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生成AI時代と不便益の価値

自分で組み立てるDIY体験が商品に特別な価値を与える「IKEA効果」と呼ばれる現象があります。

このIKEA効果について研究エビデンスを提示している面白いレポートに出会いました。

研究成果のポイント
●体験などを消費する「コト消費」における価値判断の定量化を、fNIRS脳機能イメージングで実現
●「コト消費」の価値を反映する脳活動パターンを発見
●商品の「コト消費」がもたらす価値を脳機能レベルのエビデンスで評価することが可能に

「コト消費」の価値を判断する脳機能の可視化に成功!
‐DIY経験が商品価値を高める「IKEA効果」の認知メカニズムを科学的に解明‐

IKEA効果によって生じる認知メカニズム

自分で組み立てるDIY体験が商品に特別な価値を与える「IKEA効果」の現象は、左右の前頭前野の活動と関連していることが証明されたとのことです。

つまり、ブランド体験において「使い手が一手間かける」ことには意味があるということです。

この一連の流れが脳の動きから証明されたということですね。

1. IKEA効果=ブランド体験に一手間を加える
2. 左右の前頭前野が活性化する=ブランドに愛着が湧く
3. 顧客の支払い意思(Willingness To Pay)が高まる

生成AI時代におけるIKEA効果とは?

IKEA効果の重要性をエビデンスを踏まえて理解したところで、今後求められるブランド体験について考えていきたいと思います。

生成AIが私たちの日常に浸透してきている中で、「体験に一手間を加える」価値をどのように捉えると良いのでしょうか。

AIにより自動化・簡易化するだけが答えではない

AIにより、手間を減らすことは大切な価値です。一方で、IKEA効果にあるよう「一手間をかけること」がブランドの愛着を高めるために重要でもあります。

「生成AI × 顧客が喜ぶ一手間」とは何かを考えていくことが、これからの時代重要になってくるのではないでしょうか。

裏側ではAIが動いているのだけど、人間が愛着をもちやすいデザインがされている例としては、SONYのaiboでしょうか。
(私の実家にはaiboがいて両親が、とても可愛がっています)

かつてのAIBOと異なるのはクラウド技術も使って消費者とともに身のこなしを変えていくことだ。腰や首、手足を動かしたときに飼い主は喜ぶか。多数のカメラからこうした情報を収集し、人工知能(AI)を使ってどういう動きが好まれるのかを分析する。

人に好かれるのに必要な動きを最大公約数のように結論づけて個体に情報として配信する。これを受け望ましい動きを徐々に増やす。機器本体もAIを搭載して個体の特徴も維持し飼い主による好みの違いに対応する。

ソニーの新アイボ、飼い主喜ぶ動き習得 AI活用

aiboは良い塩梅に手間がかかる、だから愛着がわくポジションで体験設計がされていると捉えることができます。

生成AIが生活に浸透して、利便性が高まり続ける世の中だからこそ「一手間」「不便」が価値になる要素があると考えています。

いま、SNS疲れという言葉が出ているように、数年後にAI疲れが出ている可能性もあるのではないでしょうか。
そんな時に、良い塩梅に手間がかかる体験が求められてくるのだろうな…と想像してます。

8月に「不便から生まれるデザイン」を読み返してみようと思います。