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増えるフリーランス。「タニタ式」に真の働き方改革を見た

こんにちは、電脳コラムニストの村上です。

働き方改革という言葉もすっかりおなじみになりましたが、実際なにがどう進んでいるのかを実感できている方は少ないかもしれません。わかりやすい例でいうと「残業禁止になった」「よくわからないチャットツールが導入された」などでしょうか。「副業がOKになった」というのもあるかもしれませんね。

そんな中、副業も合わせたフリーランスの数を把握すべく、内閣府として初めての調査の結果が発表されました。

内閣府は24日、フリーランスとして働く人の数を306万人から341万人程度とする推計を公表した。国内の就業者全体の約5%を占める。内閣府がフリーランスの人数を推計するのは初めて。政府は多様で柔軟な働き方を後押ししており、フリーランスの実態を把握することで今後の政策に役立てる考えだ。
(略)
341万人のうち、本業がフリーランスの労働者が228万人、副業が112万人と推計した。就業者全体における本業がフリーランスの人の割合は3%程度で、米国の6.9%に比べると半分以下にとどまる。

「これまで調べたこともなかったわー」ということですが、いかに従来型の終身雇用制度が強固であるかを思い知らされるきっかけになりました。しかしながら、本調査によるとフリーランスの数は全体の約5%を締めているそうです。つまり「20人に1人はフリーランス(副業含む)」ですから、意外と多いという印象ではないでしょうか。

一方で、健康保険や社会保険、労働者としての権利保証などは終身雇用を前提につくられています。働き方改革が「より個々人が希望する働き方を柔軟に受け入れることで、社会全体の生産性をあげ、ひいては経済成長と個人の幸せを最大化する」ことだとすると、まだまだ制度面が遅れている状況です。

この状況を打開するヒントが、「タニタ」です。食堂や体組成計などのハードウエアでお馴染みですが、率先して大胆な働き方改革を実施している健康経営企業でもあります。

体脂肪計や体組成計で国内シェア首位のタニタ(東京・板橋)。社員食堂で健康に配慮したメニューを提供したり、社員全員参加の健康プロジェクトを実施したりするなど、「健康経営」企業としても知られる。そのタニタが2017年から取り組んでいるのが、大胆な働き方の改革だ。希望する社員がタニタでの仕事を続けながら独立し、フリーランスになることを会社が全面的に支援し、報酬面でも努力に報いるという。新制度は創業家3代目の谷田千里社長(47)のリーダーとしての危機感から生まれた。

なんと、副業推進よりさらに踏み込み、希望する社員にはタニタの仕事を続けながらフリーランス(個人事業主)として独立することを支援しているそうです。フリーランスになれば社員規程に縛られないので、それこそ時間も場所も制約なく働けるので自由度は格段にあがります。また、経費計上枠も増えるので、実質手取りが増えることにもなります。

独立で不安なのは、仕事が受注できるかということと、社会保障が心許ない点です。この点もタニタではサポートしています。

――新しい制度では、社員は希望すれば、個人事業主に移行し、時間や場所の制約なしに働けるそうですね。

「はい。その移行を会社が全面的にバックアップします。仕事も、最低でも3年間はタニタの仕事を続けられるよう保障します。その後は引き続きタニタの仕事を100%請け負うのもよし、タニタの仕事を減らし、その分スキルを生かして他社の仕事の請け負うのもよし。すべては自分の裁量で決められるようにしています」

「フリーランスになるのに一番ちゅうちょするのは、社会保障が心もとない点だと思います。そこで社員時代に会社が負担していた社会保険料も含めた『人件費』の総額をキャッシュで支払う形にしました。そうすれば、個人でさまざまな保険や年金に入ることも可能です」

これは率直にいってすごいことだと思います。会社から見ると支払いコストはほぼ変わらないですし、自由に働きたい社員にはこれ以上ないパッケージ。そして、スキルアップのための費用はフリーランスであれば経費化できるので、成長したいと思っている人にはもってこいの制度でしょう。

谷田千里社長によると、以下のような考え方が制度の根底にあるとのことです。

「私は、今のように働く時間にばかりフォーカスをあてていると、社員自身も、自分の労働時間を時間で売るような発想から抜け出せないのではと危惧しています。そういう考え方ではいずれAI(人工知能)時代に生き残っていくのは難しいでしょう。これからは『やらさられる』のではなく、主体的に仕事に取り組み、自分でスキルアップをしていく時代だと思います。終身雇用が崩壊しつつある今、従来のように教育コストをすべて会社が負担するのは無理です」

もちろん、住宅ローンや各種制度がまだまだいわゆる「サラリーマン正社員」前提で構成されているのも事実です。実際には、全労働者の5%はフリーランスであり、37.9%は非正規社員(総務省「2018年労働力調査」)です。これらの状況からも、国としての法整備、社会保障の改革は待ったなしだと思います。

本来の働き方改革の意味である「一億総活躍社会実現」。つまり、誰もが幸せに生活できる社会。労働はその中でも大きな基盤です。幸せに働ける 〜やりがいと報われ感〜 世界をつくっていきたいですね!

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タイトル画像提供:MF_ichi / PIXTA(ピクスタ)

#COMEMO #NIKKEI

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