませんが、下記のThe Sporting Newsの記事によれば、30秒$6.5 million(日本円に換算すると、約7.5億円)だったそうです。
これは、日本のテレビ広告では考えられない価格でしょう。そして、日本の広告主でこの契約を行える会社も多くないかもしれません。契約を行えるという意味は、そのお金がある、ということではなく、このお金を支出する説明ができる、という意味です。日本の広告主では、視聴率や視聴者が増えるときには、広告の放映料の増加は社内で説明できるのでしょう。しかし、この方法では、毎年高騰するスーパーボウルの広告を、社内の会議で論理的に決済できる広告主はいないのかもしれません。
実は、これが最初の論点です。日本では、テレビ広告をその番組の予想される視聴率や視聴者をもとに、契約を行うことが多いでしょう。では、米国ではどうかといえば、スーパーボウルの視聴率ですら、過去を超える状況ではありません。そして、ご存知のように米国の人口が増えているわけでもありません。
日本では、テレビ広告を、広告を見る人の数に応じて契約しようとしますが、米国ではその広告を見た人が、その広告主にもたらす価値を考えて契約しているのでしょう。つまり、スーパーボウルのコマーシャルの放映料が上昇する理由は、米国の広告主がテレビ広告の価値の理解を進化させている点にあるのでしょう。
広告の多くの挑戦がある
いつもスーパーボウルが終わると、翌日には試合の感想とともに、テレビ広告の感想がSNSに溢れます。今回のテレビ広告も、多くの挑戦がありました。
上記のサイトでは、多くの広告が見れるので、実際に見て頂ければわかります。米国では、このスーパーボウルの高価な広告に、大胆に表現の挑戦を行います。
多くの話題を作った広告が、「Coinbase’s bouncing QR code spot appears to have crashed its app」でしょう。私も、一瞬自分の画面が壊れたのかと思ったくらいです。
まだテレビ広告は、進化する
このように、スーパーボウルのテレビコマーシャルを見ると、米国ではまだテレビ広告の価格が増加し、そして表現の開発・創造があることに気が付くのです。
日本では、テレビ広告は?と考えている人も多いのかもしれませんが、今の時代の「テレビ広告」の定義と、今の時代の「テレビ広告」の表現を考えることを、避けているだけなのかもしれません。
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