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Googleフォトの有料化は、ブランドを傷つけかねない

Googleは、無料で利用できていたを写真管理サービスを、2021年6月以降に累積で15GB以上の写真や動画をアップロードした場合に、有料へと切り替えることを告知しました。

この発表に対して、多くのユーザから、戸惑いや不満の声が上がっています。

一定量まで無料で利用でき、それを超えた場合に課金される、いわゆるフリーミアモデルのサービスは沢山ありますし、共通認識に基づいた課金自体には何ら問題はありません。

しかし、2015年にGoogleフォトのサービスを開始して以来、無料であることを最大の魅力として新規ユーザを集めてきたのに、これまで将来的な有料化の可能性を告知していなかったことは論点になります。

永遠に無料であるという錯覚に基づくシステムロックイン

2000年から2018年まで、Googleは「Don't be evil 邪悪になるな」の行動規範に掲げ、「利益のためにユーザをないがしろにすることはない」というブランドを醸成してきました。

今回の決定は意図的でないにせよ、これまでの行動規範を変化させたと感じさせるに足るインパクトがあります。

長期間利用して、写真を大量に貯めてしまうと、別のサービスへ乗り換えるのには手間が掛かります。リテラシーがなければ、乗り換え作業は、より困難なものになり、結果的に意図と関係なく身動きが取れず、月額課金対象になり支払いを続けることになりかねません。

以前の話ではありますが、マイクロソフト社が提供するウィンドウズとオフィスは、普及率が高いために、好む好まざるに関係なく、この組み合わせで使うしかない状況がありました。

この環境をより固定的にするために、マイクロソフト社は手段を選ばずに、アップルコンピューター上で動作するオフィスが正常に表示されないように、バグを意図的に仕込んでいたことが後に明らかになっています。

このやり方は「システムロックイン」と呼ばれ、ユーザから忌み嫌われてきました。

オープンなインターネット上で育まれたネット企業は、ユーザをないがしろにしてきたソフトウェア業界の悪しき慣習を打ち破り、顧客第一主義で成長を続けてきたはずです。

それなのに、なぜ現在変化が起こっているのでしょうか。

ピーク・デジタルを超えるために

最近米国では、ピーク・デジタルに関する懸念が持ち上がるようになっています。ピーク・デジタルとは、デジタル利用の成長率が鈍化することで、GAFAの時価総額が天井に達してしまったという懸念です。

今回のGoogleフォトへの課金は、売上の伸び率を鈍化させないために、なりふり構わず課金対象を拡大しているように見えます。

投資家からの要望に応えるために焦る気持ちは理解できますし、高い価値のあるサービスを課金していくことも理解できます。

それでも、平凡な大企業にならず、ピカピカのブランドを保持するためにも「利益のためにユーザをないがしろにすることはない」姿勢を崩さずに成長を続けて欲しいです。

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