厚生労働省の統計の不適切調査に対して思うこと

2015年に開催されていた毎月勤労統計改善検討会の構成員だった身としては、大変残念です。6回にもわたって統計をより良いものにすべく議論したのに、こんな問題があったのでは、元も子もありません。

その時に、厚労省側の受け止め方が「これまであまり注目されてなかった勤労統計が急に注目されて参った」的な感じだったことを鮮明に覚えています。

元々、日本の統計関連予算は農業関連統計に偏りがあり、海外に比べてかなり少ないと指摘されていました。

根本には、日本における統計の地位の低さがあると思います。
私も10年以上前の経済教室で指摘させていただいていますが、別の省庁でも、統計関連の部署に配属されると、それこそ都落ち的なとらえられ方をしていたようです。
予算面も人材面も含めて、一刻も早く統計関連部署が欧米のようにステイタスをあげてほしいものです。

政治的には、12年前の消えた年金の嫌な記憶がよみがえります。
あの時も安倍政権で、統一地方選と参院選がある年でした。

12年前の統一地方選と参院選が同じ年となった安倍政権の時よりも、今のところ支持率が高いのがせめてもの救いでしょう。

確かに「消えた年金問題」もその後の政権交代に大きく影響したのは事実でしょう。
ただ、その後の政権交代により、多くの国民が痛い目にあったのも、これまた事実です。

野党としては、賃金統計が実際よりも高く出ていたらアベノミクス失敗でより攻めやすかったのでしょうが、実際よりも低く出てしまっていたことに加え、自らが与党時代からの不正でしたから、攻めあぐねている印象です。

でも、鉱工業生産のようにアメリカでは期限まで提出がない企業については仮の数字をおいてしまうのに対し、日本は督促までして集めるようなちゃんとした統計もあることも補足しておきたいです。

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40773140R00C19A2EA3000/

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