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世界経営者会議での資生堂 魚谷社長からの2つの学び

先日行われた「第23回日経フォーラム世界経営者会議」を視聴する機会をいただき、いくつか興味があるセッションに参加してみた。著名な経営者の方々が登壇するなか、今回私が共感したセッションの一つが資生堂の社長、魚谷さんの話。今回はそのセッションについて取り上げたい。

「第23回日経フォーラム世界経営者会議」の様子は以下を参照。

魚谷さんにはお会いしたこともないし、お話されている動く姿を見たこともない。ただ記事で魚谷さんの話はいくつか読んでいる。
視聴前の私が抱いていた印象は、経営とマーケティングに秀でているカリスマ経営者、それでいて強烈な個性とトップダウンで意思決定をする、とそんなところ。

ところが!である。

初めて聞く魚谷さんの話は印象とはまるで違い、少なくともトップダウンは感じられないだけでなく、社員を尊重する姿勢が一番記憶に残った。今回はそのなかで以下2つの話を紹介したい。

1.ピープルファースト

魚谷さんは組織を家に例えて説明していた。

屋根は会社の「パーパス(使命)」。
それを支える3本の柱は「株主」「社会」「社員・家族」。
そしてその家を支える土台は「コーポレートガバナンス」。

であると。

その中で、柱はもちろんどれも大事だし、どれが一番大事だとは言えない。でも、良くしていく順番はある、それは社員だと。まずは社員が元気でないといけない、そうでないと「株主」や「社会」も良くできない。だから「ピープルファースト」であると。

この考え方には非常に共感した。私も数年前から同じことを言っている。うちのクラフトビールを愛してくれている「ファン(顧客)」「株主」「取引先」など色んなステークホルダーは大事だが、その中心であり起点である社員が幸せでなければファンにも幸せをお届けできないし、ファンの方々からの支持がなければ会社の成長にもつながらず、株主や取引先が満足してくれることもない。この考え方は当然会社により違うと思うが、私たちの経営手法からすると非常に理にかなった考え方であると思っている。
魚谷さんもそう考えているとは驚きであったが、終始この話の特は「うんうん、そうそう!」と素直に共感したのだった。

YH世界平和

2.「どうしたらいいか?」という問い

魚谷さんが色んな改革を行ってきた記事を多く読んでいたこともあり、魚谷さんが決めて現場に徹底させている印象を持っていたが実はそうではないようだ。話の中で何度も出てきた言葉は「社員に考えてくれ!と言っている」「現場の責任者に、どうしたらいいか?と聞いている」等の「皆で考える」という言葉だ。

魚谷さん曰く、誰も経験したことがないコロナ禍で全部を自分で決めることは不可能、皆で考えることが一番大事である、と。コロナ禍の世界の各拠点で、現場で考え実行したことがとてもうまく行った事例がいくつか紹介された。その中では現場で厳しい判断を決めて提案してきたものも多かったという。
魚谷さんは「私はそういう宿題を出して、1か月後に提出させることが好きなんです。」と笑いながら話していた。ここに魚谷さんの凄さと資生堂の素晴らしい企業文化を感じた。そういう企業文化が既にあり、それを折に触れて実践しているからこそ企業文化がより強固なものになっていくのだろう。

私も改めて社内の皆に「どうしたらいいと思う?考えてみて!」と問いを出し続ける重要性を認識した次第。そしてこれらの魚谷さんの言葉から感じたことは、社員に対する大きな信頼。信頼しているからこそ現場に考えて決断してもらう、ということができるのだと思う。

グローバルな大企業になってもそれが出来るのは凄いし素晴らしい。私も良い刺激をいただいたのでこれらの方針について更に精進していきたい。